大西宇宙飛行士、ISS長期滞在に向けた訓練を実施
国際宇宙ステーション(ISS)の第48次/第49次長期滞在クルーである大西宇宙飛行士は、10月は主にNASAジョンソン宇宙センター(JSC)で訓練を行い、10月末にはロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)にて訓練を行いました。
エアロックの中で船外活動ユニット(EMU)を装着した大西宇宙飛行士(出典:大西宇宙飛行士のGoogle+より)
JSCでは、先月に引き続き船外活動(EVA)訓練を行いました。
今月はエアロック(真空チャンバー)の中で実際の宇宙空間で使える船外活動ユニット(EMU)を装着して、減圧し元の気圧に戻す手順を行いました。
健康チェックから始まり、冷却下着を着てEMUを装着し気密チェックした後、体内に溶け込んでいる窒素を抜くために4時間そのままの状態で待機してから、エアロック内の減圧を開始しました。
エアロック内が減圧しEMU内も0.3気圧まで下げます。そのためEMU内では空気ではなく酸素を呼吸します。
その状態で様々な不具合対応手順の確認を行った後、船外活動終了手順を行って徐々にエアロック内に空気を戻し訓練を終了しました。
ソユーズ宇宙船シミュレータで訓練を行う大西宇宙飛行士(出典:大西宇宙飛行士のGoogle+より)
10月末のGCTCでの訓練は、第46次/第47次長期滞在クルーのバックアップ最終訓練として、主にソユーズ宇宙船のシミュレーション訓練を行いました。
打上げ準備からISSとランデブーを開始するまで、ISSとのランデブーからドッキングまで、ISSから分離して地球に帰還するまでにわけ、手順に従ってシミュレーションを進めました。訓練では所々不具合を起こすようにシナリオができており、定められた手順に従って対処しました。
ソユーズ宇宙船に関する訓練は11月の最終評価試験に向けて各種試験が続きます。
野口宇宙飛行士、第66回国際宇宙会議(IAC)に出席
10月12日~16日まで、イスラエルのエルサレム市で第66回国際宇宙会議(IAC2015)が「Space - the gateway for Mankind's Future(宇宙-人類の未来へのゲートウェイ)」をテーマに開催されました。
IACは、国際宇宙連盟(IAF)、国際宇宙アカデミー(IAA)、国際宇宙法学会(IISL)が主催となり、宇宙開発計画や研究成果の発表の場として世界最大の宇宙関連会議です。
野口宇宙飛行士は、プレナリーセッションの「Fifty Years of Spacewalking - The Ultimate Human Space Adventure(船外活動50周年)」にモデレータとして参加し、パネリストはバズ・オルドリン(アポロ11号で月面に着陸)、クリスター・フューゲルサング(ESA最長EVA記録)、マイケル・ロペス-アレグリア(NASA最長EVA記録)、サニータ・ウィリアムズ(女性最長EVA記録)で、次世代宇宙服などについて議論を行いました。
その他、IAF Human Space Flight Committee会議への参加、イスラエル宇宙庁長官との会談などを行いました。
古川宇宙飛行士の研究活動(宇宙に生きる)
10月6日、古川宇宙飛行士が代表を務める新学術領域研究チーム「宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解」(略称「宇宙に生きる」)のキックオフミーティングが一橋講堂において開催されました。
医師の資格を持つ古川宇宙飛行士は、ISS長期滞在で経験する各種ストレスの作用は地上でも関連する問題があるのではないかとの疑問から、統合的な研究が必要と考え研究チームを発足するに至りました。
キックオフミーティングでは130名を超える研究者が集まり、古川宇宙飛行士は、長期宇宙滞在では生物学的障害の克服が最大のテーマであり、それは地上での高齢化・ストレス社会の克服にも繋がると研究の意義を語りました。
- 宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解(略称「宇宙に生きる」)公式サイト