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シリコンは様々な分野に使われ、現在の私達の生活になくてはならない半導体です。 シリコン上に作られる素子の大きさを小さくすることにより、メモリーの容量は飛躍的に向上し、コンピュータの小型化、高速化が達成されました。 現在のパソコンでは、演算速度を表わすクロック周波数(注)が3GHz程度まで高速化し、メモリー容量も100Gバイトと大容量になっています。 しかし、半導体素子をこれ以上小さくしようという試みは、技術的な壁に阻まれています。 たとえば、パソコンのクロック周波数はここ3年の間、3〜4GHz程度にとどまっており、これ以上の高速化は困難な状況です。

(注)クロック周波数:コンピュータ内部でさまざまな動作のタイミングをとるために使われる時間信号のことで、値が大きいほどコンピュータの処理能力が高くなります。



こうした状況を打開するため、現在、シリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)が半々に混ざった半導体Si0.5Ge0.5を基板とし、その上にSiやGeの薄膜を形成し、さらにそれらの上に酸化膜(Oxide)と電極(Metal)を形成した「電界効果型MOS構造トランジスタ」が提案されています。 これらのトランジスタは、Si基板トランジスタに比べて高速化が期待されています。



しかし、均一組成・大口径のSi0.5Ge0.5が製造できないために、このようなトランジスタはまだ実現していません。 今回の宇宙実験で、対流制御とTLZ法を組み合わせることにより、大口径の高品質単結晶(注)が得られれば、地上装置に磁場をかけるなどして対流の影響を抑えることにより、TLZ法の地上への応用も可能となります。 均一組成かつ大口径のSi0.5Ge0.5が製造できるようになれば、Si0.5Ge0.5を基板とする、高速低消費電力トランジスタの実現に道が開けるのです(図7)。 現在のコンピュータに比べると、処理能力は数倍、消費電力は1/7という高性能コンピュータが可能になります。 高性能化だけでなく地球環境にやさしい電子素子が実現できる点も注目されます。

(注)単結晶:結晶の軸の向きが、結晶内のどこであっても同じである結晶。 実用面において、単結晶を育成することは重要な課題です。



図7 パソコンに使われているコンピュータのクロック周波数と消費電力の推移および宇宙実験成果による期待値(赤点)。
クロック周波数が大きくなるほど、処理能力は上がりますが、消費電力は増加してしまいます。宇宙実験によって大口径の高品質単結晶が得られれば、技術革新が期待できます。

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