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船内実験室
高品質タンパク質結晶生成装置
Granada Crystallization Facility: GCF
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 高品質タンパク質結晶生成実験
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟による本格的な宇宙環境利用の先駆けとして、2003年から2005年にかけて年2回計6回、タンパク質の結晶生成実験をISSのサービスモジュールで実施しています。
このプロジェクトは、タンパク質構造・機能解析に関する国のプロジェクトを推進する研究機関や大学およびゲノム創薬に取り組む民間企業等との協力により進められます。地上において良質な単結晶を得ることが難しいタンパク質やより高精度な解析が必要なタンパク質について、宇宙環境を利用した結晶生成実験を行い、タンパク質構造・機能解析に関わる研究やその応用に貢献することを目的としています。
実験装置は、RSCエネルギア社(ロシア)の支援を受けて、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地からプログレス補給船により打ち上げられます。その後、サービスモジュール内に設置され、2~4か月間タンパク質結晶生成を実施した後、ソユーズ宇宙船で帰還し、カザフスタン国内で回収されます。回収されたタンパク質の結晶は、日本へ輸送した後、大型放射光施設等で構造解析に必要なデータの取得、結晶品質の評価及び立体構造の解析が行われます。

 実験装置の概要
高品質タンパク質結晶生成プロジェクトでは、欧州宇宙機関(European Space Agency: ESA)/グラナダ大学(スペイン)が開発したタンパク質結晶生成装置(Granada Crystallization Facility: GCF)及びJAXAが開発したタンパク質結晶生成装置(JAXA Crystallization Facility: JCF)を利用して実験を行います。結晶生成装置には、最大23個の結晶生成セル(Granada Crystallization Box: GCB)と温度記録計が搭載されます。宇宙での結晶化はサービスモジュール内の恒温槽で実施し、ソユーズ宇宙船による帰還時の周囲温度の変動対策として、GCFは断熱材により、JCFは魔法瓶式の真空断熱により、外気温の影響を緩和しています。
 ひとつのGCBには最大11本のガラス細管(キャピラリ)が装填され、同時に最大11種類のタンパク質結晶化実験を行うことが出来ます。

画像。装置主要仕様



 結晶化方法
GCBは、キャピラリ下端に装着したゲル層(ゲルチューブ)を介して、タンパク質溶液と結晶化溶液がキャピラリ内で互いに拡散する液―液拡散法を用いています。タンパク質がキャピラリ外へ、結晶化溶液はキャピラリ内へ拡散し、キャピラリ内にそれぞれの濃度勾配が形成され、その勾配が経時的に変化することによって結晶化に適した条件になった位置・時間で結晶化が始まります。
 キャピラリ下端に取り付けられたゲルの入ったチューブは、拡散する速度を緩和させる働きをしています。

画像。液-液拡散法の原理


 これまでの実験結果
第1回から3回までの宇宙実験で、αアミラーゼ及びリゾチームをJAXAの技術検証用タンパク質として搭載しました。その結果、同種のタンパク質としては、世界最高レベルに匹敵する分解能の結晶を取得し、超精密な構造解析を実施中です。
また、利用機関の蛋白質のうち、一部のタンパク質(例:睡眠物質及びアレルギー物質合成酵素、寄生虫感染症に関わるタンパク質など)についても、宇宙で生成した高品質な結晶から、これまでにない最高分解能のデータを取得し、今後の創薬の開発が期待されています。


SPring-8 BL12B2でデータ取得
Data obtained at SPring-8 BL12B2
画像 画像。
宇宙で結晶化
Crystallized in Space
地上で結晶化
Crystallized on the Ground
アルファミラーゼの結晶と電子密度図(解析中)
Crystals of alpha-amylase and electron density map (under studying)

 

 

最終更新日:2004年12月20日

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