最終更新日:2015年1月15日
宇宙での世代交代とエピジェネティックな関係を調べる
「宇宙環境での線虫の経世代における環境適応の研究」
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代表研究者
東谷 篤志
Atsushi HIGASHITANI
東北大学 大学院 生命科学研究科
生態システム生命科学専攻教授
専門: 遺伝・ゲノム動態、 分子生物学 |
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共同研究者
東端 晃 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 ISS科学プロジェクト室 主任開発員
白川 正輝 宇宙航空研究開発機構 宇宙環境利用センター 主幹開発員
矢野 幸子 宇宙航空研究開発機構 宇宙環境利用センター 主任開発員
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TOPICS:
【宇宙実験サクッと解説:エピジェネティックな変化って?編】 宇宙実験調査団のピカルが物知りハカセに突撃取材しました。線虫のエピジェネティクスについて徹底的に解剖します。
【宇宙実験リポート】
「きぼう」日本実験棟での実験の状況などをお伝えする予定です。
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実験の背景
JAXAと東北大学のチームは、これまでにモデル生物である線虫を用いた宇宙実験、International C. elegans Space Experiment 1: ICE-First 2004に参加し、線虫を用いて、「宇宙環境下でも地上と同様にDNA損傷時のアポトーシス(プログラムされた細胞死)が実行できること」を世界に先駆けて検証しました。また2009年にCERISE実験を実施し、宇宙の微小重力環境でもRNAiが有効に機能すること、ならびに「線虫の筋タンパク質の遺伝子発現量・タンパク質発現量」が宇宙の微小重力環境で育てることにより低下するという現象を、再現性を持って確認しました。本実験はこれまでの実験を発展させた実験です。
実験の目的
宇宙環境の微小重力下で生物が世代交代を繰り返した際に、子孫の核やミトコンドリアのゲノムに生じる遺伝的変異や変化、エピジェネティックな制御において、変化に何らかの方向性がみられるか明らかにすることを目的とします。
実験内容
「きぼう」日本実験棟で、線虫の野生株および変異株(遺伝子が変化したもの)を、培養し植え継ぐことによって、4世代のサンプルを取得し、世代ごとに凍結して地上に回収します。また、一部を再び地上で培養し、遺伝子発現パターンに可塑性があるか否か、DNAの周りにあるヒストンタンパク質の化学修飾などを検討します。
ココがポイント!
本研究の成果は、生物が宇宙環境で世代交代する際に子孫に生じる影響に関して、生物進化ならびに適応応答の方向性を分子レベルで理解することに大きく貢献します。また、長期有人飛行計画、月面基地計画など将来の長期有人宇宙活動による宇宙飛行士等への影響と適応性の解明、およびそこに生じることが想定される課題の回避に必要な対策にも展開できることが期待されます。
もっと詳しい説明
本実験は、2015年1月に開始されました。
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