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宇宙実験サクッと解説:ソーレ効果ってなに?編


宇宙実験調査団のピカルがソーレ効果解明実験を大調査!
実験提案者の鈴木先生とも仲良しの物知りハカセに聞きました。

物知りハカセ

ピカル

ピカル:

ハカセ、こんにちは。今日は「Soret-Facet」実験の調査で来ました。この実験では、Facet実験で使った試料や装置を流用してエコに行うそうですね。Soretは、ソーレって読むんでしたっけ?

ハカセ:

そうじゃな、ソーレあるいはソレーと読む。この現象を発見した科学者の一人の名前じゃ。

ピカル:

へえー。それで、どんな現象なんですか?

ハカセ:

うむ、一言でいうと、液体に温度勾配を与えたときに、その液体の中で濃度勾配が形成される現象じゃ。熱拡散あるいは温度拡散ともいう。

ピカル:

温度が違うだけで、液体の中の濃度分布が変わるなんて、不思議ですね。温度が低い方が濃度が濃くなるんですか?

ハカセ:

それは、物質による。2つの成分が混ざっている場合は、重い成分が低温側へ、軽い成分が高温側に移動することが多いのじゃが、どっちにどのくらい移動するかという指標がソーレ係数と呼ばれておる。

ピカル:

ソーレ係数は、物質の重さや性質によって決まってるんですか?

ハカセ:

そうだといいんじゃが、現状ではソーレ係数が物質のどのような性質により決定されるのかということは未だ明らかになっておらんのじゃ。つまり、ソーレ係数のだいたいの値は実験によっていくつか求められておるが、未知の物質については、計測してみないと何ともいえん、という状況なんじゃ。今回の実験は、ソーレ係数を精密に計測し、ソーレ効果の理論を作っていきたい、というのがゆくゆくの目標じゃ。

ピカル:

なるほど、まだわかっていないことって、結構たくさんあるんですね。
ハカセ、さっき、ソーレ係数の計測例があるとおっしゃっていたと思うんですけど、この実験は地上ではできないんですか?

ハカセ:

もっともな質問じゃ。では実際に地上で実験することを考えてみよう。 たとえば、スープの入った鍋を火にかけて、鍋の上と下で温度勾配を作ってみよう。どうなるかな?

ピカル:

スープがあったまって、おいしくなります。

ハカセ:

う〜ん、間違ってはおらんが、今まで、宇宙実験調査団として調べてきたことを思い出して、もう一度、そのプロセスを細かく考えるのじゃ。

ピカル:

あ・・・、鍋の下の方から熱が伝わり、スープの下の方が熱くなり、熱くなったスープは密度が小さくなるので上の方に移動し、熱対流が起きるんですね!

ハカセ:

そうじゃ、よくぞ思い出してくれた。熱対流が起きると、スープ全体が混ざってしまうわけじゃな。

ピカル:

つまり、熱対流の効果が大きすぎるので、ソーレ効果という現象は地上では見えにくくなってしまうということですね。

ハカセ:

そうなんじゃよ。もちろん、いろいろな工夫をこらせば、計測自体はできるんじゃが、今回の鈴木先生の実験では、地上での計測結果と、宇宙で本当に対流がない時の計測結果がどの程度違うかをきちんと評価しよう、というのも大事な目的の一つなんじゃ。もし地上とそれほど変わらないということがわかれば、今後わざわざ宇宙実験を行う必要はないからのう。

ピカル:

そうですね。ソーレ係数の理論が出来上がると、どんなことに応用ができそうですか?

ハカセ:

まず、温度勾配を利用した結晶成長方法があるが、それぞれの材料のソーレ係数が分かっておれば、温度勾配を濃度勾配にきちんと換算することができるから、よりよい結晶成長法の開発に役立つと考えておる。また、石油なんかを分離精製するときにも、こうした温度勾配を利用しておるから、役に立つじゃろうな。

ピカル:

早く実験結果が分かるといいですね。今日はどうもありがとうございました!


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