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コラム ―宇宙開発の現場から―

コラム―宇宙開発の現場から―
【国際宇宙ステーションと世界の旅】 Vol.02 第二日目 世界で一番新しい、ロケット発射場
 ヨロブン アンニョンハセヨ! 皆さん こんにちは。

 韓流ブーム以降、かつては近くて遠い国と言われていた日本と韓国の関係も挨拶の言葉を知る人が増えるとともに、少しずつ近くなってきたようです。5月18日に打ち上がったH2A21号機には、韓国の多目的実用衛星KOMPSAT-3号が搭載され、無事に軌道に投入されました。日本が海外から初めて受注した打ち上げ契約によるものです。

 韓国には世界で最も最近に建設されたばかりの、ロケット発射場があります。ところは、朝鮮半島の南端、外羅老島(wenarodo)。三陸のように海岸線が複雑に入り込み、多くの島が点在する風向明媚な場所です。地図検索ウィンドウで、naro space center と入力してみましょう。韓国語で?????? ?????(ナロ宇宙センター 宇宙科学館)と言う選択肢が出てきたら、検索成功です。早速地図をズームしてみましょう。もとは島ですが、半島の南順天(Suncheon)という町から内羅老島を経て外羅老島へと今では道路でつながっているので、自動車で行くことができます。

 韓国の宇宙開発は「韓国航空宇宙研究院」(KARI: Korea Aerospace Research Institute)を中核として推進されています。研究所は韓国のほぼ中央に位置する、大田広域市(Daejeon)にありますが、ナロ宇宙センターはさらにここ(大田)から車で5時間強の距離になります。写真1は行程のほぼ中央に位置するOsuのサービスエリアの2月の様子、日本の高速道路と同じようにトイレや売店、飲食店があります。東京と大体同じ緯度ながら2月の気温は低く寒々としていますね。 朝から5時間走って、昼飯に寄った食堂が写真2「青桐を植えて鳳凰を待つも現れず、ただ空には一片の名月」というような風流な詩が看板に掲げられていました。食堂っぽくないですね(^^)

写真1:Osuサービスエリア。寒いです。
写真1:Osuサービスエリア。寒いです。
 
写真2:半島の端の食堂。定食が400円位
写真2:半島の端の食堂。定食が400円位
 ここで、美味しいビビンバで腹ごしらえして、さらに走ること1時間余り、途中では工事中の資材が置きっぱなしで封鎖状態の橋を乗り越え、山越え、やっと宇宙センターに到着です。
 NARO宇宙センターは2009年に完成したばかりの施設で、ゲートを入るとすぐにロケットの実物大模型が並ぶ広場と、広場に面した科学館があります。地図を写真モードに切り替えると、馬蹄形状の科学館やロケット広場が視認できます。

写真3:ロケット模型のならぶ広場
写真3:ロケット模型のならぶ広場
 
写真4:発射を待つナロロケット(提供:KARI)
写真4:発射を待つナロロケット(提供:KARI)
 科学館は一般の人も自由に入ることができ、宇宙だけでなく、科学一般の展示がなされています。展示館から先は制限エリアになっていて、ロケットの整備棟を経て発射台まで道が続いています。海岸線を走る一本道を追っていくと、ナロと大きく書かれた桟橋が目につきます。別の場所でつくられたロケットの各部分や衛星は船でここまで運ばれて、最後の組み立てを終えると、トレーラーでその先の断崖の上にある射点に移動する仕組みです。射点の付近を最大に拡大すれば、ロケットを囲む高い避雷針を見ることができますね。新しい設備だけあって、ロケットの組み立て、運搬、射点への設置、打ち上げ管制システムはそれぞれシンプルにまとまってコンパクトな運用ができるようになっています。面積だけで比較すれば、ロシアのバイコヌール宇宙基地の1千分の1足らずの中に必要なすべての設備を擁しています。韓国のロケット開発はロシアとの協力で進められてきており、2009年及び2010年にそれぞれこの宇宙センターから打ち上げが行われましたが、残念ながら失敗でした。今年の秋には成功を期して3回目の打ち上げが計画されています。

写真5:宇宙科学館
写真5:宇宙科学館
 
写真6:宇宙といえばIMAXシアター
写真6:宇宙といえばIMAXシアター
 宇宙科学館は島の先端という辺鄙な立地にも関わらず、地元からの見学者と思われる方々が熱心に見学されていました。日本の種子島が離島であるのに比較すると、車で行ける地続きというのは便利な面もあります。館内には、イ・ソヨンさんの写真とともに、宇宙技術の発展を目指す意気ごみが書かれたプレートが掲げられていました。(写真7)
 イソヨンさんはロシアと韓国の協力で2008年に国際宇宙ステーションに搭乗しました。 ちょうど日本のきぼうモジュールが打ち上がった時期でもあり、JAXAは宇宙放射線を測ることのできる日本の線量計 Crew PADLES で宇宙飛行中の被曝量を測る等の協力をおこないました。

写真7:宇宙飛行士 イ・ソヨンさん
写真7:宇宙飛行士 イ・ソヨンさん
 
写真8:個人線量計Crew PADLES
写真8:個人線量計Crew PADLES
 ナロ宇宙センターに近い順天市は、海に向かって干潟が広がり、ラムサール条約にも加盟する生態系の豊かな土地で、霞ヶ浦湖畔にちょっと似た雰囲気です。 近くには慶長の役のときに宇喜多秀家と藤堂高虎が築城したと言われる順天倭城跡がのこってますが、今は人口27万の活気ある都市として発展しています。

写真9:順天自然公園・霞ヶ浦湖畔の雰囲気
写真9:順天自然公園・霞ヶ浦湖畔の雰囲気
 
写真10:市街地の夜景
写真10:市街地の夜景
 ナロ宇宙センターはことし万博が開かれている麗水からは比較的近い位置にあります。今年の夏休みの時期には中学生を対象としたスペースキャンプの計画もあります。 日本と韓国の関係は隣国同士、難しい課題を抱えながらも近年は観光と文化交流の急速な増加に加え政治・経済面での結び付きも強くなっています。
 宇宙分野での協力も順調に進展させていきたいものです。

 それでは、またどこか別の町で。
 アンニョヒケセヨ
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