JAXA宇宙飛行士活動レポート 2004年6月
JAXA宇宙飛行士の2004年6月の活動状況についてご紹介します。 ミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)候補者訓練
古川、星出、山崎(旧姓角野)宇宙飛行士は、スペースシャトルのミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)注1の資格を得るため、米国にてMS候補者訓練を開始しました(参照:スペースシャトル搭乗宇宙飛行士の訓練)。また3名は、米国への出発に先立ち6月7日に記者会見を行い、訓練への抱負を語りました。 注1:MSはスペースシャトルの運用全般を担当し、ロボットアーム操作などのスペースシャトルのシステム運用や船外活動、パイロットの補佐などを行います。国際宇宙ステーション(ISS)の組み立てには、MSが中心的な役割を担います。 MS候補者訓練は、2004年に採用されたNASAの宇宙飛行士候補者とともに約1年半にわたって行われ、スペースシャトルおよび国際宇宙ステーション(ISS)のシステム訓練や飛行機操縦訓練、飛行機を用いた微小重力環境適応訓練などを行います。訓練の概要や実施内容については以下のプレスリリースをご覧ください。 3名は、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)において医学検査等を行った後、ペンサコーラ海軍飛行場(フロリダ州)に移動し、8月から行われる予定のT-38ジェット練習機注2操縦訓練(以下T-38操縦訓練)前の準備として、水上サバイバル訓練、T-34C練習機注2操縦訓練を行いました。なお、T-34C練習機およびT-38操縦訓練では、操縦中のストレス下で、複数の作業(通信、計器チェック、操舵など)を同時に行うことで、宇宙飛行でも要求されるマルチタスク能力、クルー間の連携力を高めます。 水上サバイバル訓練
T-34C練習機及びT-38操縦訓練前に、航空生理学、飛行機からの緊急脱出、パラシュートの操作方法、水上サバイバル、水面からヘリコプターへの回収、緊急着水したヘリコプターからの脱出方法などを習得するための講義や実習を実施しました。 T-34C練習機操縦訓練T-38ジェット練習機注2の操縦経験のないMS候補者のための飛行機操縦訓練です。T-34C練習機注2のシステムや緊急脱出、緊急手順について講義や実習を行うほか、シミュレータを用いた操縦訓練を実施しました。7月には実際の飛行訓練を開始する予定です。
注2:T-38ジェット練習機は、2基のエンジンを搭載した音速ジェット機で、主に米空軍の戦闘機パイロット養成のために古くから使われている2人乗りの練習機です。MSは、T-38ジェット練習機による飛行訓練を最初の2年間は年間100時間以上、それ以降は年間48時間以上行うことが義務づけられています。一方T-34C練習機は、ジェットエンジンでプロペラを回すプロペラ機です。 リフレッシャー訓練土井、古川、山崎(旧姓角野)宇宙飛行士は、6月初旬にリフレッシャー訓練を行いました。リフレッシャー訓練とは、アドバンスト訓練を一通り受けた後、復習などのために実施する技量維持向上訓練です。 3名の宇宙飛行士は、コンピュータや「きぼう」日本実験棟のモックアップ(実物大模型)やシミュレータを使用し、「きぼう」の電力通信系、流体・実験支援系といった船内系システムについて、アドバンスト訓練で実施した内容をもとに訓練を行いました。
第24回骨形態計測学会「有人宇宙飛行の実際と今後の展望」講演
若田宇宙飛行士は、かがわ国際会議場(香川)にて行われた第24回骨形態計測学会にて「有人宇宙飛行の実際と今後の展望」と題して講演を行いました。約200名の骨の専門家に対して、スペースシャトルの軌道上運用や、船外活動、宇宙飛行士訓練、ISSで使用されている運動器具、さらにスペースシャトルの飛行再開に向けた取り組み等について説明しました。 穂高町制50周年記念講演「未来の夢に向かって」
若田宇宙飛行士は、長野県穂高町で行われた講演会で、「未来の夢に向かって」と題して講演を行いました。会場には子供から大人まで500人を超える参加者が集まり、若田宇宙飛行士はスペースシャトルに搭乗しISS組み立てに参加したときの映像などを使用し、宇宙での生活や作業について説明しました。質疑応答の時間には、子供たちから「いつごろ一般の人も宇宙に行くことができるの?」といった質問が盛んに寄せられ、大いに盛り上がりました。 最終更新日:2004年8月5日
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