7. 船外活動について

 

 船外活動(EVA:Extravehicular Activity )は、宇宙船の外に出て活動することをいい、宇宙船の外における活動であれば月面や他の天体上でもEVAと称します。アポロ計画で行われた月面での活動もEVAです。また火星における将来のEVAなどが話題に上ることもありますが、当面の宇宙開発計画においては、宇宙空間を飛行中の宇宙船の外に出て実施する活動のみを対象としていますので、ここでは宇宙空間におけるEVAについて説明します。

 

7.1 船外活動(EVA)とは

 宇宙飛行士が地球の表面を離れ宇宙に出て行こうとすれば、地球環境の一部を持って行かなければなりません。宇宙飛行士の質量はその引力で環境を引き止めるには小さすぎるので、殻のようなものに詰めていくことになります。この殻は金属やガラスあるいはプラスチックで作られた硬いもので、宇宙船と呼ばれます。宇宙船内の環境は地球の環境よりもはるかに単純ですが、数日から数週間の短期間のミッションには十分なものです。

 宇宙飛行士がエアロック(出入り口として使う小さな部屋)を通って宇宙船の外に出て作業する場合、宇宙飛行士を、より小さく、特別にあつらえた宇宙船で保護しなければなりません。この宇宙船のことをNASAでは船外活動ユニット(EMU:Extravehicular Mobility Unit)と呼んでいます。この小型の宇宙船は宇宙服と生命維持装置から構成されています。EMUは人に似た形をしているのと柔軟性を持たせてあるという点で、上記の宇宙船とは異なっています。

 船外活動ユニットは通常は宇宙服と呼ばれ、安全な呼吸を保証し、体温を保持し、宇宙服内の与圧環境を維持し、宇宙線や微小な宇宙塵から人体を守ってくれます。

 EMUを装着した宇宙飛行士は宇宙空間で腕や手足を動かして様々な作業が出来なければならず、色々な科学機器を操作し、サンプルを集め、写真を撮り、装置や構造物を組立て、自分で動き回り、故障したり機能の低下した人工衛星やそのほかの宇宙機器を修理します。宇宙船の外において行われるこのような作業のことを、EVAと呼んでいます。世界で初めてのEVAは旧ソ連のヴオスホート2号のレオノフ飛行士により、1965年3月18日に行われました。一方、米国初のEVAは1965年6月3日ジェミニ4号のエドワード・ホワイト飛行士により行われました。