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スペシャルインタビュー 【槇村先生編】 vol.2


1990年夏頃 帝京大学病院当直勤務時のスナップ

1991年夏頃 米国留学中ラボでのスナップ

間もなくMicrobe実験が始まりますが、今はどのようなお気持ちですか。

「直接ではないですが、これで初めて宇宙を垣間見ることができる、しかも、宇宙で生えたカビを持ち帰ってきてもらうんだから、これはすごいことですよね。 そのぶん、研究代表者としての責任も重いので、緊張するところではあるんですが、今まで想像でしかなかったものが実際に眼の前に降りてくるというのは、にわかには信じがたい夢のような話です。 ただ、私の手元に届きさえすれば、そこから先はカビとの直接対話ですから、普段どおりの仕事ができると思います」

カビとの対話とおっしゃいましたけど、地上ではどのような解析を行うんでしょうか。

「これまでに行われた地上シミュレーションでは、微小重力下ではカビの病原性が増すとか、細胞壁が厚くなる、といったことが言われてきました。 ISSから持ち帰ったカビを、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡で観察すれば、そうした主張が本当だったのかどうか明らかになりますね。 病原性の変化だけでなく、抗真菌薬に対する感受性がどう変わったかというような研究もあわせて行うことになっています。 地上解析では、それこそ調べられる限りのことを調べるつもりです」

そうした成果は、地上での真菌研究や私たちの生活にも還元されるのでしょうか。

「宇宙には面白いカビの在り方、面白いカビとヒトとの関係があります。 このテーマは追求していかなければなりませんが、私たちは地球に住んでいますから、地球の問題が重要なのはいうまでもありません。 冒頭でお話しましたが、ISSはヒトが快適に暮らせる環境を人工的に宇宙で再現した施設です。 そういう意味で、病院のバイオクリーンルームや病室などと同じなのです。 ISSのカビを研究するための方法論は、そのまま、地上のそうした環境にも当てはめることができます。 実際、私たちは、宇宙実験のノウハウをそのまま地上で応用するための方法も開発しています。 電力や空間などのリソースが限られたISSで、専門知識がなくても簡便に使用できる装置は、僻地や人手の少ない病院でも使用できるでしょう。 宇宙で完結するのではなく、そうした技術として地上で発展させていきたい、そう思っています」



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