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国際宇宙ステーション・ ステータスレポート#02-41 国際宇宙ステーション(ISS)に搭乗している第5次長期滞在クルーは、米国中部夏時間9月13日午後4時23分(日本時間9月14日午前6時23分)に、宇宙に滞在して100日目を迎えました。今週は、医学診断のための超音波診断装置の軌道上での初運用や微小重力研究グローブボックス(Microgravity Science Glovebox:MSG)で行われた最初の材料科学実験の完了、ISSの軌道高度のリブースト(軌道の引き上げ)、ロボットアームを用いた作業と忙しい週でした。 フライトエンジニアのペギー・ウィットソンは9月13日朝に、デスティニー(米国実験棟)内の人体研究(Human Research Facility:HRF)ラックの超音波診断装置をセットアップし作動させました。そして、ヒューストンのフライトサージャン(航空宇宙医師)からの指示に従い、彼女自身を被験者として4時間以上に渡って生映像を取得しました。超音波診断画像を取得し、地上へ送信できるようになることで、地上の科学者により宇宙で行われる医学研究の範囲が発展する可能性があり、また医師がISSのクルーの病気を別の方法で診断するよりも早く診断できます。これにより、クルーの緊急帰還やISSの放棄をすることなく、問題をより効率的に扱えるようになるでしょう。 ウィットソンは9月11日に、密閉されたアンプル(容器)内での隔壁を使用した凝固実験(Solidification Using a Baffle In Sealed Ampoules experiment:SUBSA)の最後のサンプルを取り出し、この実験を完了しました。SUBSAはデスティニーのMSGで行われた最初の科学実験です。 科学者は、半導体の材料が透明な炉の中で溶融する様子を、ビデオテープに記録された映像で観察しました。彼らは、半導体生成時における欠点を減らす手段のひとつとして、溶融した材料中での運動の大きさを減少させる方法を研究しています。次のMSGでの実験は気泡の形成および移動性の研究(Pore Formation and Mobility Investigation:PFMI)で、来週運用が開始されます。PFMIでは、科学者が溶融した金属や結晶のサンプル内の気泡の形成と動きを観察します。この気泡は金属の強度や有用性を損なう可能性のあるものです。 コマンダー(船長)のワレリー・コルズンとウィットソンは、9月12日に、ISSのロボットアーム「カナダアーム2」を使用し、ユニティ(ノード1)の地球方向にある共通結合機構(Common Berthing Mechanism:CBM)を目視点検しました。この調査は、レオナルド(多目的補給モジュール1)のCBMから分離した破片がいくつか見つかったために行われました。レオナルドは一番最近行われた6月のシャトルミッションの間、ユニティにドッキングしていたモジュールです。3時間の調査で、クルーはユニティの結合ポートの接近画像を、保護パネルを閉じたり開いたりしつつ集めました。ヒューストンの専門家たちは、今後何か対処を行う必要があるかどうか決めるため、クルーによる調査結果とともに画像を調査しています。 ロシアのフライトコントローラは9月11日夜に、ズヴェズダ(ロシアのサービスモジュール)の後方にドッキングしているプログレス補給船(8P)にコマンドを送り、スラスタを噴射させました。これにより、ISSの平均高度は1.5ノーティカルマイル(約2.8km)上昇し、243マイル(約391km)となりました。このリブーストにより、9月24日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打上げが予定されている新しいプログレス補給船と、10月28日に打上げが予定されている新しいソユーズ宇宙船の到着の準備が整ったことになります。このソユーズ宇宙船により、「タクシークルー」のロシアの宇宙飛行士Sergei ZalyotinとESAの宇宙飛行士でベルギー人のフランク・デヴィン(Frank De Winne)がISSへ飛行する予定です。 先週末の休息と家族との通話の時間に加えて、クルーはデスティニーのエクスプレス2実験ラックの能動式ラック制振システム(Active Rack Isolation System:ARIS)のための一時的な接地用のアースを、デスティニーの無重量保管ラックにあった標準的なアースを使用して作成しました。この作業は、元のアースがすり切れてしまったために必要となりました。この一時的な修理により、作業の再校正のためのARISの起動が可能になります。この修理を完了させるための新しい機器が、次のスペースシャトルミッションでISSに運ばれる予定になっています。 次にISSに向けて飛行する予定のスペースシャトルが、9月10日に、次の組立てミッション(9A)の最終準備のため、フロリダ州ケネディ宇宙センターの39B射点へ移動しました。STS-112ミッションは、10月2日に打上げを予定しており、ISSを支える桁(トラス)構造体の次の要素であるS1トラスを、3回予定されている船外活動で取り付けることを目的としています。スペースシャトルの射点への移動は、移動用の台車(クローラ・トランスポータNo.2)のJEL(Jacking, Equalization and Leveling)シリンダーのベアリングの修理を終え、無事完了しました。 コルズンとウィットソンは、来週、二酸化炭素除去装置(Carbon Dioxide Removal Assembly:CDRA)の修理作業を行う予定です。CDRAは内部に漏れが生じていますが 、まだISS内の二酸化炭素を除去しています。ヒューストンのフライトコントローラによるトラブルシューティングにより、除湿部/二酸化炭素の吸着部(反応層)の中の除湿部のバルブはしっかりと閉じており、漏れは液体ラインのひとつで起こっているようであるとまとめられました。ウィットソンにより行われた目視検査も、その解析を裏付けました。来週、コルズンとウィットソンにより、修理を行うため、7月に吸着部(反応層)を交換したときと同様、CDRAを収めたシステムラックが開けられる予定です。 ISSクルーの活動状況、今後の打上げ日時、また地上のある地点からのISSの可視状況などについてはhttp://spaceflight.nasa.govをご覧ください。 ISSでの科学実験の模様については、アラバマ州ハンツビルのNASAマーシャル宇宙飛行センターのペイロード運用センターのサイトhttp://www.scipoc.msfc.nasa.goをご覧ください。 次回のISSステータスレポートは9月20日に、あるいは何かのイベントが発生した時点で発行する予定です。
出典: http://spaceflight.nasa.gov/spacenews/reports/issreports/2002/iss02-41.html 最終更新日:2002年 9月24日
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