ミール情報(7月3日)
1. 全般
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ロシアミールステーションは安定した状態を保ち、クルーの状態も良好。
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クルーは引続き、損害を免れた「スペクトル」の3枚のソーラアレイから、電力供給を復旧させる手段について、ロシアコントロールセンタと調整作業を行っている。7月1日現在の案では、7月11日PM9:00より船内復旧作業の実施を予定している。作業準備が間に合わない場合は、7月14日へ延期される予定。作業時間は約5時間、ロシア発表では、宇宙服を着用しての作業は6時間程度まで大丈夫としている。また、有毒ガスが漂っている可能性のあるスペクトルモジュールへ飛行士が入ることについて、米ロの専門家による安全性の検討が行われている。この復旧作業に先立ち、7月9、10日(10日は予備日)に作業演習を行うことになっている。スペクトルの空気漏れの補修は今回の作業では行わず、8月5日に打上げが予定されているフランス人クルーにより修復が行われる。
2. 各機能の状況
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(1) 電力 -
現在のミールへの電力供給は、ミールの残りのソーラアレイにより60〜70%まかなわれている。 -
アクティブソーラアレイは現在太陽指向を続け、ミールのバッテリチャージを行っている。 -
コアモジュール、クバント1、2のバッテリはフルチャージの状態。 -
30日(月)に作動開始した尿処理システムは、姿勢制御のためのジャイロの使用に伴い、節電のため再び停止した。
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スペクトルの太陽電池パネルから、コアモジュールのバッテリへケーブルを接続する作業は、7月11日PM9:00から約5時間かけて行う方針。この作業は2名のロシア飛行士が宇宙服を着用し、ノード(クバント1を除くミールの全てのモジュールと結合している)からスペクトルの内部へ入り、スペクトルのハッチへ、ケーブル接続のためのプレートを新たに取付け、これを介して約20本のケーブルをコアモジュールへ配線するものである。ノードのエアロックが狭いことから、宇宙服を着用してのエアロックの通過は非常に困難になることが予想され、ロシアの2名の宇宙飛行士は、この点を懸念している。作業中はノードを減圧し、スペクトルのハッチを開くため、ノードに接続しているモジュールの電力を切り、ハッチを閉じてノードと他のモジュールを隔離する。現在の案では、7月4にプリローダとクリスタルの間の電力が切られ、プリローダのハッチが閉ざされる。7月10日には、クバント2のハッチとともにクリスタルのハッチが閉ざされる。ロシアの2名の宇宙飛行士が修理作業を行っている間、米国の飛行士はソユーズで待機。ソユーズのハッチは開けたまま
で、緊急時にはロシア飛行士を収容して速やかに帰還する。現在、ロシアの技術者がNASA技術者の支援を受けながら、作業手順を作成中。
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(2) CO2除去 -
CO2除去装置は、現在作動している。
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(3) 酸素発生 -
先月STS84によりクバント1に設置された新しい電気酸素発生装置は、クーリングシステムのレギュレータバルブの不具合によりオーバーヒートを起こしたため、30日(月)夜に停止した。ロシアはこの装置を定常酸素レベルを維持するために、一日10時間は運転させることを望んでいる。現在クルーは2月のミール火災の原因となった酸素発生キャンドルを使用している。
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クバント1、2の電気酸素発生装置は、電力節約のため停止している。
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コアモジュール内の空気清浄システム及び各機器の冷却機能システムは、正常に作動している。
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(4)姿勢制御 -
(5)修理品等の輸送船 -
(6)ソユーズ -
(7)ミール衝突後のプログレス -
ミールに衝突したプログレスは、7月2日午前10:32(モスクワ時間)地球の大気圏に再突入し、太平洋上空で燃え尽た。
3. その他
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今回の事故原因については、現在、ロシアがNASAの技術者の支援を受けながら調査中であるが、プログレス輸送船への過積載を原因とする見方がででいる。これについて、ブラゴフ(ロシアミッションコントロールチーフ)は、この可能性を否定している。
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