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国際宇宙ステーション(ISS)ではどんな生活をするのですか
国際宇宙ステーション(ISS)の中は、1気圧に与圧され、温度、湿度共に常時快適な環境に制御されています。
また、寝室、トイレ、運動のスペースなど、宇宙飛行士が健康に暮らすために必要な機能がすべて備えられています。
食べ物に関しては、スペースシャトルやプログレスで補給が来たときは、野菜やフルーツなど生鮮食品が食べられます。
また、宇宙飛行士は自分だけの持ち物をいくつか持ち込むことができるので、休憩時間には本を読んだり音楽を聞いたり、DVDで映画を見たりと地上と同じような趣味の時間を過ごすことができます。
地上との作業確認を2時間行った後、作業時間は午前と午後合わせて基本的に1日6.5時間です。休日は週に2日(土日)、さらに祝日は、各国の祝日の中から各クルー毎に決めます(必ずしも自国の祝日だけではありません。半年滞在で4日です)。
国際宇宙ステーション(ISS)ではどのような言葉を使うのですか
国際宇宙ステーション(ISS)はアメリカ、ヨーロッパの各国、ロシア、カナダ、日本が協力して作っています。
従って、ISSには、これらの各国からの宇宙飛行士が乗り込んで作業を行うため、ロシア語が使われるロシアモジュールの管理を除けば、英語を共通語として仕事を進めることになっています。なお、地上との間の交信も原則として英語とロシア語が使われています。
宇宙ではどうやってお風呂やトイレに入るのですか
スペースシャトルのトイレについては、以下のページで紹介していますので、そちらをご覧ください。
ISSにはロシアと米国のトイレが1台ずつあります。ロシアのトイレはズヴェズダの後方に設置されています。米国のトイレは、2008年11月のSTS-126(ULF-2)ミッションで運ばれた新しいもので、現在は「トランクウィリティー」(第3結合部)に設置されています。
米国のトイレも、トイレの本体はロシア製で、ロシアのトイレと同様にファンを回して空気の流れで尿と便を吸い込むような仕組みです。
しかし、米国のトイレは、回収した尿が尿処理装置に送られるよう改良されており、またラックに組み込まれているため、移動も可能となっています。
大便を行う際には、便器の内側に小さな穴が多数開いたバックを装着し、そのバックの中に便が回収されると、バックのゴムが自動的に閉まります。その口を塞いだビニールパックをアルミ製の固形排泄物タンクに押し込んで、新しいバックを取り付けます。
この固形排泄物タンクは3人のクルーでは1週間に1回程度で交換し、プログレス補給船に運び込みます。
尿は、電気掃除機のホースの様なもので吸い取り、22リットルの汚水タンクに溜められます。汚水タンクがいっぱいになると、ISSに結合しているプログレス補給船に運び込むか、水が不足する場合は、米国の尿処理装置と水処理装置に送って飲料水にリサイクルすることもできます。
プログレス補給船は、ISSから分離されるとこれらの廃棄物を積んだまま、大気圏に突入して焼却されます。
無重力状態では水が流れないので、地上のように蛇口の下に手を出して手を洗うことはできません。そのため、宇宙用の洗面台はありません。手や顔の汚れを取りたいときには、濡れタオルでふくしかないわけです。歯をみがくときも同様です。歯みがき粉で歯をみがくのは地上と同じですが、うがいをしてその水を吐き出すわけにはいきませんから、そのまま飲み込んでしまうか、口から出してタオルに吸収させます。
シャンプーは、泡が周囲に飛び散らないように、泡が出にくいドライシャンプーを使います。そして、洗い終わったあとは、乾いたタオルでふき取っておしまいです。 また、顔やからだの汚れは、濡れタオルでふきます。
1974年のスカイラブ計画では、船内でシャワーを浴びることができました。直径90cmの円筒型のシャワールームにゴーグルをかけて入り、ホースから直接からだに水を吹きかけ、余分な水をファンで吸引するというものです。終わったあと約1時間かけて中の水滴を全部ふき取る手間を考えると、快適とは言えませんでした。また、ロシアの宇宙ステーション「ミール」にも、天井からお湯が出るタイプのシャワーがついていましたが、やはり水滴のふき取りに時間がかかりすぎたため、徐々に使われなくなり、いつしか物置きになっていたそうです。ISSでは、このような経験を踏まえて、現実的に対応した結果、シャワーの設置は行われませんでした。
宇宙ではどうやって寝るのですか
スペースシャトルのクルーが寝る場所は、ミッドデッキの右舷側壁に取り付けられた4段式の睡眠用の区画(スリープ・コンパートメント)、あるいは壁に取 り付けた寝袋を使用しました。
このスリープ・コンパートメントには扉もついており、狭いながらもプライバシーを確保できる場所になっていました。照明、空調も調整できる他、緊急時に備えた通信装置を有していました。
なお、中にはこれ以外の場所、例えばコマンダー席やパイロット席などで寝る飛行士もいたようです。
ISSには、6人分の個室(「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)に2箇所、「ハーモニー」(第2結合部)に4箇所)が設置されており、そこで寝ることができます。
個室内には、照明、空調、緊急事態の発生が確認できる警告警報装置などが設置されており、普段は各クルーの私物の保管場所ともなります。
スペースシャトルやソユーズ宇宙船が到着して一時的に人数が増えた場合や、個室が揃っていなかった頃は、クルーは好きな場所に寝袋を設置して寝ていましたので、クルーの好みに応じて寝場所を変える場合もあります。
搭乗員が着ている肌着や洋服は特別な物ですか
スペースシャトルやISSの船内は、地上と同じ1気圧に保たれており、快適に生活できるように温度や湿度が調整されています。このため、打上げ時と帰還時に着用するフライトスーツを除けば、特別な洋服や肌着を付ける必要はなく、地上と変わらない服装で生活や仕事をしています。
下着類はNASAから支給された物を使います。男性にはTシャツとパンツと靴下、女性にはブラジャーとパンツと靴下が用意されます。
下着の方は毎日着替えられる分を持っていき、綿のシャツ(長袖か半袖)と短パンは着替えを2枚づつ持っていきます。
シャツの方は、多くの場合、クルー全員でミッション名が刺繍されたお揃いのシャツを持っていきますが、自分たちで好きなシャツを選ぶこともできます。
ISSに日本人宇宙飛行士が長期滞在するようになったため、日本人向けの船内宇宙服も用意されるようになりました。
抗菌・防臭機能を追加するなど宇宙用に機能を特化した専用の服も開発されていますが、他国のクルーと合わせた服や日本で市販されている服など、大半は普通の服が使われています。
なお、これらの服は、クルーが記念に持ち帰りたいごく一部のものを除けば、プログレス補給船で焼却廃棄されています。
無重量でもコンタクトレンズは使えるのですか?また、宇宙での装着は難しそうに思えますが、その為の訓練は行っているのですか
コンタクトレンズは、着用する人の角膜に密着しているため、無重量状態の影響を全く受けません。
また、無重量の中でコンタクトを装着するのは、特に難しい動作ではないため、日常の動作の一部ということで、訓練は行いません。
なお、コンタクトレンズはケアの必要のない使い捨ての物を毎日装着します。
宇宙食の歴史について教えて下さい
宇宙食は有人宇宙飛行が始まった1960年代から工夫されてきました。年代を追って振返ってみます。
ひと口サイズの固形食や練り歯磨きのチューブに似た容器の先にストロー状のパイプを付けたものを使用して、クリーム状、ゼリー状の食べ物を摂取していました。チューブ式の宇宙食は離乳食のようなものですから宇宙飛行士たちには評判が良くなかったそうです。
主に3種類の食品、すなわちひと口サイズの食品、中程度の水分を含んだ物、そして乾燥食品が使われ、質とメニューは改善されました。またマーキュリーで不評だったチューブ式の宇宙食は無くなりました。この時代には、包装を開くためのはさみや乾燥食品に水を加えるためのウオーターガンなどの器具が登場しました。
この時期にはお湯が使えるようになり、食品を水で戻して通常のスプーンで食事ができるようになり食事のメニューも増えました。当時の宇宙飛行士に必要なカロリーは、1日1人あたり2800カロリーで、それまでのチューブ入りの宇宙食では1日分で重量2kgもあったものが、600gと約1/3の重量になりました。
この時期には生医学実験なども行われたため、食事内容も綿密にコントロールされました。約半数は、まだ水で戻す方式の加水食品でしたが、残りの半数は、比較的地上の食事に近いもの(温度安定化食品、自然のままの食品、あらかじめ料理され凍結された食品になりました。容器はフタ付きのアルミ缶になり、加熱用のトレイの上にのせて暖めました。またスカイラブには冷凍冷蔵庫やダイニングテーブルがあり、ナイフ、フォーク、スプーンを使うようになって、食事環境はかなり向上しました。
この時代には、より地上の食事に近いものとなり、メニューの種類もさらに増えて、一般に売られている食品をそのまま利用するものや、温度安定化食品(レトルト食品)、加水食品(スープ、ライス、スクランブルエッグなどのフリーズドライ食品)、半乾燥食品(乾燥フルーツ、乾燥牛肉など)、自然形態食(ナッツやクッキーなど)、新鮮食品(リンゴ、オレンジ、バナナ、ニンジン、セロリ、ロールパンなどの新鮮な果物や野菜)などがあります。シャトルの宇宙食はプラスチックの容器に入っており、水やお湯を加えてもとに戻すもの、フードウォーマーで加熱することができるものなどがあります。
ISSの初期段階の食事メニューは10日間のローテーションで組まれており、5日間はロシアの宇宙食メニュー(缶詰が主体)、5日間はアメリカの宇宙食メニューから選ばれていました。
その後システムが変わり、16日間のローテーションメニューとなり、バラエティも増えました。また、ヨーロッパや日本の宇宙食なども登場するようになりました。
さらに、月に1度はボーナス宇宙食を選ぶことができ、メニュー内容はかなり多彩になってきました。 ボ-ナス宇宙食は、冷蔵が不要で、NASAの微生物検査をパスしたものであれば好きなものを含めることができるため、宇宙食として正式に認定されていない市販のレトルト製品や缶詰、お菓子など、宇宙飛行士個人の好みで色々なものを持ち込んでいます。
宇宙食にはどのようなメニューがあるのですか。
スペースシャトルでは、地上で普通に売られている食品をそのまま乗せたり、温度安定化食品(レトルト食品)、加水食品(スープ、ライス、スクランブルエッグなどのフリーズドライ食品)、半乾燥食品(乾燥フルーツ、乾燥牛肉など)、自然形態食(ナッツやクッキーなど)、生鮮食品(リンゴ、オレンジ、バナナ、ニンジン、セロリ、ロールパンなどの新鮮な果物や野菜)など、種類も200種類を超えています。
また、JAXAでは、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在するクルーに供給する宇宙食として、宇宙日本食を開発しました。
スクランブルエッグ、スープ、オレンジジュース、コーヒーなどはプラスチックの容器に入っており、水を加えてもとに戻します。ステーキやチキンなどは袋に入っていたり、缶詰になっていて、フードウォーマーで加熱することも可能です。実験目的で冷凍庫を持っていくミッションの場合、アイスクリームを持ち込んだこともあります。
量的には限られていますが自然形態食の中には、パン、ピーナッツ、クッキー、生野菜、くだもの等があります。生野菜やくだものは、傷まないように打上げ後早めに食べることになっています。
調味料も塩、こしょう、ケチャップ、マスタード、マヨネーズがそろっておりますが、塩とこしょうは飛び散らないように液体になっています。
なお、ISSでは、スペースシャトルやプログレスで補給が来たときは、野菜やフルーツなど生鮮食品が食べられます。過去の例では、オレンジ、リンゴ、グレープフルーツ、レモン、キュウリ、プチトマト、玉ねぎ、ニンニクなどが運ばれています。
また、歴史的背景から米国の宇宙食は乾燥した状態で水やお湯で戻すものやレトルト食品、ロシアの宇宙食は缶詰が比較的多いです。
宇宙食は、飛行前には必ずNASAジョンソン宇宙センター内の「フード・ラボ」で、審査を受けることになっています。ここでの検査に合格さえすれば、宇宙飛行士は好みの食事を宇宙に持っていくことができるのです。
日本人宇宙飛行士がスペースシャトルで飛行したときの食事のメニューはこちらをご覧下さい。
なお、国際宇宙ステーション(ISS)では、滞在期間が長いため毎日の献立は決めておりません。肉/魚類、野菜/スープ類、ドリンク類、フルーツ/ナッツ類、デザート/スナック類などの種類毎に16日間単位でパッケージ化されていて、各宇宙飛行士はそれぞれのパッケージの中から自分の好みの食品を選ぶことができます。
それとは別にボーナス食といって、宇宙飛行士が事前に選んだ食事もあります。
宇宙食のカロリー数はどのような基準に基づいて決めるのですか
宇宙飛行士が宇宙に長期滞在する場合に必要とされる1日のカロリーは、宇宙飛行士の年代、性別および体重から算出(※)されます。
男性
18~30歳 1.7×(15.3×体重(kg)+679)(kcal)
30~60歳 1.7×(11.6×体重(kg)+879)(kcal)
女性
18~30歳 1.6×(14.7×体重(kg)+496)(kcal)
30~60歳 1.6×(8.7×体重(kg)+829)(kcal)
たとえば、45歳で体重70kgの男性であれば2,875kcal、35歳で体重50kgの女性であれば2,022kcalとなります。この数字は地上で必要とされる1日のカロリーとほぼ同じです。なお、船外活動を行う場合は、500kcalを余分に摂取することになっています。
宇宙食のメーカはあるのですか
米国やロシアの宇宙食製造会社は航空機の機内食製造会社のように、決まった業者があるようです。レトルト食品などについては市販品をそのまま持ち込んでいます。
また、JAXAでは、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在するクルーに供給する宇宙食として宇宙日本食を開発しました。現在、さまざまなメーカの作った食品が宇宙日本食として認証されています。詳細は宇宙日本食ページをご覧ください。
宇宙日本食の開発前にも、日本人宇宙飛行士が搭乗する場合は、好みに応じて梅干しなどの日本食を持ち込んでいます。これらも一般に市販されているものです。
例えば、向井宇宙飛行士が初めて飛行したSTS-65(IML-2)ミッションでは、読売新聞社を中心に和食の宇宙食を搭載する企画が行われ、以下のようなメニューが搭載されました。この時はマルハなど国内メーカ品から選ばれました。
スペースシャトルに搭載される宇宙食は、飛行前には必ずNASAジョンソン宇宙センター内の「フード・ラボ」に持ち込まれ、審査を受けることになっています。ここの審査を通れば市販品でも持ち込みが可能となります。
宇宙食の製造工程は特別な管理がされているのですか
宇宙飛行士が宇宙滞在中に食中毒になったら大変です。宇宙飛行士達の食事は絶対安全でなければなりません。
そこで、NASAは食品の安全性を確保する方法を考案しました。
最終製品の検査によって、安全性を保証するのではなく、製造における重要な工程を連続的に管理することによって、製品の安全を保障しようとする衛生管理の手法です。
調理課程のどこで食中毒菌による汚染、増殖が起こるかなどを調べる「危険の分析」を行い、それを防ぐにはどういう手段があるかを考えます。また注意を払うべきポイントを「重要管理点」と呼び、正しい調理法が守られていることを常にチェックします。
この方法をHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point: ハサップ、危険の分析・重要管理点)と呼びます。この手法は、欧州、米国はもちろん日本でも1996年5月から食品衛生法において導入、施行されています。
宇宙食を試食することはできますか
現在の宇宙食と同一のものではありませんが、フリーズドライで作られている食品(乾燥フルーツやアイスクリームなど)が、筑波宇宙センターの売店や各地の科学館などで販売されています。
宇宙日本食として認定されたものの中には、ネットなどで販売されているのもありますので探してみると良いでしょう。また、宇宙食といっても、今まで食べられていたものがパッケージを変えただけでそのまま宇宙食にされたものも多いようです。
ISSに電子レンジはありますか
ISSの調理器具に電子レンジはありません 。
熱対流のない宇宙において、電子レンジは効率よく温めることができるのですが、電子レンジが温めることができるものは水分を含んでいることとと電波を通す容器に入っている必要があります。
ロシアの宇宙食は缶詰が主体で、米国の宇宙食はアルミ包装のレトルト食品が増えていますので、これらには使用できません。また電波を使用するため周囲の電子機器に影響を与えないような工夫が必要になります。
そこでISSには、「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)内のテーブルに組み込まれた缶詰を温めるためのロシア製のフードウォーマーや、米国とロシアのモジュールにそれぞれ設置されたレトルト食品などを温めるアタッシュケース形状のフードウォーマーが用意されています。
国際宇宙ステーション(ISS)にはどのような娯楽があるのですか
宇宙飛行士たちは自分の好きな音楽を収めた音楽プレーヤーを持込むこともできるので、自由時間には音楽鑑賞もできますし、無重量の環境を楽しんだりしているようです。また、宇宙から眺める地球や星はとてもきれいなので、それらを眺めたり、写真を撮ったりする人もいるようです。
45分毎に起きる日没と日の出は大変壮観です。
5~6ヶ月近く滞在するISSでは、さらに雑誌を読んだり、DVDで映画を見たりしています。人形などの私物も持ち込んでいますし、クリスマスには簡単なツリーを飾ったりちょっとしたパーティを楽しんだりもします。
また、IP電話を使って家族や友人に電話をかけたり、メールを交換したり、インターネットを使って地上のニュースなどを確認することもできます。
国際宇宙ステーション(ISS)ではどのようにして健康を保つのですか
人は心身ともに健康でなければなりません。
先ず心の健康ですが、狭い閉ざされた空間に多国籍の宇宙飛行士が数名、3ヶ月から半年もの長期にわたり滞在していますと、精神的なストレスが生じることが予想されます。このような状態を克服するためには、適度な娯楽、家族や友人との連絡などが有効と考えられますのでそのような機会が得られるよう配慮されます。
必要に応じて地上からフライトサージャン(宇宙飛行士の健康管理、航空宇宙医学の研究を行う専門医)のカウンセリングを受けることもできます。
適切な対応方法を検討するため、長期閉鎖実験も行われています。
次に体の健康ですが、ISSの宇宙飛行士は、無重量の世界に長期にわたり滞在することになるので、体を健康に保つためには十分な配慮が必要です。
地上では、人間は寝ているとき以外は常に重力に逆らって行動していますので、筋肉は体を支えるために緊張していますし、骨にも常に重力による力が作用しています。ところが宇宙では重力が作用しませんので、体はいわば怠けた状態にあり、筋肉が衰える、あるいは骨がもろくなるといった悪影響を及します。
これを避けるためには重力があるときと同様な条件を体に与えることが必要です。
そのためには適度な運動が効果的で、宇宙飛行士はトレッドミルやエルゴメーターといった運動器具を使用して毎日2時間の運動をします。
トレッドミルは、体をゴムバンドで押えつけた状態でランニングをする器具です。エルゴメーターは、車輪のない自転車のようなもので、ペダルをこぐ負荷を調節することにより運動量を調節することができます。
宇宙でシャボン玉を作ったらどうなりますか
シャボン玉は、うすい石鹸水などでできています。
石鹸の分子(一般には界面活性剤と呼ばれます)の膜は、水が丸くなろうとする力(表面張力)を弱めて大きな直径の膜(シャボン玉)でも破れにくくします。
この時、石鹸の分子の膜は分子の層の間にちょうどサンドイッチ状態に水の膜を挟んでいます。シャボン玉をどんどん膨らませて行くと、この膜の厚さは非常に薄く(100オングストローム、0.00001mm以下)、弱くなり、ちょっとした力でも壊れやすくなります。
たとえば、対流による空気の流れや、シャボン玉自信の重さや厚さのむらなどが原因で壊れてしまうのです。
ところが、無重量環境でシャボン玉を作れば、対流による空気の流れや、シャボン玉自身の重さによるひずみが出来にくいので、大きく膨らませてもかなり安定し、地上よりも長持ちすると考えられます。
ただし、シャボン玉の膜を作っている水分子が蒸発していきますので、徐々に膜が薄くなっていき、やがては壊れてしまいます。
地上でも、うまく作ると人が入れるくらいのシャボン玉が出来ますが、宇宙でどこまで大きくできるか、実験した例はまだありません。
STS-131(19A)ミッション時に、山崎宇宙飛行士が自由時間を使ってシャボン玉を作りました。地上では色を付けることができなかったシャボン玉も、宇宙では色が付くことが確認できました。
宇宙飛行ではどこの時間を使用しているのですか
国際宇宙ステーション(ISS)での時刻は協定世界時(UTC)を使用しています。 ソユーズ宇宙船の飛行中はモスクワ時間を使っているとのことです。 なお、スペースシャトルではMET(Mission Elapsed Time)という打上げからの経過時間を主に使用していました。
日本標準時間 | バイコヌール標準時間 | モスクワ時間 | 協定世界時間 | 米国東部夏時間 | 米国東部標準時間 | 米国中部夏時間 | 米国中部標準時間 | |
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記号 | JST | MSK | UTC | EDT | EST | CDT | CST | |
UTCとの時差 | +9 | +5 | +3 | 0 | -4 | -5 | -5 | -6 |
0:00 | 20:00 | 18:00 | 15:00 | 11:00 | 10:00 | 10:00 | 9:00 | |
1:00 | 21:00 | 19:00 | 16:00 | 12:00 | 11:00 | 11:00 | 10:00 | |
2:00 | 22:00 | 20:00 | 17:00 | 13:00 | 12:00 | 12:00 | 11:00 | |
3:00 | 23:00 | 21:00 | 18:00 | 14:00 | 13:00 | 13:00 | 12:00 | |
4:00 | 0:00 | 22:00 | 19:00 | 15:00 | 14:00 | 14:00 | 13:00 | |
5:00 | 1:00 | 23:00 | 20:00 | 16:00 | 15:00 | 15:00 | 14:00 | |
6:00 | 2:00 | 0:00 | 21:00 | 17:00 | 16:00 | 16:00 | 15:00 | |
7:00 | 3:00 | 1:00 | 22:00 | 18:00 | 17:00 | 17:00 | 16:00 | |
8:00 | 4:00 | 2:00 | 23:00 | 19:00 | 18:00 | 18:00 | 17:00 | |
9:00 | 5:00 | 3:00 | 0:00 | 20:00 | 19:00 | 19:00 | 18:00 | |
10:00 | 6:00 | 4:00 | 1:00 | 21:00 | 20:00 | 20:00 | 19:00 | |
11:00 | 7:00 | 5:00 | 2:00 | 22:00 | 21:00 | 21:00 | 20:00 | |
12:00 | 8:00 | 6:00 | 3:00 | 23:00 | 22:00 | 22:00 | 21:00 | |
13:00 | 9:00 | 7:00 | 4:00 | 0:00 | 23:00 | 23:00 | 22:00 | |
14:00 | 10:00 | 8:00 | 5:00 | 1:00 | 0:00 | 0:00 | 23:00 | |
15:00 | 11:00 | 9:00 | 6:00 | 2:00 | 1:00 | 1:00 | 0:00 | |
16:00 | 12:00 | 10:00 | 7:00 | 3:00 | 2:00 | 2:00 | 1:00 | |
17:00 | 13:00 | 11:00 | 8:00 | 4:00 | 3:00 | 3:00 | 2:00 | |
18:00 | 14:00 | 12:00 | 9:00 | 5:00 | 4:00 | 4:00 | 3:00 | |
19:00 | 15:00 | 13:00 | 10:00 | 6:00 | 5:00 | 5:00 | 4:00 | |
20:00 | 16:00 | 14:00 | 11:00 | 7:00 | 6:00 | 6:00 | 5:00 | |
21:00 | 17:00 | 15:00 | 12:00 | 8:00 | 7:00 | 7:00 | 6:00 | |
22:00 | 18:00 | 16:00 | 13:00 | 9:00 | 8:00 | 8:00 | 7:00 | |
23:00 | 19:00 | 17:00 | 14:00 | 10:00 | 9:00 | 9:00 | 8:00 |
宇宙で洗濯はできますか
スペースシャトルやISSに洗濯機はありません。
ISSでは水は貴重ですし、洗った後の汚水処理も大変です。
また水が飛び散るような洗濯機は危険ですし、たとえ水が外に漏れないような構造でも、ISSに有害な振動を発生する機械は使えません。
そこで下着は毎日、衣類は何日間か着たら他の廃棄物と同様にプログレス補給船にしまいます。つまり使い捨てというわけです。
なお、ケネス・バウアーソックス宇宙飛行士が第6次長期滞在期間に無重量環境での洗濯デモンストレーションを行いました。
ISSでお湯を沸騰させることはできますか
国際宇宙ステーション(ISS)の船内は地上と同じ1気圧の空気で見たされていますので、理屈では水を温めて沸騰させることはできます。
但し、ISS内にあるロシア製の給水器からは80度Cのお湯が出るようになっています。
それ以上温度を上げると気泡が発生し、重力が無いのでお湯と気泡が混ざった状態になり、給水機の蛇口からお湯を出そうとしたとき、噴き出して火傷する危険があるので、80度に抑え沸騰させないようにしています。
ISSの中ではどうやって上下を区別するのですか
重力の無いISS/「きぼう」の中では、便宜的に上下を決めないと大変不便なので、視覚的に上下を決めています。
天井側に照明を配置し、床側に青い線を引いています。
これにより天井と床が明確になり、その両側が壁ということになります。
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