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NASAステータスレポート

STS-90NASAステータスレポート#25
1998年4月29日6:00am CDT:米国中部夏時間(4月29日8:00pm日本時間)

 コロンビア号のクルーは、午前4時29分(CDT)にジェイ・バッキーPSの好きな曲、ABBAの「TakeaChance On Me」で起床し、13日目の軌道上実験を開始しました。

 ニューロラブ実験も残り2、3日となり、4人のサイエンスクルー(リック・リネハン、デイブ・ウイリアムスの両MS、及びジェイ・バッキーとジム・パウェルツィクの両PS)は、ヒトの神経系に関する微小重力環境への適応過程に関する実験を引き続き行います。

 デイブ・ウイリアムス、ジェイ・バッキー、ジム・パウェルツィクは、自律神経系機能に関連する様々な実験を行い、微小重力環境下における血圧調節の仕組みを検討します。クルーらは、「マイクロニューログラフィー」と呼ばれる革新的な技術を利用した実験を行っています。これは、膝の裏側の神経に微小な針電極を差し込み、脳から血管に送られる神経活動電位を直接測定するものです。この実験では、下半身の部分の気圧を下げて、血液体液を下半身の方に集めることにより、宇宙空間にいながら地球上で立っている状態と同様の状態を模擬できる特別な装置(下半身陰圧負荷装置)を使用し、この時の心血管系機能の評価を行います。

 クルー達は、昨日と同様に、放射性同位体で指標化されたノルエピネフリンを血管内に投与し、血液サンプルを取得します。このノルエピネフリンを分析することにより、ホルモンなどの血中への放出および消失の速度を予測することが可能となり、微小重力下における血圧調節の仕組みを知る上で知見が得られます。

 哺乳動物の発達研究チームのテーマの1つに、"神経の発達における重力の役割の検討"があります。ジェイ・バッキーは、7匹の仔ラットに麻酔をかけ、蛍光の細胞染色剤を後脚の2種類の筋肉(地球上で体重を支えるための筋肉と瞬発的な動きに動員される筋肉)に注入します。この染色剤は筋肉から神経線維を経由して脊髄まで伝わり、これを分析することにより、微小重力下における哺乳類の筋肉の発達が正常か否かを知ることができます。

 コロンビア号は、高度153×133海里の楕円軌道上を90分の周期で周回しています。軌道上のすべてのシステムは問題なく順調です。


Last Updated : 1998. 4.30


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