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2018年11月27日に筑波宇宙センターにて、南鳥島沖から回収したHTV搭載小型回収カプセル技術実証のカプセル本体等の記者公開を行いました。
まず、飛行結果の速報をHTV技術センターHTV搭載小型回収カプセル開発チーム長の田邊宏太、開発チーム長代理の渡邉泰秀より行い、その後で回収された小型回収カプセル本体等の説明と質疑応答を行いました。
11月11日にカプセルが大気圏へ再突入を行った後、午前6時42分に揚力誘導が開始され、午前6時50分に高度約15kmでパラシュートを開傘し、午前7時04分に着水しました。揚力誘導飛行中の加速度は、当初4G以下の要求でしたが、評価の結果、3.5Gであったことが確認されました。
カプセルの熱防護系としては、はやぶさカプセルと比べると比重を約1/5まで軽量化を図った新規開発のアブレータ(繊維強化プラスチック製の耐熱材)には外観上の問題はなく良好で、アブレータの損耗量から想定通り表面の最大温度は1700~2000℃程度まで上昇したとみられますが、アブレータの裏面側の温度上昇は要求温度の半分以下と十分低かったことが確認されました。
カプセル内に搭載されていた断熱保冷容器の内部温度は、5日と15時間、要求の4℃±2℃を十分保っていたことも確認されました。
関門を一つ一つクリアしてうまく制御できただけでなく、我々には制御できない天候まで良好であった。事前に回収の一連のリハーサルを行っていたことから、回収作業もスムーズに進み、全体としてはとてもうまくいったと考えている。
有人宇宙船並みの加速度であったことを確認できた。ただし、有人機として開発するには1回だけでは十分な実績とは言えないため、今後も継続的な積み重ねが必要となる。
具体的な計画はまだ決まっていないが、次は自立的に再突入ができるものを考えたい。現状のカプセルは、「こうのとり」(HTV)がないと再突入できないが、ISSから放出してもカプセルだけで再突入できるようにして、ユーザーの利便性向上を図りたい。「こうのとり」9号機(HTV9)に間に合わせるのは難しいため、新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)での実現を目指すことになるだろう。
一番高い加熱を受けるのはカプセル底面の(再突入時に)上側となる部分であり、そちら方向の側面パネルは表面のフィルムが完全に焼けてアブレータだけになっている。一方、下側の側面パネルは温度がそれほど上昇しなかったため、まだ多層断熱材(MLI)が一部残ったままとなっている。金色の素材は、耐熱フィルムのカプトンテープであり、宇宙飛行士の安全保護のために全面に貼り付けていた。銀色の素材はMLIであり、軌道上で低温環境から内部のバッテリの温度を保護するための断熱フィルムとして使っている。
状態は非常に良好なので、一部は再利用できるかを検討したい。
アブレータの材料である樹脂が焦げたにおいが残っている。
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