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2019年10月5日(土)、快晴、夏の様な日差しと気温の中、筑波宇宙センター特別公開が開催され、1万名を超える多くの皆様にご来場いただきました。
「きぼう」日本実験棟と、宇宙ステーション補給機「こうのとり」の運用管制室を両方とも公開しました。
「こうのとり」の打ち上げから地球への帰還まで、3Dメガネをかけて大迫力の映像を体験していただきました。その後数に限りがありましたが、3Dプリンタで出力した「こうのとり」の塗り絵体験コーナーもあり、完成した作品はで塗り絵をし、思い出と共にお持ち帰りいただきました。
国際宇宙ステーションは、宇宙飛行士だけじゃない!「きぼう」日本実験棟で行われている4つの実験(マウスミッション、高品質タンパク質結晶生成実験、静電浮遊炉実験、船外利用)について、クイズをまじえての講演を行い、宇宙や「きぼう」だからこそできる実験の魅力を分かりやすく紹介しました。
有人宇宙技術部門きぼう利用センター小川志保センター長の「きぼう」日本実験棟の説明からトークショーが始まりました。宇宙では地上よりも、現象が早くなる、見えないものが見える、きれいなものが作れるなど、「きぼう」の特殊な実験環境についてお話しました。
きぼう利用センター芝大技術領域主幹から小動物(マウス)飼育ミッションの紹介を行いました。マウスの飼育装置には、マウスの尿をエアで流し壁面で吸着できる構造になっていたり、ビデオカメラでマウスを常時観察できたりと、宇宙でマウスを健康に飼育するための沢山の工夫がなされていることを伝えました。
きぼう利用センター一水紗理研究開発員より新しい薬の開発に役立つタンパク質結晶実験の説明を行いました。薬を作るためには、タンパク質結晶の「形の情報」が特に重要であり、宇宙では地上よりも不純物が少ない綺麗な形の結晶を作ることができるとのお話がありました。また、現在は大学との共同研究により宇宙で得られた結晶を基に、歯周病治療薬の研究開発などが進められていることを紹介しました。
きぼう利用センター猿渡英樹技術領域主幹より、金属などを容器から浮かせて溶かす実験について説明しました。中々見ることのできない2000度の液体が宇宙で融ける様子を映像で示すことで、宇宙実験を身近に感じることができたかな。
きぼう利用センター佐藤崇行主任研究開発員から「きぼう」の船外にある地球や宇宙の観測装置を利用したミッションについて説明がありました。大気の影響を受けない「きぼう」から、X線や宇宙線で宇宙を見ることで宇宙の成り立ちを詳しく調べることができること、「きぼう」から、可視光や赤外線で「地球」を見ることで1日の間に世界の様々な地域を上空から観察できることについてお話しました。
「きぼう」での様々な実験や活動について、ポスターや模型を使い、来場者からの素朴な疑問から専門的な質問まで、宇宙実験担当者が直接説明をしました。また、皆様から宇宙実験への沢山の応援メッセージを頂きました。皆様からのメッセージを少しご紹介します。
ポスター・模型展示と並行して、展示会場の一角で「燃焼科学実験」「高品質タンパク質結晶生成実験」「船外実験」「アジアの国々との協力(STEM教育/ロボット)」「小動物飼育ミッション」「静電浮遊炉」など、「きぼう」で行っている様々な実験についてきぼう利用センター職員によるミニセミナーを開催しました。JAXA担当者も成果を熱く語り、また、熱心に聞いて下さった方々から、なるほど、という多くのコメントや質問を頂くなど、大盛況のうちに終えることができました。
大西宇宙飛行士、金井宇宙飛行士それぞれ2回の計4回の対話型講演を行い、宇宙での「食事」と「運動」についてお話しました。
宇宙飛行士健康管理グループの港屋ますみ研究開発員、キッコーマン株式会社塚本崇氏、尾西食品株式会社伊藤秀朗氏の方々に宇宙日本食の開発の飛び散らない容器の開発、味付けなどのご苦労、大西宇宙飛行士の味覚の変化や直ぐに満腹になってしまうなどの経験と共に紹介しました。
大西宇宙飛行士が宇宙で行った運動について、動画を交えて紹介しました。その後、宇宙飛行士運用管制ユニット宇宙飛行士健康管理グループ、 山田深・生理的対策責任者と共に、宇宙での運動、地球に帰ってからのリハビリテーションについて紹介しました。貴重な経験のお話に対し、会場のみなさんは釘づけでした。
大西宇宙飛行士は、会場の参加者からの質問に答えました。参加者と大西宇宙飛行士、登壇者の方々との対話の一部を要約してご紹介します。
Q:火事があったらどうするのですか?
A:火事は酸素が必要なので、酸素の動きを止めるため、エアコンなどを切り、空気の流れをとめることを一番最初に行います。
Q:打ち上げの時、どんな感じでしたか?
A:ソユーズというロケットのてっぺん(50m位の高さ)で、ヘルメット、宇宙服を着ているので音がほとんど聞こえません。おしりの遠くの方で何か持ち上げられている不思議な感じでした。
Q:宇宙食で珍しいものはありますか?
A:ラーメンがあります。
Q:しょうゆはこぼれないですか?
A:容器を工夫してあり、押した分だけでてくる様になっているのでこぼれません。いろんな所に機械が有るので、液体がこぼれるととても大変なことになります。スープも粘り気が有ります。
Q:トイレしたこと有りますか?
A:したこと有ります。最初はとても難しく、プカプカ浮いて危険な作業です。先輩宇宙飛行士のアドバイスで、慣れるまでスッポンポンでしてました。
Q:どんな星に行きたいですか?
A:月は行ってみたいですね。月から地球を見てみたい。国際宇宙ステーションに行く前は、火星に行きたかったのですが、少し怖くなりました。
Q:無重力でどうやって宇宙船を動かすのですか?
A:宇宙船は力をかけた反対方向に進みます。スーパーマンごっこはとても難しく、三か月かかりました。
Q:三半規管が弱いのですが、大西宇宙飛行士は強いですか?
A:強い方ではないです。宇宙から帰ってきて2時間くらい吐き気などの症状でつらかったです。
Q:宇宙に行って最初にすることはなんですか?
A:仕事では、自分が乗ってきた宇宙船の点検です。宇宙に行った実感は、手に持ったペンが浮いて、ペンを回したらずっと回っていたことでした。
国際宇宙ステーションでの運動についてお話があり、山田生理的対策責任者とともに、筋力トレーニング、水泳、球技といった将来の宇宙での運動についての興味深いお話がありました。中でも金井宇宙飛行士は元海上自衛官で水泳は必須で、「月面プールは面白そうですね」、とお話ししました。
金井宇宙飛行士と港屋研究開発員、福井県立若狭高等学校小坂康之氏、ロッテ中央研究所吉田麻寿美氏、三基商事株式会社下川史弘氏に宇宙日本食開発の苦労など、金井宇宙飛行士の経験と共に紹介しました。 若狭高等学校は先生ではなく生徒が12年の歳月をかけて宇宙日本食の認証となったこと、ロッテ中央研究所では特に衛生面を徹底したこと、三木商事株式会社では市販品はビンでの販売であり、宇宙日本食ではパッケージを変更したことなどお話ししました。
金井宇宙飛行士も、会場の参加者からの質問に答えました。参加者と金井宇宙飛行士、登壇者の方々との対話の一部を要約してご紹介します。
Q:宇宙で一番楽しかったことは何ですか?
A:スーパーマンの様に飛んで移動することが、チョー楽しかったです。
Q:ソユーズを出て、ステーションに着いたら何をするのですか?
A:ステーションのオリエンテーション、避難訓練をしました。
Q:宇宙ステーションに行ったら、何をしたかったですか?
A:地球を見ること。見て感動しました。
Q:宇宙ステーションでの放射線の対応は考えていますか?
A:滞在期間を調整しています。半年の滞在を原則としています。
Q:重力の重い星に行ったら、運動はしなくても良いですか?
A:立ったり座ったりするだけでも運動になると思います。
Q:宇宙では病気になるのですか?
A:なります。地上からサポートしています。管制センターに連絡して、薬を飲んだりします。
Q:宇宙で手術は可能ですか?
A:難しいです。内臓は浮いてしましますし、血液も飛び散ります。急病だったり、手術が必要な時には、三人一組でソユーズ宇宙船に乗り、数時間で地球に戻ります。
Q:次はどこに行きたいですか?
A:逆にどこにいきたいですか?
Q:月に行きたいです。
A:賛成です。
Q:好きな天体はなんですか?
A:あなたの好きな天体はなんですか?
Q:ブラックホール!
A:私にはちょっと怖いです。好きな天体は月かな。
Q:宇宙とはどんなところですか?
A:宇宙は境目が無いです。決して特別なところでは無いと思います。
普段非公開の「きぼう」船内実験室と船外実験プラットフォームのエンジニアリングモデル、宇宙から帰ってきたホンモノのHTV搭載小型回収カプセル、将来の国際宇宙探査に向けた月面与圧ローバ、新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)を更に発展させたHTV-XDの模型、Int-Ballも公開され、JAXA職員による解説が行われました。
国際宇宙ステーションで宇宙飛行士たちが食べている「宇宙日本食」の実物の展示や、宇宙飛行士の健康管理についてポスターなどで紹介しました。
毎年大人気の「ようこそ!宇宙飛行士養成棟へ」、宇宙飛行士の訓練設備の見学や、『「きぼう」運用管制官模擬体験コーナー』、「こうのとり」「新型補給機」紹介として今年は「こうのとり」キャプチャの体験や工作などの催しがありました。
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