JAXA宇宙飛行士活動レポート 2016年2月
最終更新日:2016年3月18日
JAXA宇宙飛行士の2016年2月の活動状況についてご紹介します。
油井宇宙飛行士、帰国記者会見
記者会見を行う油井宇宙飛行士(出典:JAXA)
国際宇宙ステーション(ISS)第44次/第45次長期滞在ミッションを終えた油井宇宙飛行士は、ロシアと米国にて技術報告会や帰還式典に参加した後、2月後半に帰還後初めて帰国し2月23日には東京都内にて帰国記者会見を行いました。
冒頭にJAXA有人宇宙技術部門長の浜崎敬理事から挨拶が行われ、続いて油井宇宙飛行士からミッションのダイジェスト映像を流しながらISSでのさまざまな活動を報告しました。
続いて行われた質疑応答では、ISSで栽培したレタスを試食した感想や帰還時にソユーズ宇宙船の窓から見える地球やプラズマの様子、帰還後のNASAでのリハビリの状況について答えたり、宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機をISSのロボットアームで把持した時の達成感や日本の技術力の高さを感じたこと、「こうのとり」が運んできたフレッシュフルーツが嬉しかったこと、などを述べました。
ミッション報告の様子(出典:JAXA)
また、宇宙から地球を見ることで改めて、地球環境や人々の暮らしを守っていきたいと感じたこと、そのための科学技術であり宇宙開発であり国際協力が重要であることを強調しました。
次の目標について聞かれると、目指す先は遠ければ遠いほどよく、その実現のために目の前のことをしっかりやることであり、先ずは大西宇宙飛行士のサポートに力を入れることだと答えました。
- 油井宇宙飛行士のISS長期滞在
- 油井宇宙飛行士のツイッター
大西宇宙飛行士の長期滞在に向けた訓練
ISS内で火災が発生し、火元であるパネルの裏側に消火器を噴射しようとしている様子(出典:大西宇宙飛行士のGoogle+より)
国際宇宙ステーション(ISS)第48次/第49次長期滞在クルーである大西宇宙飛行士は、主にロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(GCTC)にて、ISS長期滞在訓練を行いました。
GCTCでの訓練は、ISSのロシアモジュールで火災が発生したことを想定した緊急対処訓練を行いました。
ロシアモジュールで火災警報が鳴り、火元を突き止め消火器で消火した後、火災検知により自動実行された処置(火元への電源断や火災発生モジュールの空気循環停止など)を元の状態に戻し、フィルターによる空気清浄を行うという対応手順を3名の第48次/第49次長期滞在クルーで分担して行いました。また、煙探知機の誤動作を想定した対応手順や、火災を消火できずソユーズ宇宙船に乗って緊急帰還するケースなど、いくつものシナリオで訓練を行いました。
ソコル宇宙服を加圧した状態でソユーズ宇宙船の座席とフィットチェックを行う
(出典:大西宇宙飛行士のGoogle+より)
別の日には、ソユーズ宇宙船での打上げ/帰還時に着用するソコル宇宙服とソユーズ宇宙船の座席(シートライナー)のフィットチェックをズヴェズダ社にて行いました。
ソユーズ宇宙船の座席は、宇宙飛行士ひとりひとり専用に用意されます。帰還時の衝撃を緩和するため自分の体にぴったりと密着する必要がありますので、座席に座った状態で重心位置を測ったり、ソコル宇宙服の中を0.4気圧分加圧して*痛い場所や不快な場所が無いことを確認しました。
*万が一ソユーズ宇宙船の空気が抜けた場合、船内が0気圧になってもソコル宇宙服の中は0.4気圧の酸素で満たされます。地上では1気圧の状態からソコル宇宙服の内部を0.4気圧高めて同じようにソコル宇宙服が膨らんだ状態でフィットチェックを行いました。
- 大西宇宙飛行士Google+
金井宇宙飛行士、ロシアでの冬期サバイバル訓練に参加
国際宇宙ステーション(ISS)の第54次/第55次長期滞在クルーである金井宇宙飛行士は、2月初旬にロシアにて冬期サバイバル訓練を行いました。
冬期サバイバル訓練は、ソユーズ宇宙船が予定外の地域の雪原に着陸し救援チームの到着が遅れるような場合を想定して、クルーが協力しあって無事に生還するための技術を実地で身につけるための訓練です。金井宇宙飛行士は、米露の宇宙飛行士とともに、気温が氷点下の屋外で野営生活を送りました。ソユーズ宇宙船が不時着した場合に、救助が来るまでに2、3日かかる可能性があることから、訓練は2泊3日の日程で行われました。
訓練は、ソユーズ宇宙船着地直後を想定して、ソコル宇宙服から防寒着に着替えることから始まりました。その後は、キャンプ地を選定し、ソユーズ宇宙船のパラシュートと切り出した木を利用して、寝泊まりするためのシェルタを設営しました。暖を取るために集めた木を燃やして火を起こし、夜間は火が消えないように、火の番を交代しながら睡眠を取りました。
クルーが怪我をしたケースも想定され、添え木を当て体温が低下しないようにサバイバルシートで覆うなど怪我をしたクルーの手当も実習しました。その他、発煙筒を焚いて救助隊へサインを送る手順も訓練の中で実際に行いました。
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ソコル宇宙服から防寒服に着替える金井宇宙飛行士ら(出典:JAXA/GCTC) |
シェルタを設営する金井宇宙飛行士(出典:JAXA/GCTC) |
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発煙筒を焚く金井宇宙飛行士(出典:JAXA/GCTC)
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応急処置の訓練を行う金井宇宙飛行士ら(出典:JAXA/GCTC) |
2004年4月から連載してきました「JAXA宇宙飛行士活動レポート」は、今回で最後となります。これまでご愛読いただきありがとうございました。次回からはISS・「きぼう」マンスリーニュースにてJAXA宇宙飛行士の活動を紹介していきます。
引き続き宇宙飛行士ならびに日本の有人宇宙活動について応援よろしくお願いいたします。
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