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おもな実験内容


1. 大きな液柱をつくる

マランゴニ対流の実験を行うには、流体を円柱状にしてその両端に温度差を与えます。

ところが地上では重力が作用して、この円柱(液柱)を変形させてしまうため、直径が数ミリメートルの液柱でしか実験が行えません。

また、背の高い液柱で実験することもできません。

したがって、マラゴニ対流によっておこるさまざまな現象を体系的に調べるには、微小重力環境が必要になってくるのです。

マランゴニ対流の実験は、地上では実現できない直径1cm、3cm、5cm、高さ1cm〜数cmの液柱をつくるところから始めます。

2. 対流を発生させる

大きなサイズの液柱の両端に温度差を与え、マランゴニ対流を発生させます。

液柱両端の温度差を大きくしていくと、最初の安定した流れ(定常流)は振動流という周期的に変化する流れに変わり、さらにはカオスとよばれる状態になり、最後には乱流という完全に乱れた状態になってしまいます(図2)。

図1 対流の変化

3. 対流を観察する

3次元観察:

液柱を作る流体に小さな粒子を入れておき、それらの動きを3台のカメラで追うことにより、液柱内部の流れの変化を3次元でとらえます。(テーマ1〜3の実験)

UVP観察:

また、超音波によるドップラー効果を利用したUVP(超音波流速分布測定法)という方法で流れを測定します。(テーマ2の実験)

表面温度測定:

液柱表面の温度を測定し、マランゴニ対流があらわれる温度の分布と内部の対流の様子との関係を調べます。(テーマ1〜3の実験)

表面流速測定:

レーザー光線を当てて一部に色をつけた液柱表面が流れる速さを測り、表面の流れと内部の流れの関係を調べます。(テーマ1の実験)

液柱内部の流れが定常流から振動流に変る時、液柱表面に生じる変形が重要な役割を果たすという説がありますが、まだ、証明されていません。

これを調べるために、液柱表面を拡大して観察し、正確に測定します。

また、同時に液柱表面の温度も測定し、表面変形と流れの様子を詳しく調べます。(テーマ3の実験)

これまでの地上実験および宇宙実験で、流体内に入れておいた粒子がマランゴニ対流によって一筆書きの曲がった輪のように集合する現象(粒子集合現象)が発見されています。

この現象を細かく観察し、粒子集合現象が発生する過程を追求します。(テーマ1の実験)

図2 流体実験装置

図3 上および側面から観察した粒子集合現象
(東京理科大学提供)


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