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JAXA宇宙飛行士活動レポート

JAXA宇宙飛行士活動レポート 2011年6月

最終更新日:2011年7月29日

JAXA宇宙飛行士の2011年6月の活動状況についてご紹介します。

古川宇宙飛行士搭乗のソユーズ宇宙船打上げ支援

ソユーズTMA-02M(27S)宇宙船の打上げ

ソユーズTMA-02M(27S)宇宙船の打上げ(出典:JAXA/NASA/Carla Cioffi)

バイコヌール宇宙基地にて、記者からの質問に答える野口宇宙飛行士

バイコヌール宇宙基地にて、記者からの質問に答える野口宇宙飛行士(出典:JAXA)

古川宇宙飛行士が宇宙へと旅立ち、国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在を開始したソユーズ宇宙船(27S)の打上げ/ドッキングに際し、若田宇宙飛行士と野口宇宙飛行士は、ロシアおよびカザフスタン共和国において、様々なサポート業務を行いました。

野口宇宙飛行士は、自身のソユーズ搭乗の経験を基に、バイコヌール宇宙基地を取材に訪れた報道陣に対して打上げ解説を行うとともに、打上げ後、「12年間の訓練が報われました。宇宙は行ってみると、最初は長く感じますが、途中からはあっという間です。ペースをつかむまでは、ひとつひとつ丁寧に、そして後半は、やりたいことがあれば、やったほうがいい。」と古川宇宙飛行士へエールを送りました。

打上げから2日後、古川宇宙飛行士ら27SクルーのISS入室を見届けた直後、報道関係者らの取材に応じた若田宇宙飛行士は、「古川宇宙飛行士をはじめ、27Sクルーが無事にISSに着いたことを嬉しく思います。古川宇宙飛行士はソユーズ宇宙船のフライトエンジニアとして非常に素晴らしい仕事をしてくれていますし、日本人宇宙飛行士として誇りに思います。」と古川宇宙飛行士へ賛辞を送りました。

また、打上げ前日、古川宇宙飛行士と同期であり、米国ヒューストンで自身のISS長期滞在に向けた訓練に励む星出宇宙飛行士が、「明日の打上げを控え、宇宙飛行士の同期として大変うれしく思います。約半年にわたる長期滞在のマラソンも、全力で走りそうですが、その合間にも地球の美しさを感じてください。土産話を楽しみにしています。」と、メッセージを寄せました。

古川聡宇宙飛行士
JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

ESAでのISS長期滞在訓練

国際宇宙ステーション(ISS)の第32次/第33次長期滞在クルーである星出宇宙飛行士は、ISS長期滞在に向けて、欧州宇宙機関(ESA)の欧州宇宙飛行士センター(European Astronaut Centre: EAC)で、欧州補給機(Automated Transfer Vehicle: ATV)と「コロンバス」(欧州実験棟)の運用訓練に加えて、ESAの実験装置・ハードウェアに関する操作方法などについて訓練を行いました。

なお、ATVについては、特にランデブ運用の訓練を異常対応を含めて行い、星出宇宙飛行士は、日本人宇宙飛行士としてはじめて、ATVのランデブ/ドッキング訓練を行ったことになります。

星出彰彦宇宙飛行士
JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

宇宙飛行士候補者訓練

油井、大西、金井宇宙飛行士候補者は、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)を拠点とした米国での宇宙飛行士候補者訓練を継続しました。

油井宇宙飛行士候補者は、船外活動に関わる訓練を行い、無重量環境訓練施設(Neutral Buoyancy Laboratory: NBL)のプールを使用した船外活動の模擬訓練のほか、国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)運用のリフレッシャー(技術や知識の維持・向上)訓練を実施しました。大西宇宙飛行士候補者は、アマチュア無線機器に関する講義を受け、アマチュア無線免許を取得しました。また3人は、ISSの実験運用や宇宙教育に関する講義を受けたほか、T-38ジェット練習機での飛行訓練や語学訓練も引き続き行いました。

国連宇宙空間平和利用委員会50周年記念会合


展示イベントの様子

展示イベントの様子(右下に見えるのがJAXAの展示ブース)(出典:ウィーン代表部)

国連宇宙空間平和利用委員会(Committee on the Peaceful Uses of Outer Space: COPUOS)創設50周年および有人宇宙飛行50周年を祝し、6月上旬、COPUOS50周年記念会合がオーストリアのウィーン国際センターにて開催され、向井宇宙飛行士と野口宇宙飛行士が、それぞれJAXA特任参与、宇宙探検家協会(ASE)代表という立場を兼ねて出席しました。

COPUOSは、宇宙開発の法的枠組みの策定や、宇宙空間の平和利用を確保する重要な役割を果たす組織であり、今回の記念会合には世界79の国々が参加しました。

同会合期間中の6月2日には、ウィーン市庁舎において「宇宙飛行士パネル(公開討論会)」が開催され、一般聴衆を含む約200名が参加しました。元JAXA宇宙飛行士で、現在、国連事務局宇宙応用課長在職中の土井隆雄氏が司会進行を務めた本討論会に、野口宇宙飛行士は世界各国の宇宙飛行士と共に出席しました。また、各国の宇宙飛行士と共にパネリストとして登場した向井宇宙飛行士は「有人宇宙探査は多文化の中で行われており、我々がその違いや類似性を理解しあうことで、地球規模での連携強化に繋がっていく」という意見を述べました。

さらに同日開催されたレセプション会合の場でも、向井、野口両宇宙飛行士は、自身の宇宙滞在経験の紹介に加え、新たに本委員会次期議長選出が合意された堀川康JAXA技術参与の宇宙開発における実績を紹介しました。

また、10日間にわたり開催された本委員会では、軌道上のISSクルーからのCOPUOSの業績に対するビデオメッセージや古川宇宙飛行士紹介映像の上映、有人宇宙開発やISS紹介のパネル等も展示されました。

第28回宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)

6月5日から12日にかけて、沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターにおいて開催された「第28回宇宙技術および科学の国際シンポジウム(International Symposium of Space Technology and Science: ISTS)」に向井宇宙飛行士と山崎宇宙飛行士が参加しました。

ISTSは、国内外の宇宙に関連する分野の専門家が集まり、研究発表や討論を通じて交流を深めるとともに、宇宙技術および科学の発展に貢献することを目的としています。航空宇宙分野においては国内で開かれる最大の学会です。研究発表や討論のほかに、展示イベントなどの催しや教育活動にも重点が置かれています。

山崎宇宙飛行士は、向井宇宙飛行士が進行を務める"Human Exploration in Space(有人宇宙探査)"をテーマにしたパネルディスカッションに参加し、人類初の有人宇宙飛行から50年がたった今、改めて宇宙開発の意義や、なぜ有人宇宙開発の限界に挑み続けるのか、有人宇宙開発がもたらす最大の利益は何か、といった点について、山崎宇宙飛行士は他のパネリストと意見を交換しました。

パネルディスカッションに参加する山崎宇宙飛行士

パネルディスカッションに参加する山崎宇宙飛行士(出典:JAXA)

"Humanity, Society and Culture in the Space Era(宇宙時代の人間・文化・社会)"をテーマにしたパネルディスカッションでは、人文・社会科学の観点から、国際宇宙ステーション(ISS)の次をどうするのか、この先、人間はどのように宇宙と関わっていけば良いのかという点について、議論が行われました。

山崎宇宙飛行士は、「宇宙からのメッセージ」と題した講演も行い、自身が搭乗したスペースシャトルによる国際宇宙ステーション(ISS)の組み立てミッション、STS-131ミッションでの活動について紹介しました。


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