国際宇宙ステーション(ISS)の第44次/第45次長期滞在クルーである油井宇宙飛行士は、7月中旬まで米国のNASAジョンソン宇宙センター(JSC)で訓練を行い、7月下旬はロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センターで訓練を行いました。
JSCでは、ISSの運用に関わるさまざまな訓練を行いました。ISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)に関わる訓練では、ISSに接近した無人の補給船を把持するSSRMSの操作訓練や、SSRMSの操作技術を維持するためにISS滞在中に行う訓練の手順確認などを行いました。船外活動に関連した訓練では、船外活動ユニットのサイズを調節する手順や船外活動で使用する工具の操作などを確認しました。油井宇宙飛行士は、ISSの電力系統の不具合への対処訓練や、他のクルーが心肺停止状態になってしまったことを想定した救急訓練なども実施しました。
また、ISSで行われている医学研究に関する訓練も行いました。筋萎縮や骨量減少を最小限に抑える運動プログラムの開発を目的としたSPRINTと呼ばれる実験の一環でISS滞在中のクルーが実際に実施する運動方法を行ったり、微小重力下に長期滞在する宇宙飛行士の身体の大きさの変化や変わり易さを理解するために行われているBody Measuresと呼ばれる実験の実施手順を確認しました。
ロシアでは、ソユーズ宇宙船を手動操縦する技能を向上するための訓練を重点的に行い、ISSへの接近やドッキング、大気圏突入時における機器の操作を、シミュレータを使用して訓練しました。人工的に模擬重力を発生させる大型のセントリフュージを使用して、ソユーズ宇宙船大気圏再突入時にクルーの身体にかかる加重を実体験する訓練も実施しました。