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JAXA宇宙飛行士活動レポート

JAXA宇宙飛行士活動レポート 2011年3月

最終更新日:2011年4月22日

JAXA宇宙飛行士の2011年3月の活動状況についてご紹介します。

古川宇宙飛行士のISS長期滞在に向けた訓練

国際宇宙ステーション(ISS)の第28次/第29次長期滞在クルーである古川宇宙飛行士は、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)にて、ISS長期滞在に向けた訓練を行いました。

ISSに搭載されている医療機器や、人体研究(Human Research Facility: HRF)ラックに搭載された機器の使用方法を確認したほか、改良型エクササイズ装置(Advanced Resistive Exercise Device: ARED)を使用したトレーニング方法の確認、トレッドミル(Combined Operational Load Bearing External Resistance Treadmill: COLBERT)のメンテナンス方法などについて訓練を行いました。




スペースシャトルのドッキングを想定したシミュレーション訓練を行う古川宇宙飛行士ら第28次/第29次長期滞在クルー(出典:JAXA/NASA)

また、第28次/第29次長期滞在クルーのマイケル・フォッサム、セルゲイ・ヴォルコフ両宇宙飛行士とともに、スペースシャトルドッキング時のタイムラインに沿って、スペースシャトルの機体の撮影など、ISSクルーが実施する作業を想定したシミュレーション訓練を実施しました。

その他に、古川宇宙飛行士は、シミュレータ上でISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)を操作し、ISSにドッキング中のスペースシャトルに搭載されたセンサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor System: OBSS)を取り出す運用を想定した訓練を行いました。




MARESの運用方法を確認する古川(左)、フォッサム(中央)両宇宙飛行士(出典:JAXA/ESA)

3月末には、ドイツにある欧州宇宙機関(ESA)の欧州宇宙飛行士センター(European Astronaut Centre: EAC)を訪れ、「コロンバス」(欧州実験棟)に搭載されているラックの運用に関わる訓練を行いました。ISS長期滞在前最後となるESAでの訓練では、特に筋萎縮抵抗研究・運動システム(Muscle Atrophy Research and Exercise System: MARES)ラックを中心に訓練を行い、システムの概要や運用方法、研究内容およびメンテナンス方法などについて学びました。

古川聡宇宙飛行士
JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

宇宙飛行士候補者訓練

油井、大西、金井宇宙飛行士候補者は、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)を拠点とした米国での宇宙飛行士候補者訓練を継続しています。

3人は、T-38ジェット練習機での飛行訓練や語学訓練を継続したほか、油井宇宙飛行士候補者は、国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)の操作訓練を行い、大西宇宙飛行士候補者は、無重量環境訓練施設(Neutral Buoyancy Laboratory: NBL)で宇宙飛行士候補者訓練としては最後の船外活動訓練を行いました。金井宇宙飛行士候補者は、船外活動訓練のほか、JSCの飛行管制官によるシミュレーション訓練に、クルー役として参加しました。

国際宇宙連盟(IAF)60周年イベントに若田宇宙飛行士参加




メディアイベントにおいて質問に答える若田宇宙飛行士(中央)(出典:JAXA)

若田宇宙飛行士は、フランスのパリにある国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部にて、国際宇宙連盟(International Astronautical Federation: IAF)の60周年を記念して開催されたセレモニーとメディアイベントに参加しました。

メディアイベントの冒頭で、若田宇宙飛行士は、IAFへの日本の貢献について語るとともに、東日本大震災の被災者の方々へのお見舞いの言葉を述べ、震災への日本の衛星技術の貢献について語りました。

若田宇宙飛行士は、各国の報道関係者から質問を受け、宇宙における経験のうち、人々と共有したいものを聞かれると、地球の美しさを挙げ、「初めて宇宙から地球を見たときに、この美しい惑星に生を得た事に大きな幸運を感じるとともに、地球の環境を人類は守っていく責任があると感じた。」と語りました。また、宇宙開発の歴史を振り返り、「ガガーリンなどの偉大な先人、またその活動を支える多くの人々のおかげで、成り立っている。感謝したい。」と語りました。

山崎宇宙飛行士、きぼう利用フォーラムに参加


講演を行う山崎宇宙飛行士(出典:JAXA)

山崎宇宙飛行士は、3月4日、北海道大学にて開催された、「JAXAきぼう利用フォーラム札幌セミナー2011“北海道が拓く「きぼう」のNEXT STAGE”」に参加しました。

セミナーにおいて、山崎宇宙飛行士は、自身が搭乗したSTS-131ミッションを紹介するとともに、今回のセミナーの主題である宇宙と食を中心に講演を行いました。

山崎宇宙飛行士は、日本の企業とJAXAが連携して開発した宇宙日本食を紹介したほか、保存ができないためごくわずかですが、野菜やフルーツなどの生鮮食品もISSに運ばれることや、STS-131ミッションにおいて、南極昭和基地の保存食を宇宙に持って行ったエピソードなどを紹介しました。

講演の最後に、「将来、月・火星の有人探査を見据えると求めらる宇宙食も変わってくる。より長期間保存が可能な宇宙食の開発や、自給自足の検討など、宇宙食と一口に言っても色々な切り口があり、さまざまな分野が関わってくる。」と述べ、「北海道で培われている食に関する技術、それらを集めて宇宙でも使えるようになることを私たち宇宙飛行士も楽しみにしている。」と語りました。

パネルディスカッションにおいては、他の参加者とともに、北海道の持っているものを活かし、多くの人々と成果を共有できるテーマとして、北海道の食文化を宇宙食の開発に生かせないか、意見交換が行われました。


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