ロシアでのISS長期滞在訓練
国際宇宙ステーション(ISS)の第28次/第29次長期滞在クルーである古川宇宙飛行士は、ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)にて、ソユーズ宇宙船とISSのロシアモジュールに関わる訓練を行いました。
古川宇宙飛行士は、ISSへの接近時や地上への帰還時に、ソユーズ宇宙船を手動で操縦する方法をシミュレータを使用して確認しました。そのほか、ISSのロシアモジュールで火災や急減圧などの緊急事態が起きた際の対応手順や、緊急時にソユーズ宇宙船で脱出する手順について訓練を行いました。また、新型のソユーズ宇宙船の姿勢制御システムと帰還制御システムについても訓練を行いました。
第32次/第33次長期滞在クルーの星出宇宙飛行士は、ロシアでの訓練およびISS長期滞在中にロシア語で円滑にコミュニケーションが取れるよう、ロシア語能力の向上を目的とし、モスクワで没入型ロシア語訓練を行いました。
宇宙飛行士候補者訓練
油井、大西、金井宇宙飛行士候補者は、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)を中心に米国での宇宙飛行士候補者訓練を継続しています。
3人は、各々のスケジュールに沿って国際宇宙ステーション(ISS)のシステムと、船外活動に重点を置き訓練を実施しました。
油井宇宙飛行士候補者は、ISSの熱制御システムの構成や生命維持システムのメンテナンス方法について学んだほか、これまでの訓練で得た姿勢制御システムの知識を確認するための試験を行いました。そのほかに、ISSのシステムに異常が発生した際の対応手順や、緊急事態発生時の対処方法の基本的な考え方を学びました。また、宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)などの補給機がISSにドッキングする際にISS長期滞在クルーが行う作業について講義を受けたほか、シミュレーションによる実習を行いました。船外活動に関わる訓練では、無重量環境訓練施設(Neutral Buoyancy Laboratory: NBL)のプールを使用した船外活動訓練のほか、「クエスト」(エアロック)のモックアップ(実物大の訓練施設)を使用してキャンプアウトの手順を確認しました。
NBLで船外活動訓練を行う大西宇宙飛行士候補者(出典:JAXA/NASA)
大西宇宙飛行士候補者は、船外活動に関わる訓練を中心に行い、訓練用の船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit: EMU)を着用して初めてNBLのプールで船外活動訓練を行ったほか、EMUの生命維持システムとセルフレスキュー用推進装置(Simplified Aid For EVA Rescue: SAFER)の概要や使い方、エアロックの概要や機器の使用方法について学びました。
金井宇宙飛行士候補者は、ISSのモックアップを使用して、ISS船内でのケーブル接続方法など、電力システムに関わる訓練を行ったほか、ISSの生活設備について学びました。そのほかに、太陽電池パドル回転機構(Solar Alpha Rotary Joint: SARJ)の操作方法や熱制御システムの概要について講義を受けました。また、地球観測の基礎を学ぶ目的で、ニューメキシコ州で行われた地質学の実地研修に参加しました。
3人は、ISS長期滞在を経験した宇宙飛行士から、長期滞在中に重要となるリーダシップやフォロワーシップについての講義も受けました。また、T-38ジェット練習機での飛行訓練と語学訓練も継続しています。
ISS長期滞在ミッション報告会
日比谷公会堂での報告会の様子(出典:JAXA)
野口宇宙飛行士は、8月5日に日比谷公会堂(東京都千代田区)にて、8月9日には茅ヶ崎市民文化会館(神奈川県茅ヶ崎市)にて、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッションの報告会を行いました。
報告会では、第22次/第23次長期滞在クルーとしてISSで行った活動や、宇宙で見たこと、感じたことを、写真や映像を交えながら紹介しました。野口宇宙飛行士の出身地である茅ヶ崎市では、報告会の前に歓迎パレードが行われ、茅ヶ崎市民に温かく迎えられました。
- 野口聡一宇宙飛行士ミッション報告会開催レポート