スペースシャトルでのラット実験サンプルシェア研究テーマ選定結果 |
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微小重力が末梢前庭の遺伝子発現に及ぼす影響
提案者:宇佐美 真一
所属機関:信州大学 医学部 耳鼻咽喉科学講座
研究目的
生物が無重力状態におかれた際に、重力を感知する前庭末梢器(内耳の器官)にどのような変化がおきるかを遺伝子レベルで検出し、その後いかなるメカニズムが働いて生体が新しい重力環境に適応していくのか明らかにします。
研究方法・内容
無重力状態においては加速度が生じないため前庭末梢器における加速度の入力に変化が生じ、「宇宙酔い」の一因となっている可能性が考えられています。重力の変化(微小重力環境)が前庭末梢器にどのような影響を及ぼすか、また1Gの環境のもとで進化してきた生物がどのように微小重力環境に適応していくかについてのメカニズムの解明は、今後人類が宇宙空間に長期滞在するためには解決しなければならない重要なテーマの一つです。このような「適応」は一般的には脳が主な役割を演じていると考えられてきましたが、近年器官レベルでも種々の変化が起きていることが推測されています。今回、前庭末梢器における遺伝子発現の変化をディファレンシャル・ディスプレー法、DNAマイクロアレイ法といった新しい分子生物学的な解析手法を用いて遺伝子レベルで検出し、前庭末梢器においてどのようなメカニズムが働いて生体が新しい重力環境に適応していくのか明らかしたいと考えています。
期待される成果
現在、我々の提案した国際公募テーマがフライト実験に向けて準備が進められています。このフライト実験では内耳から脳を含め前庭系全体の検討を行う予定ですが、今回の実験では内耳に限って解析を行う予定です。内耳に関しては脳に比較してサンプル量が少ないために技術的な困難が予想され、また実験回数も限られています。したがって今回の研究は最適な実験条件を決定するための重要な予備実験となるばかりでなく、今後の我々のフライト実験で統計的に有意な値を得るためにも重要な実験と考えています。
最終更新日:2002年 2月 14日
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