サイトマップ

宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センタートップページ
  • Menu01
  • Menu02
  • Menu03
  • Menu04
  • Menu05
  • Menu06
  • Menu07

JAXAの宇宙飛行士

NEEMO16のミッションが無事に終了しました

最終更新日:2012年6月25日

恐怖や緊張について話していた、ミッションの開始前が懐かしいです。今日は、ミッションの総括的な意味を込めて、将来の有人宇宙開発について書いてみたいと思います。

これまで、あまり詳しく説明しませんでしたが、今回のNEEMO16の主な目的は、小惑星探査で船外活動(宇宙遊泳)を行う際の方法を検証することでした。何名で船外活動を行うのか?それをサポートする小型宇宙船は必要なのか?必要ならば、それは何台必要なのか?といった疑問に対し、実際に模擬環境で作業を行ってデータを取得するのが私達の役割だったのです。有人小惑星探査への取り組みは始まったばかりです。現在、NASAは、2025年に有人小惑星探査を行う事を目標に準備を行っています。「2025年の飛行のために、今から試験をするのは早すぎるのでは?」と考える方もおられるかもしれませんが、早い時期に試験を行い、正しい方針を決める事で、将来に使用する予算を大幅に節約できるという考えのもとに、今回の試験を実施しました。

それでは話は変わりますが、なぜ小惑星探査をしなければならないのでしょうか?実は疑問に思っている方も多いのではないですか?

重要な目的はいくつかあります。

  1. 生命の誕生を含む、太陽系の歴史を探ること。「科学的な探究心によるもの」
  2. 将来の有人火星探査計画へのステップとして、有人探査の経験を積むこと(具体例としては、小惑星探査→火星の衛星フォボスの探査→火星探査)。「人類の可能性を拓くための取組み」
  3. レアメタル等の資源を確保すること。「より豊かな生活、経済活動」
  4. 将来起こる小惑星の衝突に備え、それを防ぐ手段を確立すること。「地球上の生命を守るための取組み」

写真:「はやぶさ」が撮影した写真を元に自主訓練です。まず、ピックアップしなければならないのは、写真下方かつ中央付近に写っている黒っぽい石です。他の石と特徴(色)が違っていますね。炭素を多く含み、生命誕生の秘密を解く鍵を秘めているかもしれません。この石のサンプルを取得するには、どうしたら良いのか?考えれば考えるほど、楽しくなってきます。

「はやぶさ」が撮影した写真を元に自主訓練です。まず、ピックアップしなければならないのは、写真下方かつ中央付近に写っている黒っぽい石です。他の石と特徴(色)が違っていますね。炭素を多く含み、生命誕生の秘密を解く鍵を秘めているかもしれません。この石のサンプルを取得するには、どうしたら良いのか?考えれば考えるほど、楽しくなってきます。


写真:NASAの宇宙飛行士候補者訓練で地質学を学ぶ大西宇宙飛行士と私。図鑑でしか見たことのなかったバリンジャー・クレーターを教材に訓練して、幸せな様子。

NASAの宇宙飛行士候補者訓練で地質学を学ぶ大西宇宙飛行士と私。図鑑でしか見たことのなかったバリンジャー・クレーターを教材に訓練して、幸せな様子。(出典:JAXA/NASA)

これらの目的を達成するための方法としては、探査機による活動と有人の活動がありますが、それぞれ長所と短所があり、それぞれの長所をうまく活用しながら探査を進める事が重要です。例えば、現在のロボット技術を活用すると、「はやぶさ」の例からもわかるとおり、科学的なデータを取得するという事に関しては、かなりの事が可能です。しかも、人命を危険にさらす事なく、予算も有人探査より抑える事が出来ます。一方で、探査機での探査は、人間の探査ほどには柔軟性がありません。人間であれば、科学的に興味深い場所が発見されれば、状況に応じ計画を変更し、サンプルを取得することが可能です。また、そもそも、上記の2~4の目的に関しては、探査機による探査だけでは、限界があります。

ただ、最初に有人小惑星探査を行う際は、科学的な探査が主な目的となると思います。その際に、宇宙飛行士が有意義な探査を行うためには、地質学者としての知識が重要です。NASAでの宇宙飛行士候補者訓練でも、多くの時間を地質学の勉強に費やしました(地質学は、私のお気に入りの訓練の一つでした。ちなみに、私は「はやぶさ」が撮影したイトカワの写真を見ながら、「何処からサンプルを取れば良いか?」等についても考えています。これも、非常に良い訓練になります)。

また、私は宇宙飛行士になった以降、幸いな事に月探査関連の会議などにも参加させて頂き、その重要性について理解を深める事ができました。一方で、私はテストパイロットだった事もあり、日本の有人宇宙船の試験飛行をしてみたいという夢もあります。しかし、現在の日本の状況を考えれば、すべてを同時に実施する事は到底不可能ですので、将来のしっかりしたビジョンに基づき効率的な活動を行う必要があるのでしょう。

私が、自衛隊の学校に行っている時に何度も指導された事を思い出します。 「重要な決定を行う指揮官に対して、代表的な方針案(ビジョン)を提示し、その利点、欠点及び欠点を補うための対策案をまとめ、簡潔に述べなさい。それが出来ないようでは、指揮官を補佐する事は出来ない!」と...。

宇宙開発の方針について最終的な決定権をお持ちなのは、貴重な税金を支払っている国民の皆様方です。私も、宇宙開発に携わる者の一員として、国民の皆様方が今後の宇宙開発の方針について意見を持ちやすいように情報を提供していきたいと思いますので、耳を傾けていただけると嬉しいです。

一方で、私が今、全力でやらなければならないのは、ISS搭乗を目指して必要な技能を身につけることです。まだ決まっていない将来のことで悩んでいても仕方ありません。大学時代に私が進路について悩んでいる時、私の先輩は、「悩むのは大いに結構。しかしながら、悩みながらも、今やらなければならないことを一生懸命頑張りなさい。頑張り続けることで、自分の気づかないところで将来の道がひろがって行くのだ。」と助言してくれました。この言葉は、私の人生の中で、大きな意味を持ちつづけて来ました。ISSの後のミッションについては決まっておらず、不安になることもあります。しかし、今は目の前にあるISS搭乗という目標に向かって頑張ることで、私の能力が向上し、日本の宇宙開発の道がどの様な方向に進もうとも、貢献できる能力を身につける事ができるのでしょう。国民の皆様方が日本の将来の有人宇宙開発において、どの様な決定をしても貢献できるようにしておきますので、安心してください。


写真:アクエリアスを去る直前に、窓までお別れの挨拶に来てくれた海亀です。「見送りありがとう。お互いに頑張ろうな!」と心の中でつぶやきました

アクエリアスを去る直前に、窓までお別れの挨拶に来てくれた海亀です。「見送りありがとう。お互いに頑張ろうな!」と心の中でつぶやきました

今日は、日頃考えていることを交えながら少しだけ小惑星探査についてお話ししました。皆さんの率直なご意見も伺いたいので、ツイッター(@Astro_Kimiya)を活用して下さい。ツイッターで頂いたコメントは、すべて読んでいます。全て個別に回答する時間はありませんが、多くの方から頂いたご意見や質問には、時間の許す限り対応させて頂きたいと思います。

それでは、また!

(今後は、また月に1回のペースに戻ります。今回のNEEMO期間中に「今は海亀編」を読んでいただいた方々、本当にありがとうございました!今後とも、新人宇宙飛行士の3人の応援を宜しくお願い致します。)

訓練を終えた油井宇宙飛行士からのメッセージ [36秒]

 
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約