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レオナルド・モジュール:国際宇宙ステーション用の「移動式バン」


イタリアで製造中のレオナルド・モジュール
 イタリア宇宙機関(ASI)が開発したレオナルド多目的補給モジュール(MPLM: Multipurpose Pressurized Logistics Module)は、国際宇宙ステーション(ISS)で運搬用のバンとして使用される予定の3機の与圧モジュールのうちの初号機です。
 このMPLMは、実験モジュールに搭載するラックを搭載し、機器や実験装置、補給品などをスペースシャトルに搭載してISSへ運んだり、地球へ持ち帰ったりします。

 無人で飛行し、再使用可能なこの補給モジュールは、荷物の運搬だけではなく、飛行時にはISSの1モジュールとして機能します。打上げ/着陸時にはスペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)に搭載され、スペースシャトルがドッキングすると、スペースシャトルのロボットアームを使用してISSへ結合されます。ISSと結合すると搭載していたラックはモジュールから取り出され、代わりに地球へ回収するための古いラックや機器類が積み込まれます。補給モジュールはこの後、ISSから取り外され、帰還のために、スペースシャトルのペイロードベイに戻されます。ペイロードベイに戻された後は、カーゴモジュールはスペースシャトルの船室から離れているため、スペースシャトルの船室との間でのクルーの行き来はできません。

 荷物の運搬だけでなく、ISSへ取り付けられるものなので、この補給モジュールには生命維持、火災検知、消火、電力分配およびコンピュータ機能も持っています。ISSとの間で食料や実験試料の運搬を行うために、冷凍冷蔵庫が搭載されることもあります。専門的にはMPLMと呼ばれるこの補給モジュールはイタリアで開発されましたが、アメリカが所有する物となります。これは、ISSでアメリカが持つ研究時間の中にイタリアを参加させることと引き替えに交換されたものです。

 このレオナルド・モジュールは、2000年3月(注:2001年3月に延期されています)のシャトルミッションSTS-102で打ち上げられました。この飛行では、レオナルドには1つ前のスペースシャトルミッションで打ち上げられている米国のデステニィー実験棟(U.S.Lab)へ取り付ける機器やラックを搭載します。イタリア宇宙機関でのレオナルドの製造は、1996年4月にイタリアのツーリーンにあるアレニアエアロスパシオ社の工場で始まりました。レオナルドは1998年8月にイタリアからケネディ宇宙センターへ、特別なベルーガ輸送機に搭載して運ばれました。この円筒形のモジュールは、長さ約6.4m、直径4.6m、重量は約4.5トンあります。標準的なISSのラック16個に荷物をつめ、最大で10トンまで荷物を搭載できます。このモジュールに搭載する16個のラックのうち、5個には冷凍冷蔵庫をサポートするため、電力、データの供給が可能です。ラファエロと名付けられた2番目のモジュールの製造は既に始まっており、1999年にはケネディ宇宙センターへ到着する予定です。ドナテロと名付けられた3番目のモジュールは2000年にケネディ宇宙センターへ運ばれる予定です。

 イタリア宇宙機関は、これらの名前をイタリアの偉大な人物からとりました。レオナルド・ダヴィンチは、大変な発明家・科学者であり、都市工学者、建築家、軍事計画の立案者、兵器設計者であり、芸術家でもあります。
Donato dei Nicolo di Betto Bardiは、偉大な彫刻家の1人であり、近代彫刻の創始者の1人です。ラファエロ・サンジオ(Raffaero Sanzio)は、飛び抜けた芸術家であり、落ち着いた作品と透明感のある様式の両方で人間の壮大さを目に見える形で達成しました。

 レオナルドは、イタリア宇宙機関、ボーイング社、アレニオスパシオ社の技術的支援を受けながら、ケネディ宇宙センターで打上げ準備が進められています。この補給モジュールの今後の主要な予定としては、98年末に米国のデステニィー実験モジュールが到着した後、複数のエレメントをつなげての打上げ前試験が行われます。モジュール外部へのデブリシールドの取付など、いくつかの組立作業は、ケネディ宇宙センターでも続けられます。1999年の中頃までには最も早いレオナルド・モジュールの打上げ準備が始まります。ケネディ宇宙センターで、レオナルド・モジュールに対して行われる最も大規模な機械的作業としては、様々な実験装置や荷物を搭載したラックの設置作業があります。

 ケネディ宇宙センターで開始された最終試験と打上げ準備作業を受けるイタリア宇宙機関のレオナルド補給モジュール


最終更新日:2000年12月20日

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