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第1回7/5(水)【~タンパク質とは~】
金井飛行士:私が4月に行ったタンパク質結晶生成訓練でご指導いただいた、専門家の木平先生から、タンパク質の基礎的な知識についてご説明いただきます。
タンパク質の働きとは?
タンパク質は炭水化物・脂質とともに三大栄養素とよばれ、私たちが生きていく上で必要不可欠なものです。タンパク質というと肉や魚を思い浮かべるかもしれません。確かに筋肉の主な成分は「ミオシン」と「アクチン」というタンパク質です。その他、皮膚を作る「コラーゲン」や、血液中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」などもタンパク質の一種ですが、タンパク質の働きはそれだけに留まらず、運動、光・味・においなどの感知とその情報の伝達、病原体などから身体を守る免疫システム、遺伝情報を司るDNAの合成など、あらゆる生命の営みを司っています。
金井飛行士:「タンパク質」って聞くと、食べ物に含まれる栄養素ってイメージですが、実はわれわれの体の中でいろいろな働きを持つ物質なんですね。
タンパク質はどのように作られるのか?
主に水素・炭素・窒素・酸素から構成されるアミノ酸が、一本の鎖のように多数連結してできた分子がタンパク質です。その設計図は遺伝子であるDNAに書き込まれています。
アミノ酸はその性質の違いから20種類程度に分類されるのですが、すべてのタンパク質は、構成するアミノ酸の数や種類、結合の順序を変えることで、作り分けられています。遺伝子から読み取られたタンパク質の設計図は、さまざまな工程を経て、最終的にリボソームというタンパク質合成工場に送られます。おもしろいことに、合成されたタンパク質は自然に特定の形に折りたたまれていきます。この折りたたまれた状態になって初めて機能を発揮することができるのです。タンパク質の合成は常にフル稼働しているわけではなく、必要なときに必要なだけ、必要な場所にそれぞれのタンパク質が存在できるように、生物はその巧妙なしくみを進化させてきました。一方、このバランスが崩れたり、正常な機能を発揮できないようなタンパク質がつくられたりした場合には、体の不調となって症状が現れるわけです。
ちなみに、ヒトの身体の60%は水分だという話は聞いたことがあると思いますが残りの40%のうち、16%がタンパク質で、その他が脂質、糖質、ミネラルなどです。つまり、体重60kgの人なら、およそ10kgがタンパク質だという計算になりますね。
金井飛行士:10kgって…(絶句)。体の中には、結構な量のタンパク質があるんですね!
原料のアミノ酸が繋がっただけでなく、それが折りたたまれて三次元的な「形」をとることで、初めて機能を発揮するというのは不思議です。
古代遺跡を探索するアドベンチャー映画で、封印された扉を開くのに、主人公が持っている特別なアイテムを、怪しげなくぼみにはめ込むイメージが浮かびました。
人の体内にはどのぐらいのタンパク質が存在する?
種類の数え方にもよるのですが、概ね10万種程度です。自然界全体を合わせると100億種を超えると言われており、これまでに知られていなかったような働きを持つタンパク質が続々と見つかっています。
身近なタンパク質には何があるか?(外から摂取するもの、体内にあるもの)
先ほどの「コラーゲン」や「ヘモグロビン」はヒトが持つタンパク質でした。毛髪や爪の主成分も「ケラチン」というタンパク質です。
ヒト以外で言うと、インフルエンザやエボラ出血熱、デング熱、エイズなど、感染症の原因となるウイルスはタンパク質でできた殻を持っていますし、夏の風物詩であるホタルの発光もタンパク質の働きによるものです。また、洗濯用洗剤に配合されている酵素もタンパク質の一種です。普段の生活ではなかなか気づくことはありませんが、ありとあらゆるところにタンパク質は存在しています。
金井飛行士:洗剤のコマーシャルで、「酵素のパワーで!」なんてのも多いですね。急に身近な話題に感じました。世の中、タンパク質だらけ!
金井飛行士:「タンパク質」という言葉は知っていても、実はどんなものなのか、分かっていなかったなぁ…と感じました。説明を聞いて、じゃあ100%理解したかと言われると自信はありませんが、とても身近な物質で、体の中でいろいろな働きをしたり、生活の役に立っていることが分かりました!
いかがでしたでしょうか?
次回は7/12(水)更新、タンパク質結晶生成実験に関して木平先生に解説いただきます!
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