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宇宙環境が人体や精神に与える影響にはどんな物がありますか
宇宙における代表的な生体変化には以下のものがあります。
これらについては宇宙医学のページの「宇宙空間における生体変化 」で詳しく紹介しています。
宇宙に行くと背が伸びるって本当ですか
宇宙飛行士が宇宙に行くと、数センチ(だいたい1~2センチ)身長が伸びる、という現象がおこります。中には7センチ以上伸びた人もいます。
これは脊髄の椎間板(軟骨)が宇宙の重力から解き放たれた環境で伸びるからです。ひとつの椎間板あたり、約1ミリ伸びます。
しかし地球に帰還するとまた重力の影響でもとに戻ります。
宇宙酔いとはどのようなものですか
宇宙酔いとは、重量のほとんどない宇宙空間に入ってから、早い人で数分ないし数時間以内に吐き気や嘔吐を起こす状態のことです。
また、これ以外にも頭痛がしたり、頭が重い、虚脱感、倦怠感や食欲不振などの症状を含むことも多いようです。通常3日から5日以内には症状が消失します。
宇宙酔いの原因は次のように考えられています。
人は地上では自分の体の位置や動きの状態を、体内の3つの感覚器官の情報によって判断しています。ひとつは目からの情報、ふたつ目は耳の奥の方にある前庭器官で感じる情報、3つ目は筋肉や腱などにある深部感覚という筋肉の張り方やそこへの圧迫などの情報です。人間はこれら3つの情報を脳で組合わせて自分の位置や状況を判断しています。地上では目からの情報以外の前庭器官と深部感覚の情報は重力があって初めて正確な情報となるのですが、宇宙では重力がないため脳の中は混乱してしまいます。
これが宇宙酔いの原因としてもっとも有力視されています。しかし、宇宙酔いの原因は完全には解明されておらず、依然仮説の範囲で論じられています。
例えば、宇宙では血液が頭の方へ集ってくるので脳の中の圧力が高くなり、脳が少しむくみ気味になるためこのような症状が起るともいわれています。これもある程度、宇宙酔いの原因に関係しているようです。
船酔いしにくい人は宇宙へ行っても宇宙酔いしないのでしょうか
これまでのNASAの経験や研究から船酔いなど地上の乗り物酔いと宇宙酔いとの相関はないと言われています。
船酔いになりにくいからと言って宇宙酔いになりにくいとは言えませんし、その逆に船酔いしやすい人が宇宙酔いになりやすいともいえません。
STS-95ミッションで向井さんの下の句を考えている時に疑問がわいたのですが、何度も宙返りをしてめまいが起こらないのですか
無重量状態では、加速度や平行感覚などを感じる器官(三半規管)に対して上下感覚の“もと”である「重力」という情報が与えられなくなります。
宙返りをすると回転している感覚は感じ取れるのに、上下が分からない状態となり、感じ取られた情報の混乱(空間識の混乱)を生じます。
このことは宇宙飛行のはじめの頃には重要な問題となり、人によってはいわゆる「宇宙酔い」の症状が表れてきます。また仮に嘔気や嘔吐などの「宇宙酔い」の症状が無くても、めまい、錯覚などが生じる可能性があります。
しかし、これらの混乱状態は比較的早期(数日程度)でとりあえずの適応状態となり、宇宙酔いの症状は消失し、環境にかなり「慣れた」状態となります。
向井宇宙飛行士が上の句を読んだ7日目には、宇宙酔いの症状は消失し、環境にかなり「慣れた」状態になっていました。
このように「慣れた」状態で宙返りを行った場合には、嘔気を催すような「めまい」は起きにくいと考えられます。
ただし、宙返りを宇宙飛行の初期(上記の混乱期)に行えば、「宇宙酔い」の誘発刺激となり、嘔気嘔吐を生じる可能性がありますので、宇宙飛行初期においては、これらの運動は控えた方が良いでしょう。
宇宙医学とはどのような学問ですか
人類長年の夢であった有人宇宙飛行は1961年のガガーリンの飛行に始まり、アポロ11号のアームストロングらによる人類初の月面調査など、多くの足跡を宇宙に残してきました。
宇宙に行った人もスペースシャトルによる飛行だけでも延べ600名以上になります。滞在期間もロシアの場合は1年以上の経験者もいるなど、長期におよんできています。
そして今わたしたちは国際宇宙ステーション時代へ突入しました。これまで宇宙へと旅立ったのは宇宙飛行士と呼ばれるごく限られた人たちでしたが、近い将来には誰もが宇宙に行くことができ、宇宙観光旅行、そして一般の人たちの宇宙での生活ができるようになるに違いありません。
しかし宇宙で安全に生活できるようになるまでには解決しなければならない問題がたくさんあります。 それらを医学的に可能にする学問が宇宙医学です。宇宙医学の対象として以下があげられます。
宇宙医学には基礎医学研究を進めるひとつの手法として微小重力環境を利用することを指す場合と、パイロットや宇宙飛行士の飛行前後と飛行中の健康管理をするための航空宇宙医学を指す場合があります。基礎医学としての宇宙医学と臨床医学としての宇宙医学と理解してもよいかもしれません。
後者の担当医師は航空宇宙医師(Flight Surgeon)と呼ばれます。
これから宇宙医学を学びたい
宇宙医学に関した研究は、通常の基礎医学の研究の延長のことが多く、日本でもいろいろな施設で実施されています。
またInternational Space Universityという組織があり、恒久キャンパスがフランスにあり、それに加えて10週間の夏期プログラムがあります。
宇宙飛行士の健康管理をおこなう航空宇宙医学のためには、
人間の平衡器官は、宇宙ではどうなるのですか
宇宙環境では微小重力となりますので、1Gの重力環境の生活に慣れている人間の体は少なからぬ影響を受けます。
平衡器官のうち、特に水平に配置され耳石を乗せている卵形嚢では、耳石が少し浮き上がることにより刺激が弱まることが予想されます。勿論、球形嚢や三半規管(回転加速度)も地上とは違う加速度の刺激を受けるため、内耳全体の平衡感覚の受け方が地上とは違っていると考えられます。深部体性感覚(体の関節や筋紡錘に存在する感覚器によるもの)も微小重力の影響を受けます。
一方、視覚情報は姿勢や運動を制御する上で最も重要な役割を果たしております(内耳が壊れても運動はできるが、目が見えなくなると極端に運動が制限されることからも明確です)が、視覚情報は宇宙空間でもそれほど変化はありません。
宇宙空間での視覚情報と、内耳や深部体性感覚情報とのミスマッチあるいは混乱が、宇宙酔いや空間識失調(自分と対象物との空間的認知が難しくなり、錯覚や誤認が起こる)の原因となるとされています。勿論いくつか別の説もあります。
微小重力空間においては、地上とは異なりますが、耳石器や三半規管はそれぞれ物理学的法則にしたがって機能し、視覚情報との補正が行われ、次第に慣れが進みますので、宇宙飛行士は宇宙酔いも克服し、空間の認識も正確になります。宇宙環境(微小重力環境)への適応が行われるわけです。
環境の変化に対する人間の適応能力はすばらしいものです。宇宙に出ていくことでさらに人間の可能性が広がると考えられます。
無重力の宇宙空間に浮いてでぐるぐる回転した場合、視覚以外の感覚で回転していることが認識できるのでしょうか?
宇宙空間など無重量状態では、重さはなくなりますが質量は変わりません。
つまり体や腕を振り回せば慣性力は働きますし、それに基づく体液移動も起こります。
人間は体の姿勢変化や加速度を視覚情報だけでなく、前庭器官(三半規管)で感じます。
宇宙空間に浮いた状態でも、体を回転させれば前庭器官内の体液が慣性のため体の動きより遅れて動くことで体液の動きのずれを有毛細胞の神経が検出し、回転していることがわかります。
なお、目を瞑って、体の動きと前庭器官内の体液の動きが一致するくらいゆっくり動けば、姿勢変化を感じることはできないでしょう。
フライトサージャンの募集は無いのですか
現在のところ次回の宇宙航空医師(フライトサージャン)募集に関する具体的な計画はございません。
今後、募集を行う際には、当ホームページで告知を行うことになるかと思いますので、最新情報をご確認頂ければ幸いです。
次のページで、平成22年度の航空宇宙医師候補者募集について紹介していますので、参考までご案内いたします。
なお、フライトサージャンを支援してくださる非常勤の医師(FS業務支援医師)は常時募集しております。
また、JAXAの採用情報は以下のページにてご覧頂けます。
フライトナースの募集は無いのですか
フライトナース(医学管理担当看護師)とは、フライトサージャン(航空宇宙医学専門医)と連携して、軌道上の宇宙飛行士の健康維持・増進に努めるのが主な役割です。
現在のところ次回のフライトナース(医学管理担当看護師)募集に関する具体的な計画はございません。
なお、JAXAの採用情報は以下のページにてご覧頂けます。
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