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宇宙服と船外活動

宇宙服の役目と機能
1997年11月に土井宇宙飛行士が実施したEVA
スペースシャトルの宇宙服外観図
宇宙服主要構成品
 「宇宙服」とは、人間が宇宙船から 宇宙空間に出て船外活動(EVA:Ext-ravehicular Activity)を行うためのシステムで、これまで米国と旧ソ連/ロシアが有人宇宙活動領域を広げるために開発、発展してきました。古くはアポロ計画における月面活動、最近では1997年11月に行われた土井宇宙飛行士の人工衛星回収、そして1998年11月に建設が開始されたISSの組立てなど、EVAは有人宇宙活動の重要な要素となっています。
 その宇宙服の基本的な機能は、次の3点です。

(1) 宇宙空間において人体を生存可能な与圧状態にできること
(2) 生命維持に必要な酸素供給、炭酸ガス除去、そして温度・湿度の制御ができること
(3) 宇宙空間において要求される活動ができること

 これらの機能は、高々度航空機のパイロットが着用する与圧服を、宇宙空間用に改良すれば実現できます。そのため、航空機パイロットの与圧服をベースに宇宙服の開発は始められ、米国ではマーキュリー、ジェミニ、アポロおよびスペースシャトル計画を通じて、宇宙服の開発が行われてきました。

 現在運用中のスペースシャトル用宇宙服は、宇宙服本体と生命維持装置から構成されています。

 宇宙服本体は、与圧機能(約0.3気圧)、モビリティ機能、断熱機能、冷却機能、太陽光防護機能、微小隕石防護機能を持ち、上半身構体部、下半身部、腕部、手袋、ヘルメット、水冷下着から構成されます。

 生命維持装置は、呼吸用酸素の供給、二酸化炭素の除去、宇宙服本体内の気圧と温度のコントロール、水冷下着用冷却水の供給と冷却、そしてスペースシャトルとの通信機能を持ち、主生命維持装置、二次酸素タンク、表示制御装置から構成されます。

 宇宙服本体と生命維持装置で約125kgの重量があり、1回当たり約7時間のEVAが可能です。

船外活動(EVA)に必要な準備
 宇宙空間において宇宙機を組み立てるようなEVAを実施するには、以下に述べるような周到な準備作業が必要となります。
  ハードウェアの検証
   
無重量環境試験設備における試験
EVAを行うために設計された構造物(ハードウェア)は、宇宙飛行士が実際の宇宙空間で作業をしやすいように設計されなくてはなりません。例えば、作業場所への移動が容易に行えることや、作業に必要な道具(ツール)が使用できるくらいの場所を確保できることが必要 です。さらに、身体がハードウェアに固定でき、作業対象物が明確に識別できるよう、設計には十分に配慮することが大切です。
 これらのハードウェアは、実際の宇宙空間で使用される前に、地上でその設計の妥当性を確かめるための検証試験が行われます。
 この検証試験は大きなプール(無重量環境試験模擬水槽)を用いて行われ、無重量環境シミュレーション試験と呼ばれています。これは水の浮力と重力を利用して、中性浮力の状態 (浮きも沈みもしない状態)を水中で作り出して行う試験です。プールには実際のハードウェアとほぼ同じ寸法の模型を沈め、そこに宇宙飛行士が宇宙服(*)を着て潜水し、宇宙空間で行う作業と同様の作業が行えるかどうかを検証します。
 「きぼう」日本実験棟についても、筑波宇宙センターにある無重量試験設備を使用して試験が行われました。

* 水中で使用する宇宙服は、軌道上で使用する宇宙服の一部を水中用に改修したものです。


  宇宙飛行士の準備作業
   スペースシャトル計画では搭乗運用技術者(MS:ミッションスペシャリスト)の基礎訓練課程において、スペースシャトルを運用する上で必要な基本的なEVAの訓練を行っています。これらには、宇宙服がそれぞれの宇宙飛行士のサイズ(体型)に適しているかを確認する他、基本的なEVAツールの取り扱いや、プールを使用しての無重量シミュレーション訓練などが含まれます。
 スペースシャトルの運用では、EVAが計画されると、まずMSが指名され、EVAの内容の詳細化と手順化が行われます。手順が制限時間内に実施可能かどうか、発生する可能性がある障害を適切に処理できるかどうかなどを訓練で確認し、手順の修正などを行います。これらのためにプールを使用した無重量環境模擬試験が多用されています。

EVAの実施までの特別な準備の時間
 実際のEVAでは、宇宙服を着用して船外に出るまで、およそ10数時間を要する特別な準備作業が必要となります。これは、スペースシャトルのキャビン内が1気圧(酸素21%、窒素79%)で与圧されているのに対 し、宇宙服内は0.3気圧の純酸素であるからです。
 人間は短い時間の間にこのような圧力変化にさらされると、減圧症を発症する可能性があります。これを避けるため、減圧前に100%酸素を一定時間呼吸し、体内から窒素ガスを排出する脱窒素法(プレブリージング)を行って、飛行士の体を宇宙服内の気圧に慣らさなければなりません。
 具体的には、まずEVAを行う12時間以上前に、1気圧下で60分プレブリージングを行います。その終了直前にキャビン内の気圧を0.7気圧(酸素27%、窒素73%)に下げて、12時間以上保持します。その後、宇宙服を着用して40分から75分の最終のプレブリージングを行います。その後、船外へ出てEVAが実施されることとなります。
 2004年の建設完了を目指して組み立てられるISSでは多くのEVAが計画されており、EVA技術は有人宇宙活動において、今後、ますます重要になってくると思われます。


最終更新日:2006年1月17日

 
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