古川、星出両宇宙飛行士と角野候補者は、筑波宇宙センターの無重量環境試験棟で船外活動訓練を行いました。昨年に引き続き、今回が2回目の訓練です。
無重量環境試験棟は、直径が16m、深さ10.5mの水槽を備え、水の浮力を利用して宇宙空間の無重量環境を模擬できる施設です。
今回の訓練は、国際宇宙ステーションで船外活動の作業を円滑に実施できるように、第1回目の訓練で習得した知識や技術を維持・向上させ、基本となる動作を確実に身につけることを目的として行われました。
3人は、事前に船外活動工具の使用法、潜水生理学、緊急対処法などについて講義を受けた後、1回3時間の訓練を1人あたり3日間にわたって行いました。訓練は宇宙服(*)を着用して、無重量環境を模擬した水中での移動方法、各種船外活動用工具の操作などの基本操作を行い、さらに「きぼう」組み立て手順作業の一部を行いました。
船外活動は船内のクルーと協調して行いますので、一人の宇宙飛行士が宇宙服(*)を着用して作業しているときには、他の宇宙飛行士が船内クルーの役目を負い、互いに交信しながら作業するといった方法で行いました。
* 水中で使用する宇宙服は、軌道上で使用する宇宙服の一部を水中用に改修したものです。
1997年にスペースシャトルミッションSTS-87において、船外活動を行い、豊富な船外活動経験を有している土井宇宙飛行士も米国ヒューストンから一時帰国し、アドバイザとして船外活動訓練の一部に立ち会いました。
水中では水の抵抗があるので体を移動するためにある程度の力を入れ続ける必要があります。ところが宇宙では、そういった抵抗が無い代わりに慣性力が働くので、早く移動しようとすると停止するときに大きな力が必要になります。また、角を曲がろうするときはゆっくり曲がらないと、やはり慣性力で体が振り回されてしまいます。土井宇宙飛行士は、このような実際に宇宙で作業する場合の注意事項などを3人にアドバイスしました。
ISS搭乗日本人宇宙飛行士活動レポート3月分は4月中旬に掲載予定です。お楽しみに。