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JAXA宇宙飛行士活動レポート

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JAXA宇宙飛行士活動レポート 2015年9月

最終更新日:2015年10月30日

JAXA宇宙飛行士の2015年9月の活動状況についてご紹介します。

大西宇宙飛行士、ISS長期滞在に向けた訓練を実施

国際宇宙ステーション(ISS)の第48次/第49次長期滞在クルーである大西宇宙飛行士は、9月前半はNASAジョンソン宇宙センター(JSC)で訓練を行い、9月後半はドイツ ケルンにある欧州宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士訓練センター(EAC)にて訓練を行いました。

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船外活動ユニット(EMU)を装着した大西宇宙飛行士(出典:大西宇宙飛行士のGoogle+より)

JSCでは、宇宙実験訓練や医学データ取得、緊急対処訓練の他に船外活動(EVA)訓練を行いました。

船外活動ユニット(EMU)の中は約0.3気圧の酸素で満たされています。1気圧の空気で満たされているISS船内からEMUを装着して、0.3気圧まで減圧するためには、事前にエクササイズ装置を使って体内の窒素を抜くような運動をしたり、ゆっくり時間をかけるなど、減圧症のリスクを減らす工夫をします。今回は万が一減圧症の症状が出た場合の対処について訓練を行いました。

減圧症の治療は一般的に患者をチャンバー(小さな加圧空間)に入れ、高気圧・高濃度の酸素で体内に発生した窒素の気泡を消し、ゆっくり時間をかけて1気圧にまで戻していくというものです。ISSでは、酸素は貴重なのでEMU自体をチャンバーとして利用することにしています。そのためのEMUの設定方法について学びました。

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エネルギー代謝効率(メタボリックレート)を調べるデータ取得の一環で酸素の取込みと二酸化炭素排出量の測定(出典:大西宇宙飛行士のGoogle+より)

大西宇宙飛行士は、12月に打上げ予定の第46次/第47次長期滞在クルーのバックアップクルー(交代要員)でもあり、第46次/第47次長期滞在クルーが何らかの事情で飛行出来なくなってしまった場合に、そのクルーの代わりに飛行してミッションを遂行することになります。

今回ESAでは、ESA関連の実験訓練と、「コロンバス」(欧州実験棟)のスペシャリスト訓練が目的でした。

ESA関連の実験のひとつとしてENERGY(エナジー)という実験の基礎データ取得を行いました。

この実験は、宇宙飛行士のエネルギー代謝が、地上と宇宙とでどのように変化するかを調べ、将来の宇宙ミッションでより効率的なエネルギー補給、宇宙食の選定、宇宙飛行士の健康維持、ひいてはミッションの成功に繋げようというものです。

大西宇宙飛行士は、宇宙食を食べ、体に入るエネルギーと消費するエネルギーの測定を行いました。
他にも、欧州実験棟(コロンバス)のメンテナンスや不具合対処訓練を行いました。

「こうのとり」5号機(HTV5)ミッションを支えたJAXA宇宙飛行士の活動

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「こうのとり」5号機の分離時のNASA管制室での若田宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA))

日本時間9月30日午前5時33分頃、宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機は、大気圏に再突入して約42日間のミッションを完了しました。

JAXA宇宙飛行士は、 「こうのとり」5号機の把持・ISSへの結合時と同様に分離時も重要な役目を果たしました。

油井宇宙飛行士によってハッチを閉められた「こうのとり」5号機は、地上からISSのロボットアーム(SSRMS)の操作によって「ハーモニー」(第2結合部)から取り外されました。その後、油井宇宙飛行士がSSRMSを操作して「こうのとり」5号機を放出しました。

若田宇宙飛行士はNASAの運用管制チームの「こうのとり」5号機運用におけるCAPCOM(ISSとの交信役)のリーダを務め、油井宇宙飛行士らクルーによる「こうのとり」のシステム運用やロボットアーム操作を地上から支援しました。

油井宇宙飛行士の活動(軌道上共同記者会見と超小型衛星放出)

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軌道上共同記者会見の様子(出典:JAXA/NASA)

ISSに滞在中の油井宇宙飛行士は、9月8日夜、およそ45分間の軌道上共同記者会見に参加しました。

短期滞在クルー2名を含むISSに滞在するクルー全員が、「デスティニー」(米国実験棟)に集まり、米国、ロシア、日本、欧州の報道機関からの質問に答えました。

油井宇宙飛行士は、日本の報道機関からの質問に対し、実験の意義、ISSでの暮らしについて答え、故郷へのメッセージを送りました。

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S-CUBE放出後、「きぼう」から放出の成功を伝える油井宇宙飛行士(出典:JAXA)

9月17日には、小型衛星放出機構(J-SSOD)を使用して、ブラジリア大学が開発した超小型衛星(SERPENS)と千葉工業大学の流星観測衛星(S-CUBE)が放出されました。

先ず、油井宇宙飛行士による衛星放出のコマンド操作で、S-CUBEが放出されました。続いて、筑波宇宙センターの「きぼう」運用管制チームからのコマンドによりSERPENSが放出されました。

筑波宇宙センターでは、ブラジル及び千葉工業大学関係者に対して、星出宇宙飛行士による解説が行われました。

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筑波宇宙センターから放出の成功を喜ぶブラジル、千葉工業大学とJAXA関係者。前列右から2番目は星出宇宙飛行士(出典:JAXA)

星出宇宙飛行士は、第32次/第33次長期滞在中に小型衛星放出技術実証ミッションにおいて、コマンド操作により、2基の衛星を放出しました。

なお、今回放出した超小型衛星は2基とも、宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機で運ばれたもので、3Uというサイズ(10cm×10cm×30cm)でした。

第28回世界宇宙飛行士会議開催

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第28回世界宇宙飛行士会議に登壇する野口宇宙飛行士
(出典:JAXA)

現地時間9月20日から27日にかけて、宇宙探検家協会(Association of Space Explorers: ASE)が主催した第28回世界宇宙飛行士会議がスウェーデンのストックホルムで開催されました。

ASEは、世界各国の宇宙飛行士によって構成される唯一の国際団体で、世界宇宙飛行士会議は同協会が主催する年1回の総会です。ASEは、宇宙開発への貢献や有人宇宙活動の国際協力はもとより、科学技術教育の促進、環境問題の意識増進なども目的に活動しています。

野口宇宙飛行士は、ASEの会長を務めており、開会式でのスピーチや会期中に行われたいくつかのセッションで議長や副議長を務めました。
若田宇宙飛行士と向井宇宙飛行士も出席して、野口・向井両宇宙飛行士がテクニカルセッションで講演を行いました。


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