アフリカツメガエル(図1)は生物の形作りを明らかにする上での研究対象として、世界中の研究者に用いられています。
今回の宇宙実験では、このカエルの腎臓の細胞を用います。
アフリカツメガエルの腎臓からとってきた細胞(A6細胞)を培養すると、ある特殊な構造を形作ります。
それはまるでドームのように盛り上がった形で「ドーム構造」と呼ばれています(図2)。
他の臓器からとってきた細胞を培養しても、このような形を作ることはありません。
培養を始めたばかりの時はバラバラだったA6細胞が、増殖することで互いに接するようになるます。
すると同じ性質だったはずの細胞達が、集団の中で役割分担をし、ドームという構造を作ります。
まるで細胞同士がコミュニケーションを取り合っているかのようです
私達がお母さんのお腹の中で育っていく時も、同じようなことをしています。
最初は一つの受精卵だったものが徐々に分裂して細胞数を増やし、やがて細胞集団の中で役割分担をして、様々な臓器を作ってゆくのです。
ドーム形成という現象は、私達の体作りにも通じるのです。
また、ドーム構造は腎臓の中で尿からの再吸収をおこなう「尿細管」の構造と似ていると言われています。
今回の宇宙実験の結果から、これまで分からなかった腎臓形成の仕組みが明らかになり、再生医療への応用へと発展することも期待されます。
|
図2 ドーム構造
A: ドーム構造を横から見た模式図。
ドームの中には培養液中から水分が入り込んでいる。
B: ドーム構造を上から見た顕微鏡写真(赤い丸で囲われた部分)。
培養容器底面に張り付いた細胞にピントを合わせると、ドーム部分は盛り上がっているため、ピントが合わずにぼやけて見える。
|
|
|