JAXA宇宙飛行士活動レポート 2004年9月
JAXA宇宙飛行士の2004年9月の活動状況についてご紹介します。 中国での講演「日本の有人宇宙活動の現状と今後の展望」
若田宇宙飛行士は、(財)地球科学技術総合推進機構理事長の坂田俊文工学博士とともに、9月20~22日の3日間、中国の北京と上海において日本人学校の生徒や北京外国語大学日本語専攻の学生など約1400人の参加者を対象に講演を行いました。 講演では、坂田氏が1億分の1スケールの地球儀を用いて地球観測の説明を中心に行い、若田宇宙飛行士はISSや「きぼう」日本実験棟の説明のほか、STS-72およびSTS-92で宇宙へ飛行した際の経験談を交えた講演を行いました。また、ISS参加各国の宇宙飛行士たちと一緒に仕事をしてきた経験から、世界の人々が、かけがえのない地球の環境を守りながら、共に宇宙での活動の場を広げていく事によって、国境や民族を越えた地球人としての価値観と文化が生まれてくる事、そして人類全体の科学技術水準の向上には、互いに切磋琢磨できる競争と協力のバランスが大切である事を説明しました。質問の時間には、食事や歯みがきなど宇宙での生活、宇宙飛行士になるには?、宇宙人は?など数多くの質問が寄せられ、講演は大いに盛り上がりました。
ミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)候補者訓練古川、星出、山崎宇宙飛行士は、9月も引き続きスペースシャトルのミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)候補者訓練を行いました。 9月は、主にT-38ジェット練習機操縦訓練のほか、NASA施設の現地研修などを行いました。 T-38ジェット練習機操縦訓練
T-38ジェット練習機(以下T-38)のシステムなどについて講義を受けた後、飛行訓練を開始しました。T-38は、2基のエンジンを搭載した音速ジェット機で、NASAでも宇宙飛行士養成のために古くから使われているふたり乗りの練習機です。この訓練は、飛行中のストレス下で、複数の作業(通信、計器操作、操舵など)を同時に行うことで、宇宙飛行でも要求されるマルチタスク能力、クルー間の連携力などを高めることを目的としています。 訓練は、最初の2年間は年間100時間以上、それ以降は年間48時間以上飛行することが義務づけられており、MSに認定されてからも継続して続けます。訓練は始まったばかりで、これから計器飛行、夜間飛行、編隊飛行や長距離飛行などを通じてスキルを高めて行きます。 NASA施設現地研修NASA本部、ゴダード宇宙飛行センター、グレン研究センターを訪れました。NASAでは現在組織の変革に取り組んでおり、その体制について説明を受けたほか、スペースシャトルの飛行再開に向けた研究・実験の様子などを学ぶことができました。また、ゴダード宇宙飛行センターではハッブル宇宙望遠鏡無人ロボット修理ミッションの地上試験設備を訪れ、地上からロボットアームを遠隔操作するための技術を開発している現場を見学しました。 新日中友好21世紀委員会第2回会合向井宇宙飛行士は、2004年9月19~20日に東京都内にて開催された新日中友好21世紀委員会第2回会合に委員として出席しました。新日中友好21世紀委員会は両国関係の発展について議論する委員会で、向井宇宙飛行士が第1回会合のために訪中した時には、中国初の有人宇宙飛行を行った楊利偉宇宙飛行士と対談を行っています。 会合では日中関係を含む国際情勢や両国共通の課題について討論が行われ、日中関係は重要であり、両国がさらに相互信頼の関係を築くべきであるとの認識で一致しました。 第2回JAXAタウンミーティング
9月19日、第2回JAXAタウンミーティングが前橋テルサ(前橋市)にて開催されました。JAXAタウンミーティングは、広く市民に宇宙活動について知ってもらう意見交換の集会として、国内各地で順次開催する予定で、第1回は5月29日に宮崎県にて開催いたしました。今回も土井宇宙飛行士と的川JAXA執行役がホスト役をつとめ、約400名の参加者と将来の宇宙開発や広報のあり方などについて議論を交わしました。 最終更新日:2004年10月20日
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