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若田 光一
リロイ・チャオ
宇宙飛行士
宇宙飛行士
インタビュー


左:若田 光一宇宙飛行士
右:リロイ・チャオ宇宙飛行士
 1998年10月 2日に実施した両宇宙飛行士のインタビューを紹介します。

Q1:今回の試験についてのコメントを。
若田:
 リロイ・チャオ宇宙飛行士とはSTS-72で一緒に飛行した仲間であり、来年の国際宇宙ステーションの組み立てミッション(STS-92)で再び一緒に搭乗することになっています。
 私と彼は昨年筑波宇宙センターで行われた船外活動試験にも参加していました。その試験時に作業性の悪さを感じた個所がありましたが、今回の試験では設計が変更され改善されていました。JEMのハードウェアの設計が非常に順調に進んでいる事を実感しています。
 また、前回に比べ、宇宙開発事業団の設備の運用も非常にスムーズになり、我々が宇宙ステーションの組み立てや運用に向けて、着々と進んでいることを実感しました。
リロイ・チャオ:
 これまで、日本の宇宙飛行士と一緒にスペースシャトルに搭乗したり、JEMの船外活動試験へ参加するなど、日本の宇宙開発計画に大きく関わってこられたことを大変嬉しく思っています。
 今回、重要なイベントである船外活動試験の全てが順調に運び、結果が良好なものであったと報告できることを嬉しく思います。

Q2:今回の試験の感想と来年の6月のミッションについて。
若田:
 来年の飛行では私は船外活動は行わず、ロボットアームを担当し、リロイさんは船外活動を担当します。これはSTS-72ミッションの時と同じ組み合わせですので、息の合った仕事が出来ると思います。
 リロイさんはNASAではMr.EVAと呼ばれているくらいの船外活動の専門家であり、ベテランです。リロイさんと共に試験やミッションに参加できるということは今後のJEMの組み立てや船外活動を知る上で貴重な経験であると思っています。
リロイ・チャオ:
 コウイチと再び飛行できるというだけではなく、更に船外活動の検証試験に一緒に参加できるということを大変嬉しく思っています。前回の飛行の時にも一緒に訓練を行っており、チームワークのとれた協調的な仕事をして行くための経験はしっかりと積んできています。
 今回は船外活動を検証するという、前回の飛行ではできなかった経験を共にすることができて良かったと思います。

Q3:JEMのエンジニアリングの印象は?
リロイ・チャオ:
 JEMのエンジニアリングについては非常に高く評価しています。また、NASAのチームとの作業を、大変協力的に行っているという印象を受けています。

Q4:STS-92に向けての抱負は?
若田:
 国際宇宙ステーションの組み立ては、それぞれがこれまでに無い難しさを持ったミッションが続いていきます。そういった意味では、初期の段階での組み立ての担当に割り当てられたということを非常に嬉しく思っています。
 私はロボットアームの第一操縦者の担当になってるので、自分の任務を全うし、次のフライトに向かって行けるように全力を尽くして訓練に臨みたいと思っています。

Q5:若田宇宙飛行士から子供たちへメッセージを?
若田:
 私はとても幸運だと思っています。5歳の時にアポロの月着陸を見て、宇宙への憧れを持ちましたが、その当時は私にとって宇宙はとても遠い存在で、宇宙飛行士として宇宙で仕事が出来るのは旧ソ連の人たちかアメリカの人たちだけだと思っていました。
 小さい頃から航空機に強い興味を持っていたので、飛行機を作るなどの飛行機のエンジニアリングに携わりたいという強い希望を持って勉強してきました。その延長線上に宇宙飛行士という仕事があったわけですけれども、幼い頃こういう事がしたいという強い興味と目標が飛行機であり、それに向かって一歩一歩努力をしてきた結果、宇宙飛行士という道が開けてきたのではないかと思っています。
 私は子供たちと話す機会があるときには、「しっかり目標を持ってください そうすれば目標を実現するためにはどうしたら良いかが自ずとはっきりしてきます」ということを理解してもらえるように心がけています。

Q6:今後もずっと飛び続けたいと思われますか?
若田:
 今回2回目のフライトでISSの組み立てに携わるわけですが、わたしがNASDAからNASAに派遣された理由は国際宇宙ステーションの組み立てに携わるためです。ですから国際宇宙ステーションの組み立てに携われるというのはとても嬉しいことだと思っています。今までの経験を生かしてこの先のJEMの組み立てに生かして行きたいと思っていますし、更にその先には長期滞在のミッションに搭乗して行くことになります。これらの先のことにターゲットを置いてこのミッションを将来の宇宙活動に生かせるように頑張っていきたいと思っています。
 何度でも、飛べる限り飛びたいのですが、現在、NASDAは新しい宇宙飛行士を募集しており、日本の中から宇宙に行く人を増やして行く必要があると感じているので、ある程度のところにくれば、引き際もあると思っています。それまでは頑張って行きたいと思っています。
リロイ・チャオ:
 将来はJEMの組み立てにも臨みたいし、出来ればコウイチと船外活動もしたいと思っています。

Q7:このたびSTS-95ミッションでジョン・グレン宇宙飛行士が77歳という高齢で宇宙に行くことについてコメントを頂けますか?
若田:
 訓練の様子を見ても元気に参加されてますし、向井さんという素晴らしい医師もついているので、私は全く心配していません。
リロイ・チャオ:
 長い年月を隔てて、フライトに戻るというのは大変素晴らしいことであると思います。アメリカの宇宙飛行士達にとってもこのような形でジョン・グレン宇宙飛行士が宇宙に戻るというのは非常に素晴らしいイベントであると考えています。
 77歳ですけれども健康状態は非常に良好です。ジョン・グレン宇宙飛行士は、向井宇宙飛行士と一緒に飛行しますが、向井宇宙飛行士は医師として非常に優秀な方なので、彼の事をちゃんと見てくれると思います。

Q8:若田さん、今度は訓練ではなく、実際にEVAをやってみたいのでは?
若田:
 是非やってみたいと思います。ミッションスペシャリストとして様々な訓練を積んできていますが、ロボットアームやEVAの訓練はミッションスペシャリストならではの仕事ですし、日本のモジュールに限らず様々な検証試験もしてきていますので、JEMの組み立てなどに向けて船外活動が出来るように頑張って行きたいと思います。

最終更新日:1998年 11月 30日

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