スペースシャトルでのラット実験サンプルシェア研究テーマ選定結果 |
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宇宙環境の造精機能への影響 -アポトーシス関連因子および造精機能に関与する転写因子の発現と定量化
提案者:郡 健二郎
所属機関:名古屋市立大学 医学部 泌尿器科学教室
研究目的
精巣において発現するアポトーシス関連因子および蛋白合成を調節する因子(転写因子)を通して、宇宙環境において造精機能障害がおきるメカニズムについて詳細に解明することを目的とします。
研究方法・内容
宇宙環境において、生殖機能が正常に維持されるかどうかは、宇宙において生活する上では重要な課題のひとつです。特に、宇宙においては、無重力環境におけるストレスやホルモンの変化、あるいは宇宙線による直接的な造精機能への障害などが危惧されます。実際に宇宙飛行したラットに造精機能障害を認めることはわかっていますが、そのメカニズムは全く不明です。
一方、造精機能のメカニズムは、地上においても多くの不明点があります。我々は、臨床医の立場から、日常診療において、男子不妊症、性分化異常症、先天性性腺疾患の診断治療を行っていますが、これらの原因と病態を解明することは、疾患の治療に大いに役立つと考えています。これまでに、造精機能のメカニズムを解明すべく、ラットやマウスなどの実験動物を用いて、造精機能障害疾患モデルを作製し研究を重ねてきました。これらの検討では、Dax1、Sf1、NfkappaBなどの転写因子やBcl-2
family、p53、Calpain、NOSなどの因子が、様々な造精機能障害疾患モデルの動物精巣において、精子形成周期に依存しつつ、アポトーシス(細胞の自滅)に関連してその発現に変化をもたらしていることがわかってきました。つまり、これらの因子が、造精機能の維持に重要な役割を果たしているものと推察されます。今回我々は、これら因子の発現の変化を通して、宇宙環境において造精機能障害がおきるメカニズムについて詳細に解明します。
期待される成果
宇宙に飛行したラット精巣において認められる造精機能障害の発症メカニズムを解明することが可能となります。
最終更新日:2002年 2月 14日
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