新年が明けました!みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
昨年末は、国際宇宙ステーションの外部冷却システムの大切な装置の故障がありましたが、軌道上のクルーの船外活動により、すべての機能は復旧しました。若田飛行士が、得意のロボットアームの操作で作業を手伝ったのは日本でもニュースや報道で取り上げられていましたね。
一方、日本ではあまり注目されていなかったかもしれませんが、宇宙服を着て宇宙ステーションの外で作業を行ったのは2人のアメリカ人クルーでした。何を隠そう、そのうちの一人であるマイク・ホプキンス飛行士は、2009年に宇宙飛行士候補者として選抜を受けて、一緒に2年間の候補者訓練を受けたクラスメイトです。
テキサス州ヒューストンにあるNASAジョンソン宇宙センターで行われた宇宙飛行士候補者(通称アスキャン=アストロノート・キャンディデート)訓練には、アメリカから9人、カナダから2人、日本から3人の合計14人が参加しました。
ホプキンス飛行士は、クラスの中でも一番最初にミッションへのアサインを受け、若田飛行士よりも3カ月前から宇宙滞在を行っています。
クラスの仲間が一番最初に打ち上がったときも仲間内で大変な盛り上がりでしたが、今回、(クラスのメンバーとして)初めての船外活動を成功させたのにも、特別な思いを感じました。
ちなみに、2009年はヨーロッパ宇宙機関(ESA)も6人の新しい宇宙飛行士を募集しました。彼らはドイツのケルンにあるヨーロッパ宇宙飛行士センターで、NASAでのものと同じようなカリキュラムで候補者訓練を受けた、これまた、いわば同期の仲間です。
若田飛行士が入れ替わった形で、無事に地上に帰還したルカ・パルミターノ飛行士はイタリア出身。2009年選抜組としては一番最初に宇宙に行って、帰ってきた宇宙飛行士となりました。
奇しくも、パルミターノ飛行士も宇宙ステーションに滞在中に船外活動で活躍しましたが、その作業中にヘルメットの中に水が漏れて、ちょっと大変なことになった・・・というニュースを目にされた方もいるかもしれません。
JAXAからは、2015年に油井飛行士、2016年に大西飛行士が宇宙に旅立つことが決定されており、これまた今から楽しみです。
でも2009年クラス全体を見渡すと、これからのミッションが決まっているのはJAXAの2人だけではありません。
若田飛行士と交代で今年(2014年)の夏に打ち上がる予定なのが、リード・ワイズマン飛行士(米)とアレキサンダー・ガースト飛行士(独)。
その次の入れ替わりとして、2014年の冬に、サマンサ・クリストフォレッティー飛行士(伊)。
さらに次の交代要員として2015年の夏には、43Sという番号のついたソユーズ宇宙船で、油井飛行士と一緒に、同級生のチェル・リングレン飛行士(米)が飛び立ちます。
なお、この二人が宇宙ステーションに長期滞在を行っている最中に、短期間ミッションでアンドレアス・モーガンセン飛行士(デンマーク)が宇宙飛行を行います。
油井飛行士、リングレン飛行士の交代で、2015年冬から宇宙ステーションに長期滞在するのが、ティモシー・ピーク飛行士(英)。
そして、ピーク飛行士と代わる形で、2016年夏から大西飛行士のミッションが始まります。
こうして並べて見ると、2013年から2016年まで、ひっきりなしに交代でクラスメイトたちが宇宙滞在を行っていることになります。数えてみたら(すでにミッションを終えた人も含め)合計10人!
時代は今まさに2009年クラスのもの、と言っても過言ではないと思います。
いったんミッションにアサインを受けると、打ち上げまでの2年半は、分刻みの忙しい訓練スケジュールが待っています。自分のミッションには何が必要で何が不必要なのか、優先順位をはっきりつけないと、余計なことをしている暇はありません。
そう考えると、ミッションの決まっていない自分が、今この時間に、将来のミッションのためにどんな準備をしていくのかというのは、とても重要なことであるように感じます。
つい時間は十分にあるように考えがちなのですが、クラスの仲間が次々に宇宙に飛び立っている状況を鑑みると、のんびりしている余裕はありません。
日本で言うところの「一年の計は元旦にあり」に近い言い回しで、英語ではお正月明けに「今年の目標(Resolution)は決めたの?」と聞かれることがあります。
わたしの今年の目標は、この「ミッションにアサインされる前をどう過ごすか」という部分で、いかに有意義に時間を使っていくかというところにあると考えています。
※写真の出典はJAXA/NASA