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国際宇宙ステーションNASAステータスレポート #06-26
第13次長期滞在クルー 今週、国際宇宙ステーション(ISS)の第13次長期滞在クルーは、6月1日に予定されている6時間の船外活動の準備に、特に力を入れました。クルーはこの船外活動で米国とロシアの機材を修理、回収する予定です。 第13次長期滞在クルーのコマンダーであるパベル・ビノグラドフとNASAのフライトエンジニアでサイエンスオフィサーのジェフリー・ウィリアムズは、船外活動のための工具を集め、着用する予定のロシアのオーラン宇宙服のバッテリを充電し、「ピアース」(ロシアのドッキング室)のエアロックのシステムを点検しました。今回の船外活動ではピアースからISSの外に出る予定です。 この船外活動はISSの組み立て、メンテナンスとしては65回目、ピアースからの船外活動としては18回目となる予定です。今回は、ビノグラドフにとっては6度目、ウィリアムズにとっては2度目の船外活動になります。 5月30日にクルーは宇宙服を試着し、宇宙服の動きやすさを試し、船外活動で使う予定の工具の使い勝手を確認する予定です。今週、ビノグラドフとウィリアムズは6月1日の船外活動に時間を合わせるため、起床・就寝サイクルを変更しました。ふたりは、今週末の休暇を楽しんだ後、通信機能とシステムの最終点検といった船外活動の準備を5月29日に再開する予定です。 エレクトロン(酸素発生装置)の水素排気口が詰まって使用できないため、今回の船外活動で、クルーは「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)の外側に新しい水素排気口を取り付ける予定です。この排気口は、ロシアのエレクトロン(酸素発生装置)の一部です。エレクトロンは水から酸素と水素を分離するものであり、分離された酸素はISS内に供給され、水素はISS外に排気されます。 また、船外活動を行うクルーは、ズヴェズダの外部からスラスタの残留物を収集する装置を回収すると共に、汚染物質監視装置、生物学実験容器を回収し、来年、欧州宇宙機関(ESA)の欧州補給機(Automated Transfer Vehicle: ATV)の無人でのランデブー/ドッキングに使われる予定の、ズヴェズダ後部に取り付けられている航法用アンテナ1本のケーブルの位置を修正する予定です。 また、ウィリアムズはISSのトラスに添ってレール上を移動するモービルベースシステム(MBS)のカメラの交換を行う予定です。 船外活動の内容を説明するミッション状況説明会は、米国中部夏時間5月30日午後1時(日本時間5月31日午前3時)からNASA TVで放送する予定です。この説明会では、各NASAセンターからメディアとの質疑応答が行われます。NASA TVによる船外活動の生中継は、6月1日午後4時30分(同6月2日午前6時30分)から始まります。 メンテナンス作業としては、今週、ビノグラドフがロシアのVozdukh(二酸化炭素除去装置)のガス分析装置の交換を終えました。VozdukhはISS内の二酸化炭素を除去する能力を少し落とした状態で稼動していました。新しいガス分析装置を取り付けた後に、ロシアの専門家達がVozdukhを再起動しました。現在、Vozdukhは正常に稼働しています。 クルーによる地球観測実験(Crew Earth Observations: CEO)の一環として、ウィリアムズはアラスカ州のアリューシャン列島にあるクリーブランド火山の噴火を初めて撮影しました。宇宙飛行士は軌道上からの視点を活かし、これまでにも何度か火山の噴火を誰よりも早く発見し、確認してきました。今回は数年ぶりに噴火を早期発見したことになります。 5月23日に、ウィリアムズはミッションの進捗状況をAssociated Press Television Networkに対して説明し、イタリアのベネチアの生徒達とアマチュア無線による交信を行いました。 ウィリアムズは、コロイド溶液中の常磁性体の集合体の構造研究(Investigating the Structure of Paramagnetic Aggregates from Colloidal Emulsions: InSPACE)の第1回目の実験を開始しました。前回は第7次長期滞在時に行われたこの実験は、磁場に置かれると性質が変化する液体の性質を研究する実験です。InSPACE実験では、新しいブレーキシステムや、座席サスペンションロボティクス、クラッチ、飛行機の着陸脚、振動吸収システムの開発もしくは改良への応用が可能になると期待される、新しい機能性材料の基本データを収集します。詳細はhttp://exploration.grc.nasa.gov/inspace/をご覧ください。 ウィリアムズはまた、二元コロイド合金実験(Binary Colloidal Alloy Test - 3: BCAT-3)用の地上から操作するカメラの点検を続けました。アースカム実験のカメラと機材を利用してBCAT試料3の定期的な撮影を1時間毎に行っています。BCAT-3では、基礎物理の研究のためにコロイドと呼ばれる小さな粒子を使います。この実験では、新しい医薬品から新しいロケットエンジンにまで、広い範囲での応用が利く可能性のあるデータを収集します。アラバマ州ハンツビルにあるNASAマーシャル宇宙飛行センター(MSFC)のペイロード運用チームが、ISS上での米国の科学実験活動の調整を行っています。 次回のISSステータスレポートは、船外活動後の6月2日早朝または新規イベントがあれば発行する予定です。ISSクルーの活動状況、また各地域でのISSの可視状況などについてはhttp://www.nasa.gov/stationをご覧ください。 出典:http://spaceflight.nasa.gov/spacenews/reports/issreports/2006/iss06-26.html *併記の無い限り日時はすべて米国日時とします。 最終更新日:2006年5月29日
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