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ミッション結果の要約

18回目の飛行に臨むエンデバー号
実施状況および結果

このSTS-111ミッションでは、次のような事項が達成されました。

・第4次長期滞在クルーを第5次長期滞在クルーと交替させる。
・国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアーム「カナダアーム2」を将来ISSの組立て・保守作業で移動できるようにするための設備(モービル・ベース・システム:MBS)をS0(エスゼロ)トラス(桁構造)上の台車(モービル・トランスポータ:MT)に取り付ける。
・9,000ポンド(約4,000kg)を超える機材や物資をISSに輸送する。
・不具合を起こしていたカナダアーム2の手首のロール関節を新しい物と交換する。

そして、これらの作業のために必要な船外活動を3回実施しました。

カナダアーム2で取付場所まで移動されるモービル・ベース・システム(MBS)

現在、カナダアーム2は米国実験棟「デスティニー」とMBSを、アームの両端にある2つのエンドエフェクターで把持した状態であり、7月初旬までにはデスティニー側の把持を開放してMBS側を起点として活動するようになります。この状態でMTを移動させればS0トラス上を移動できるようになります。8月の9Aフライトでは、これらMT, MBS, カナダアーム2を使ってS0トラスの右舷側にS1トラスを取り付ける作業が行われます。
さらにISSで不要となった機材や物品約5,700ポンド(約2,600kg)を地球に持ち帰りました。その結果、ISSの質量は152.4トンとなりました。

この飛行では1996年にミール宇宙ステーションでシャノン・ルーシッド宇宙飛行士が打ち立てた米国の連続宇宙滞在記録188日が、第4次長期滞在クルーによって196日まで更新されました。

飛行概要
 飛行の概略は以下のとおりです。(明示のない時間は米国中部夏時間です。) 詳細はステータスレポートをご覧下さい。 打上げと帰還日時
打上げ日時2002年 6月 5日午後 5時23分(米国東部夏時間)(打上げ地時刻)
(日本時間 6月 6日午前 6時23分)
帰還日時2002年 6月19日午前 10時58分(米国太平洋夏時間)(帰還地時刻)
(日本時間 6月20日午前 2時58分)
ミッション期間13日20時間35分

 

ISSとの結合および分離日時
結合日時2002年6月 7日午前11時25分
(日本時間 6月 8日 午前 1時25分)
分離日時2002年6月15日午前9時32分
(日本時間 6月15日午後11時32分)
結合期間7日22時間 7分





 
第2回船外活動
モービル・ベース・システム(MBS)とモービル・トランスポ
ータ(MT)上で作業
船外活動(EVA)
この飛行では計3回の船外活動が行われました。ISS組立てとしては、ISSから実施したものも含め、通算41回の船外活動を実施したことになります。
第1回船外活動(飛行5日目)
開始時刻6月9日午前10時27分(日本時間 6月10日午前 0時27分)
終了時刻6月9日午後 5時41分(日本時間 6月10日午前 7時41分)
作業時間7時間14分
作業者フランクリン・チャン-ディアズ、フィリップ・ペリン
主要作業内容

・ 電力・通信グラプル・フィクスチャ(PDGF)のP6トラスへの取り付け。
・ サービスモジュール用デブリシールド・パッケージ(SMDP)の与圧結合アダプタ(PMA-1)への仮設置。
・ 不具合を起こしたコントロール・モーメント・ジャイロ1(CMG1)の外観点検と写真撮影。(急遽追加した作業)
・ モービル・ベース・システムの電子機器保護用の断熱カバーの取り外し。

第2回船外活動(飛行7日目)
開始時刻6月11日午前10時20分(日本時間 6月12日午前 0時20分)
終了時刻6月11日午後 3時20分(日本時間 6月12日午前 5時20分)
作業時間5時間0分(作業が順調に推移したため予定よりも1時間30分早く終了した。)
作業者フランクリン・チャン-ディアズ、フィリップ・ペリン
主要作業内容・ モービル・ベース・システム(MBS)とモービル・トランスポータ(MT)間の6本の配線の接続。
・ MBS上のペイロード/ORU把持装置(POA)の展開。
・ MBSとMTを4本のボルトで構造的に結合。
・ MBSのキールピンに取り付けてあったカメラを、MBS上の本来の使用場所であるマストの上に移設。
・ MTが動けなくなった際に、電力供給が出来なくなるMBS、カナダアーム2等を保護するための(船外活動をおこなって接続する)延長ケーブルを収容したバッグのMBSへの取り付け。
・ MBSのコネクタの写真撮影。
第3回船外活動(飛行9日目)
開始時刻6月13日午前10時16分(日本時間 6月14日午前 0時16分)
終了時刻6月13日午後 5時33分(日本時間 6月14日午前 7時33分)
作業時間7時間17分
作業者フランクリン・チャン-ディアズ、フィリップ・ペリン
主要作業内容・ ISSのロボットアーム「カナダアーム2」の不具合を起こしていた手首のロール関節を新しいものと交換。
・ この次のフライトの船外活動に備えて、船外活動用工具を「デスティニー」(米国実験棟)の外壁に設置。


船内活動(IVA)
STS-111ではISSやエンデバー号の内部で次のような作業をおこないました。

・ およそ9,000ポンド(約4,000kg)の機材や補給品をISSに搬入し、およそ5,700ポンド(約2,600kg)の不要品を地球に持ち帰りました。
・ 船外活動実施中にエンデバー号のロボットアームのカメラで撮影した作業状況の映像をクルーや運用者に提供しました。
・ ISSのロボットアーム「カナダアーム2」を操作し、船外活動中の宇宙飛行士を移動したり、作業の足場を提供するなどの支援をおこないました。
・ カナダアーム2でMBSのPDGFを把持し、カナダアーム2を経由して電力、通信インタフェースを供給しました。
・ カナダアーム2でMBSをその取り付け場所となるMTの上部に移動しました。
・ MPLMからISSへ実験ラック2台を搬入しました。
・ シャトルのミッドデッキとISSの間で実験装置を移動しました。

リブースト(軌道高度を上昇させる軌道制御)
 リブーストとは軌道高度を上昇させるための軌道制御のことです。ISSは、空気抵抗で高度が日々下がります。そこで、その次の便が到着するまでの高度低下を見込んで、シャトルをISSから分離する前に、スペースシャトルのスラスタによりISSの軌道高度を上昇させる軌道制御(リブースト)を実施しています。STS-110ではリブーストを次のように実施しました。

実施日(米国中部夏時間)上昇高度
飛行 6日目(6月10日)1マイル(約1.6km)計6マイル (約9.6km)
飛行 8日目(6月12日)1マイル(約1.6km)
飛行10日目(6月14日) 4マイル(約6.4km)


不具合など

 STS-111ミッションの期間中には次のような不具合が発生しました。


    ・ 国際宇宙ステーション(ISS)の姿勢制御をおこなう装置で4基あるコントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)のうち1基の軸受けが損傷してこのCMGが使えなくなりました。CMGは最低2基あれば運用できるので、当面の運用には支障はありませんが、今後のことを考慮すると早急な交換が必要となります。
    ・ エンデバー号のフラッシュ・エバポレータ・システム(FES)の制御装置の1つが故障しましたが、3重化されているので運用への影響はありませんでした。FESはスペースシャトルで発生した熱を船外に逃がす装置です。
    ・ 第4次長期滞在クルーと第5次長期滞在クルーの公式な引継のセレモニーの最中に火災報知器が誤動作で警報が鳴ったため、セレモニーは5時間遅れて終了しました。荷物の移動で舞い上がったほこりが原因と推測されています。
    ・ 今回のフライトで取り付けたモービル・ベース・システム(MBS)を経由してISSのロボットアーム「カナダアーム2」に電力を供給しようとした際にトラブルが発生し、うまくいきませんでした。原因はソフトウェアの問題でタイミングがずれたためであり、ソフトウエアの修正で容易に解決できるものであるとされています。

 

最終更新日:2002年 6月21日

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