国際宇宙ステーション(ISS)の第38次/第39次長期滞在クルーである若田宇宙飛行士は、2月前半はロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)で、2月後半は筑波宇宙センターで、ISS長期滞在に向けた訓練を行いました。
GCTCでは、ソユーズ宇宙船や、ISSのロシアセグメントの運用に関わる訓練を行いました。若田宇宙飛行士は、ソユーズTMA-11M宇宙船(37S)で一緒に飛行するロシアのミハイル・チューリン宇宙飛行士、NASAのリチャード・マストラキオ宇宙飛行士の3人で、ソユーズ宇宙船のシミュレータを使用して、ISSへの接近およびドッキングと、ISSからの帰還を模擬した訓練を実施しました。若田宇宙飛行士らは、それぞれの運用において、異常が発生した際の対処も含め、運用手順を確認しました。3人は、ISS滞在中の緊急事態発生を想定した訓練も行い、ロシアセグメントで減圧が発生した場合と、ISSに結合しているソユーズ宇宙船で減圧が発生した場合のふたつのケースを、実際に減圧可能なシミュレータで模擬し、手順書に従って対処を行う方法を確認しました。
また、若田宇宙飛行士は3名での訓練のほかに、ISSで実施されるロシアの船外活動の支援作業の訓練として、船外活動クルーの船外への出入り口となる「ピアース」(ロシアのドッキング室)内の圧力を調節する操作についても訓練を行いました。これらの訓練以外に、ソユーズ宇宙船に搭乗する際に着用するソコル宇宙服のフィットチェックをその製造メーカーであるズベズダ社で行いました。若田宇宙飛行士は、与圧服を加圧した状態で、ソユーズ宇宙船のシートに座った際に、サイズに問題がないかなどを確認しました。
筑波宇宙センターでは、ソユーズTMA-09M宇宙船(35S)に搭乗するクルーのバックアップクルーとして、35Sのプライムクルーと合同で、「きぼう」日本実験棟と宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)に関わる訓練を行いました。
「きぼう」に関する訓練としては、35SクルーがISSに滞在する間に計画されている「きぼう」のシステムに関わる作業や、「きぼう」での実験に関わる作業について確認しました。
「きぼう」のシステムについては、滞在期間中の固有な作業に的を絞った訓練のほかに、「きぼう」のスペシャリストとして必要な運用技術・知識を再確認しました。
「きぼう」での実験に関しては、クルーが軌道上で実施する実験開始準備や実験終了後の作業についての訓練だけではなく、各実験の内容について理解を深めるために、各実験の代表研究者から、実験の概要や目的について説明を受けました。
「こうのとり」については、システムや運用の概要を学ぶ基本的な訓練に加えて、「こうのとり」がISSに係留する間に、クルーが実施する作業に関する訓練を行いました。