JAXA宇宙飛行士活動レポート 2004年8月
JAXA宇宙飛行士の2004年8月の活動状況についてご紹介します。 野口宇宙飛行士、スペースシャトル搭乗前一時帰国8月25~31日の日程で、久しぶりに日本に一時帰国しました。現状のスケジュールどおり、スペースシャトルの打ち上げが3月に行われるとなると、搭乗前最後の帰国となります。 8月26日、文部科学省を訪れ、河村建夫文部科学大臣にスペースシャトル事故後最初のフライトとなるミッションの準備状況と、野口宇宙飛行士が主担当となる船外活動の主な作業内容について報告し、河村大臣からミッション成功に向けて激励を受けました。
8月28日には、JAXA相模原キャンパスの一般公開に参加しました。大人向けに行った講演会では、現在取り組んでいるNASAでの打上げ再開に向けた作業や、打上げに対する意気込みなどについてお話しました。用意した100席はすぐに満席となり、立見で参加してくださった方も多数いました。また、「ミニミニ宇宙学校」では「野口宇宙飛行士に聞いちゃおう」と題して先生役となり、宇宙に関する質問に答えました。子供達からは「宇宙で起きるどんな現象が一番楽しみ?」「コンタクトレンズをして宇宙にいけるの?」「トイレはどうするの?」など、たくさんの質問が飛び出し、楽しいひと時を過ごすことができました。
8月30日、JAXA筑波宇宙センターに茂木敏光科学技術担当大臣が訪れました。毛利・野口両宇宙飛行士は、宇宙ステーション試験棟のクリーンルームの中で、茂木大臣に「きぼう」日本実験棟の船外パレットやロボットアームなどの各構成要素や、「きぼう」に搭載される実験装置について説明しました。
ミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)候補者訓練古川、星出、山崎(旧姓角野)宇宙飛行士は、8月も引き続きスペースシャトルのミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)候補者訓練を行いました。 パイロット候補者2名を含めた、宇宙飛行士候補者全14名(NASA11名+JAXA3名)による訓練が本格的に始まりました。訓練を行うために必要なオリエンテーションから始まり、陸上サバイバル訓練を行いました。 オリエンテーション
訓練をこれから行っていく上で必要な各種オリエンテーションを受けました。また、候補者全員揃っての写真撮影、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)内の施設見学などを行い、これからの訓練に向けた準備を整えました。 陸上サバイバル訓練
9月からT-38ジェット練習機操縦訓練が始まります。飛行時、何らかの理由で飛行機から緊急脱出しなければならない場合、救助が来るまで数時間からそれ以上自力でやり繰りしなければいけません。陸上サバイバル訓練はそのような場合を想定し、サバイバル技術の習得を目的として行われます。また、これから一緒に訓練を行っていく候補者同士でチームとしての意識を養うこと、実際に宇宙へ飛行するときに必要となるリーダーシップやチームワークについて学ぶことを目的としています。 訓練はメイン州にある海軍の施設で行われました。野外実習時の持ち物は非常食や水筒などのほか、地図やコンパス、"カッパ"などです。カッパは雨の時だけではなくシェルターや負傷者を運ぶ担架、寝袋として、また緊急脱出した際のパラシュートやそのひもはいろいろな用途に使えます。「創意工夫」がサバイバル訓練のキーワードです。火のおこし方や緊急医療について学び、食べることができる植物を探して食べたりもしました。 サバイバル訓練最終日には、抜き打ちで負傷者救助訓練が実施されました。負傷者が出た場合、ヘリコプターなどで搬送できる場所まで運ばなくてはいけません。インストラクタはこのときただ見守っているだけで、計画から道具の準備、看護まで全て候補者だけで協力して行いました。 高崎高校・高崎女子高校NASA研修 宇宙飛行士講演
8月18~28日、スーパーサイエンスハイスクールに指定されている群馬県立高崎高校および高崎女子高校の生徒125人が、研修のため渡米し、NASAの施設などを訪れました。土井宇宙飛行士は、生徒たちがジョンソン宇宙センター(JSC)を訪れた際、STS-87ミッションで行った船外活動の話題を中心に講演を行いました。また、NASAで宇宙塵と隕石の研究をしている中村圭子さんが自身の研究について説明しました。質疑応答の時間には、「無重量環境訓練施設(NBL)で行う水中での船外活動訓練と実際の船外活動との違いは?」など、時間内では答えきれないほどたくさんの質問が寄せられました。 最終更新日:2004年9月22日
|