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9月2日、JAXA筑波宇宙センター展示館スペースドーム(茨城県つくば市)にて、「きぼう」・「こうのとり」10周年記念式典が開催されました。会場はこれまで「きぼう」・「こうのとり」の開発・運用に携わった大勢のJAXA関係者、国内外からの招待者、およびメディアの方々などで賑わい、久々の顔合わせで旧交を温めたり、登壇者のジョークを交えたスピーチに時折笑いを誘われたり、といった和やかな雰囲気で式典は進みました。
大西卓哉宇宙飛行士および梅村さや香(JAXA有人宇宙技術部門きぼう利用センター/主任研究開発員)による司会進行の下、はじめに山川宏(JAXA/理事長)より、これまで国際宇宙ステーション(ISS)の開発・運用に携わった国内外からの招待者に対し、共に「きぼう」完成と「こうのとり」打ち上げ10周年を祝えること、および「きぼう」の成果の振り返りと今後のISSについて挨拶がありました。
ISS計画が我が国の科学技術分野における大規模な国際協力の先駆けであり、これまでの技術的・政策的課題を乗り越えて蓄積してきた知見・教訓は宇宙に限らず他の分野・取組にも活かされていることや、次の10年では、ISSや地球低軌道での有人宇宙活動が、新たな知見などの獲得に留まらず、産業界がさらに自立してビジネスの場として発展していくことを期待する、と述べました。
ISSが平和利用の象徴であり、ISSの宇宙飛行士の活躍が多くの青少年の夢を育んできた経緯に触れ、今後も国際パートナと共にISSプロジェクト推進の一翼を担っていきたいこと、また、宇宙基本計画策定後5年が経過し、その間にベンチャービジネスの参入、国際協力による月・火星探査への機運の高まりなど、宇宙利用の分野で大きな変化・発展が起こっている状況を踏まえ、同計画の改定について議論を開始した、と述べました。
情報通信研究機構(NICT)において「きぼう」に搭載された大気観測のためのリモートセンシング技術の研究開発や、「こうのとり」8号機に搭載されている小型衛星光通信実験装置(SOLISS)を用いた通信試験への取組みについて述べました。
ISSは宇宙産業においても重要な役割を果たしており、経済産業省でも、本年度後半に打ち上げられ、「きぼう」曝露部にて観測を開始する予定のハイパースペクトル&マルチスペクトルセンサシステム(HISUI)などを例に挙げ、積極的に「きぼう」の活用を進めていることについて述べました。
軌道上の第60次長期滞在クルーから祝辞が届けられました。日本が「きぼう」および「こうのとり」での実績を通じて非常に重要なパートナであることを示してきたこと、「きぼう」日本実験棟が価値ある研究開発基盤として、科学および技術を通して地上社会に恩恵をもたらしたこと、並びに「こうのとり」がISSの安全確保や利用の成功に不可欠なライフラインであることを挙げ、過去10年間における日本のISSに対する貢献への感謝と今後の成功を祈念するメッセージが伝えられました。
筒井史哉(JAXA/国際宇宙ステーションプログラムマネージャ)、植松洋彦(JAXA/HTV技術センター長)は、3回のスペースシャトル・ミッションに分けて打ち上げられた「きぼう」が、国際協力体制のもと2009年に組み立てを完了し、年を経るごとに実験設備としての能力を増し船内及び船外における様々な宇宙環境利用を支える基盤へと成長したことを振り返りました。
また、「きぼう」ではタンパク質結晶生成、小動物飼育、宇宙医学などの様々な実験が実施され社会に貢献してきたことや、ISSの運用に不可欠な物資の輸送やライフラインとして運用を支える重要な役割を現在まで担っている「こうのとり」を動画で紹介しました。
ケン・ポドワルスキィ氏(CSA/Gatewayプログラムディレクター)は、これまで仕事で係わりを持ったJAXA関係者との思い出を交えながら、印象に残っている出来事として、2008年にカナダの特殊目的ロボットアーム「デクスター」を「きぼう」と一緒に打ち上げ、今日まで共に歩んできたことや、カナダ初の長期滞在クルー(第20/21次)であるロバート・サースク宇宙飛行士が、「こうのとり」初号機の把持を行い、「こうのとり」はISSへ様々な物資を運んでくれる正に「おくりもの」である、と語っていたことなどを紹介しました。
ベルナルド・パティ氏(ESA/国際宇宙ステーションプログラムマネージャ)は、これまで様々な人材、財政面での危機があったが、各国の団結やリーダーシップなどで乗り越えてきたことを振り返り、宇宙商業化の促進、そして地球低軌道を超えて人類活動を拡大していくことへの展望を伝えました。
セルゲイ・クリカレフ氏(ROSCOSMOS/有人飛行局長)は、ISSの組立、「コロンバス(欧州実験棟)」および「きぼう」のISS結合など、一連の出来事に対する祝辞を述べました。また、「きぼう」がISSに設置されたことにより、実験機会が格段に増加した利点を挙げると共に、ISS組立から20年が経過し、新たな課題にも直面しているが、今後もISSを継続させつつ、更に先へ進んでいくことの重要性を語りました。
カーク・シャイヤマン氏(NASA/国際宇宙ステーションプログラムマネージャ)は、動画とスライドショーでISSや「きぼう」の重要な機能に焦点を当て詳しく紹介し、これまでのスペースシャトルでの輸送から「こうのとり」初号機打ち上げなどでの出来事を交え、国際協力がミッションの成功にとても重要であったこと、また、「きぼう」での初実験となったマランゴニ対流実験の画像も鮮明に記憶していることなどを語りました。
「きぼう」からの超小型衛星放出事業に取り組む、永崎将利氏(Space BD株式会社/代表取締役社長)による講演が行われました。 講演の中で永崎氏は、これまで同社が、JAXA、大学と協力しながら数々の衛星放出事業を行ってきた実績を挙げ、今後も継続的な産業化を促進し、民間事業者を宇宙の場にもっと呼び込みたい、との意気込みを語りました。
モデレータ:
パネリスト:
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石田氏の進行により、将来の地球低軌道ニーズについて、大きく三つのテーマのパネルディスカッションを行いました。
上記二つのテーマでは、将来の月・火星探査のため、ISSでも既に月と同じ地球の1/6の重力を模擬した実験を行っており、次への重要なステップと位置付けられている点や、微小重力研究の分野では、クライアントがネット通販のように煩わしさを感じることなく成果のみ受け取れる仕組みや、高品質の結晶を作成するなど、科学的な価値を上げ利用者からの需要を増やしていくことが必要という議論が交わされました。
また、将来の需要に向け、鍵となる得られるリターン、輸送コストと機会の確保、サンプルシェアリングシステム、民間事業者への財政面のサポート、ISSで得たものをどう引継ぐか、などの課題について意見が交わされました。
宇宙旅行の将来の市場規模は大きいと予測され、そのための民間居住区画製造に向けた動きが進んでいることなどが話されました。
若田光一(JAXA/理事)より、本日が新たなスタートであり、ISSの安全な運用を継続しつつ、その成果を最大限に活用し、次のチャレンジとなる地球低軌道への活用に向けて共に歩んでいくことを呼びかけました。
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