ミール情報(11月 3日)
※ 今回新たに追加・変更した情報をアンダーラインで示しています。
● 全体状況 - モスクワ時間11月3日(月)、ロシアのソロブヨフ、ビノグラードフ両飛行士により6時間に及ぶ船外作業が行われた。
今回は古くなったクバント1の太陽電池パネルを取り除くことが主な目的で、11月6日(木)に予定されている船外作業で、現在ドッキングモジュールに仮置きされている新しい太陽電池パネルを取り付けることになっている。これにより、ミールに装備されている10基の太陽電池パネルのうち8基が使用可能となる。(残りの2基のうち1基は6月の衝突事故により破損し、もう1基は10月の船内作業で太陽電池パネルの駆動制御ケーブルの接続が出来ず、太陽指向制御が不能となっている。)
今回の作業では、ソロブヨフ飛行士の宇宙服に装着されているラジオモニタリングシステム(地上管制局との通信等に使用)が故障し、作業開始が2時間遅れたことや、作業終了後クルーがエアロックに戻った際に、外部エアロックが再与圧出来なかったこと(内部エアロックで対応した模様)等の不具合が発生したが、今回予定していた作業は完了できた模様。
●10月20日の船内修理作業
- [目的]
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- ミールの電力回復のため。
6月のプログレス輸送船衝突事故以来、制御不能となっていたスペクトルモジュールの太陽電池パネルの太陽指向制御機能を回復させる。
- [作業経過]
- 日本時間10月20日(月)夜、ロシアのソロブヨフ、ビノグラードフ両飛行士が宇宙服を着用し、減圧されているスペクトルモジュール内に入り、太陽電池パネル駆動制御用のコンピュータに接続されている太陽電池パネルの制御ケーブルを8月の船内修理作業の際に取付けた特製のハッチを介し、クリスタルモジュールのコンピュータに繋ぎ直す作業を行った。
スペクトルモジュールの太陽電池パネル駆動制御用コンピュータは、6月のプログレス輸送船との衝突により故障し、スペクトルモジュールの太陽電池パネルは太陽指向制御が行えず、十分な電力を発生できない状況であった。
今回の作業では、太陽電池パネルの制御ケーブル3本のうち2本について接続を完了したが、残りの一本については作業が長時間に及び、宇宙服の酸素が底をついたために接続を断念した。宇宙服を着用してのケーブル接続等の細かい作業は非常に困難である上に、作業に使用したレンチの柄の部分が短すぎたため、更に作業に時間が懸かった模様。
●8月22日(金)に実施された船内修理作業
- [目的]
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- ミールの電力回復のため。
6月のプログレス輸送船との衝突により損傷を受けたスペクトルモジュールを閉鎖する際に、止むを得ず切り離した電力ケーブルを、ミールのコアモジュールへ繋ぎ直す。
- [作業経過]
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- 8月22日(金)午後6時(日本時間)予定通り作業を開始しようとしたところ、トランスファーノード(各モジュールの連結部分)のハッチのひとつから空気が漏れているのが発見された。
処置のため作業開始時刻を遅らせた。 - 午後6時59分(日本時間)トランスファノードを減圧中にロシアのビノグラドフ飛行士の宇宙服のグローブから僅かな空気漏れが発見された。ノードを加圧し、スペアのグローブとの交換を行った。
- 午後7時55分(日本時間)地上管制局より作業開始の指令が出された。
- 午後8時10分(日本時間)予定より約2時間遅れで作業が開始された。スペクトルモジュールの内部に入ったビノグラドフの報告では、モジュール内には予測されていた危険な浮遊物はなく、唯一白っぽいクリスタルのような物が浮遊しているのが確認された。これについて米国フォール飛行士は、おそらく自分の使用していたシャンプーであろうとしている。(スペクトルモジュールには、フォール飛行士のプライベート用品を収納する所や作業場があった。)
また、真空状態のスペクトルモジュール内で稼働している機器(ファン、ポンプ)が発見された。 - 午後9時45分(日本時間)ビノグラドフ飛行士は、11本のケーブル全てを繋ぎ終えた。作業は順調に進み、時々飛行士の笑い声が聞こえるほどであった。
また、モジュール内を見渡したが、壁に亀裂等を発見することは出来なかった。 - 午後11時30分(日本時間)作業開始から約3時間半で、予定していた修理作業は全て終了した。
● スペクトルモジュールの船外修理作業
- (これまでの経過)
- クルー交代のために日本時間の8月8日(金)よりクバント1にドッキングしていたソユーズTM26を、ミールのコアモジュールのドッキングポートへ移動する際に、スペクトルモジュールの側を通り、ソユーズTM26からスペクトルモジュールの損害状況をビデオ等で調査した。撮影されたスペクトルモジュールの写真から、幾つか穴のようなものが見られた。
- 日本時間9月6日(土)午前10時07分より、ロシアのソロブヨフ飛行士と米国のフォール飛行士が船外に出て、6時間に及ぶ船外作業を行った。
- [船外作業で実施された主な作業]
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- 6月のプログレス輸送船との衝突事故により損傷したスペクトルモジュールの損害状況の調査を行った。
ソロブヨフ飛行士により太陽電池パネルの付け根部分に亀裂が確認された。ロシア航空宇宙局はこの亀裂からスペクトルモジュールの空気が漏れた可能性があるとしている。その他に、空気漏れの原因となるような穴や亀裂は発見できなかった。
- スペクトルモジュールの損傷を免れた3枚の太陽電池のうち2枚について受光面を太陽方向へ向けた。(太陽電池パネルを駆動するモータが故障しているため、現在太陽指向制御が不能となっている。)
- 今後のスペクトルモジュールの修理作業のために、スペクトルモジュールに作業支援用の手摺りを取り付けた。
- 今年の4月に米国リネンガー飛行士の船外作業により、クバント2の外壁に取り付けられていた放射線計測装置を回収した。
- 日本時間の10月2日(木)早朝に実施された米ロのシャトルクルーによる船外作業に於いて、スペクトルモジュールの穴を塞ぐための機器「ソーラアレイキャップ」がミールのドッキングモジュールに仮置きされた。
この機器はアトランティスにより運ばれてきた直径約90cmの円錐形の機器で、ミールのハッチよりも大きく船内に入れることが出来ないため、ドッキングモジュールに仮置きされることになった。
- 米国時間10月3日(金)ミールとアトランティスのクルーにより、スペクトルモジュールのリーク箇所の特定を試みる作業が行われ、破損した太陽電池の付け根あたりから僅かなリークが確認された。
作業はミールとアトランティスのドッキングを解除した後に、ミールのクルーがスペクトルモジュールに空気を送り込み、外からアトランティスで観測するというもので、今回の観測では太陽電池パネルの付け値以外からのリークは確認されなかった。
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