大西宇宙飛行士と金井宇宙飛行士は、一時帰国し、筑波宇宙センターにて、「きぼう」日本実験棟に関わる訓練を実施しました。大西宇宙飛行士は、1月10日から訓練を開始し、1月17日からは金井宇宙飛行士も合流して、ふたりは1月24日まで訓練を行いました。
「きぼう」は複数のシステムから構成されており、その中には、「きぼう」のシステム全体および実験装置の状態を監視・制御する監視制御システム、「きぼう」の各機器に電力を分配する電力システム、データや音声・映像の伝送を担う通信制御システム、「きぼう」の機器を一定範囲の温度に保つ熱制御システム、船内の温度・湿度の管理や空気循環などの役割を持つ環境制御システム、実験に必要なガスを供給する実験支援システムなどが含まれます。
大西宇宙飛行士は、これらのシステムの運用方法を講義やモックアップ(実物大の訓練施設)を使用した訓練を通して習熟しました。この他にも、モックアップを使用したエアロックの操作訓練や、火災・減圧・空気汚染などの緊急事態およびシステムの異常を感知する警告・警報機能を、ラップトップ上で操作する方法についても確認しました。
金井宇宙飛行士と合流後は、「きぼう」のシステムについて更に一歩踏み込んだ専門知識を得るための訓練にふたりで臨み、各システムの訓練に加えて、定期的にメンテナンスが必要な機器の交換・修理方法などを確認しました。また、異常が発生した際に、「きぼう」の運用に大きな影響を与えかねない監視制御システムや電力システムに関して、異常が発生した場合のシステムの挙動を正確に把握し、かつ影響評価を行い、必要な対処の意志決定ができるレベルまで知識を高めるために、異常事態を想定した訓練に取り組みました。
ふたりは、「きぼう」の訓練の他に、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を補給する宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)の概要やシステム、「こうのとり」に関連してクルーが軌道上で実施する作業などについても訓練を通して学びました。
また、「きぼう」の運用管制室で実際にISSとの交信を担当するJ-COMコンソールの業務を見学したり、「こうのとり」の運用管制チームがNASAと共同で実施したシミュレーションの見学をするなど、運用チームの現場の雰囲気を体験する機会にも恵まれました。