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実験の背景と目的


きれいな六角柱になっている水晶を見ると、平らな面が組み合わさった結晶であることがわかります。 塩やメノウの結晶も平らな面からできています(図1)。 この平らな面をファセットといいます。 ファセットの表面では分子や原子、たとえば水晶の場合は酸化ケイ素分子が面状に並んでいます。 何種類かの原子でできている化合物半導体や酸化物結晶など、電子機器材料や光学部品に多く使われている材料には、結晶が平らな面状に成長、すなわちファセット成長するものがあります(図2)。 樹木の枝のように成長する雪や氷の結晶と対照的です。



結晶成長の過程は非常に複雑です。 とくにファセット成長については、それがいかなる要因の影響を受け、どのような条件下で進むのかはよくわかっていません。 新しいファセットが形成されるときに、結晶に欠陥が入ったり不純物を取り込んだりすることが知られていますので、品質のよい半導体や超伝導材料をつくるためには、ファセットの形成過程を詳しく調べることが重要です。 また、こうした研究は、新しい機能を持った材料を創り出すことにも発展します。



ところで、水を火にかけたり、部屋でストーブを焚いたりしたとき、水や空気が上下に流れる現象が見られます。 この現象は浮力対流と呼ばれ、加熱などによって水や空気の密度が変化したところに重力が作用して生じるものです。 このような浮力対流は地上では避けられない現象であり、結晶成長過程を調べるときに成長環境を乱してしまいます。 したがって、ファセット成長の様子を詳細に観察し、その過程を明らかにするには、重力によっておこる浮力対流をなくした環境、つまり微小重力環境である宇宙での実験が必要になります。



本実験では、モデル物質としてザロール(サリチル酸フェニル)/ブタノールの混合物質を用います。 この物質は融液/結晶ともに光に対して透明で、融点が低いため、ファセット成長をその場で観察するのに適しています。

図1 水晶(左)とメノウ(右)の結晶


図2 時間とともにファセット成長する結晶

(干渉縞画像:時間経過は(a)→(b)→(c)→(d))


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