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SRTMとは
概要   装置の概要


SRTM観測範囲
概要
 SRTM(Shuttle Radar Topography Mission)は、シャトルに搭載される合成開口レーダーを用いたリモートセンシング技術により、地表のレーダー画像を取得する装置です。このデータを飛行終了後デジタル標高モデルと呼ばれる標高データに加工した上で、今までで最も精密で大規模な、地球表面の起伏を表示する3次元の地形図(立体画像)を作成します。
 11日間の飛行で両極を除く地上の陸地の約80%、全人口密集地の約95%をカバーするデータを取得します。
 この高精度3次元地形図は一般に公開され、地形を考慮に入れた地域的な天気予報、山岳部の森林分布量の正確な把握、航空機の安全航行、無線通信の見通しエリアの把握など、様々な分野での利用が期待されています。

  1. 3回目の宇宙レーダー実験
     SRTMはNASAが推進する宇宙レーダー実験(SRL;Space Radar Lab)機器で、1994年に実施された
    STS-59(SRL-1)及びSTS-68(SRL-2)での飛行に続き、今回が第3回目のフライト(SRL-3)にあたります。SRL-3は、SRL-1,2では使用しなかった60mのマストの先のアンテナを使用することにより、良質な3次元画像作成のためのデータが得られます。

  2. 国際プロジェクト
    SRTMは国際協力ミッションであり、以下に示す機関(組織)が参加しています。
    • NASA/ジェット推進研究所(JPL)
      SIR-C(Spaceborne Imaging Radar-C)システムの開発、運用、管理およびプロジェクト全体の統括。
    • ドイツ航空宇宙センター(DLR)
      X-SAR(X-band Synthetic Aperture Radar)の開発、運用、管理
    • イタリア宇宙機関(ASI)
      同上(X-SARをDLRと共同で開発)


  3. 特徴
     立体地図を作るには「2つの目」で見る必要があります。シャトル搭載イメージに示すように、シャトルのペイロードベイ(貨物室)にあるメインアンテナと、ペイロードベイから横(左舷方向)に60m展開するマストの先端に取り付けられた船外アンテナの2つのアンテナを使用し、この”2つの目”で干渉法(インターフェロメトリ)と呼ばれる技術によって下に示すような3次元画像を収集することが大きな特徴です。
     もうひとつの特徴は60mもの長さを持つマストを軌道上で伸展することでしょう。
     この伸展マストは、国際宇宙ステーションの太陽電池パドル展開用に開発されたものを、SRTM用に改良したものですが、長さは今回の飛行の方が約2倍も長く、宇宙空間で伸展させる構造物としては、過去最長の規模となります。
     なお、データを取得するときには60m先のアンテナの位置を常にmm単位の誤差内に調整する必要があり、高度な技術が要求されます。
     さらに、今回の飛行中には、レーダー画像との比較のために、カメラでも地上の写真を多く撮影することになっています。

    NASA/JPL/Caltec
    アンテナ展開イメージ 3次元画像のイメージ
    (STS-59/68による画像)


装置の概要
NASA/JPL/Caltec
メインアンテナ・姿勢軌道決定用電子機器
NASA/JPL/Caltec
船外アンテナ

マストのモデル
AEC-Able Engineering Compay, inc.
マストの外観(3ベイ分)
AEC-Able Engineering Compay, inc.
マストを伸展した状態
 SRTMは下記に示すように、SIR-C/X-SARの2周波帯を使用するメインアンテナ及び船外アンテナ、アンテナの位置やシャトルの姿勢を計測する姿勢及び軌道決定用電子機器AODA(Attitude & Orbit Determination Avionics)、船外アンテナを取り付けた60mの伸展式マスト、伸展式マストを収納するキャニスター、支持構体などから構成されます。
  • メインアンテナ
     シャトルペイロードベイ内の支持構体に取り付けられた、長さ約12m、幅約4mの送受信用SIR-C/X-SARアンテナです。
  • 船外アンテナ
     シャトル本体左舷から60m離れた位置に設置される受信専用のSIR-C/X-SARアンテナです。
     船外アンテナは、打上げ時にはペイロードベイ(貨物室)に収められており、観測開始前に60mもの伸展マストを用いて軌道上で展開されます。
  • 姿勢及び軌道決定用電子機器(AODA)
     高精度の3次元地形図を作成するためのデータ処理を行うには、観測時の非常に精密なアンテナの位置およびシャトルの姿勢誤差情報が必要となります。これらの情報を計測するシステムがAODAです。AODAは、GPS受信器、メインアンテナと船外アンテナ間の距離測定装置、発光ダイオードを使用した光学センサーなど、いずれも高精度なセンサーで構成されています。これらの機器の操作、監視は船内からクルーがAODA用のラップトップ・コンピュータを用いて行います。
  • 伸展式マスト
     重量約300kgの船外アンテナをシャトル本体左舷から60m離れた位置に伸展し、支持するための伸展式マストです。打上げおよび帰還時には、約1/20の長さに折り畳まれます。マストは、高い強度を有する複合素材の支柱、金属製のワイヤー、ジョイント部などから成る、87もの立方体の格子(ベイ)から構成されています。
     この伸展式マストは米国のAEC-Able社が開発しました。同社による国際宇宙ステーションの太陽電池パドル展開用マスト技術から応用したものです。
     これほどの長さのマストはこれまで宇宙で使用したことがありませんので、この伸展マストの伸展/収納作業は本計画を左右する大変重要な作業になります。
  • AEC-Able Engineering Compay, inc.
    キャニスター
    キャニスター
     打上げ及び帰還時にマストを収納する装置で、直径約1.4m、長さ約2.9mあります。マストの伸展及び収納は、キャニスター内部に取り付けられたモータによって行われます。
  • 高速データレコーダ(PHRR)およびレコーダ・インタフェース制御装置(RIC)
     船内に6台のPHRRと、PHRRを操作するためのRICを2台搭載します。観測中、3台のPHRRでデータを記録し、3台は予備です。RICはラップトップ・コンピュータで、常時1台を使用し、1台は予備として搭載されます。
     STS-99で取得するデータの量は9.8テラバイト(CD1枚あたり650メガバイトとして、約15,000枚分に相当)という膨大なものになり、軌道上では、300本以上のカセット交換作業が必要となります。この膨大なデータを処理するためのミッション終了後の地上でのコンピュータ処理(3次元画像化)には1年〜1年半もかかります。
SIR-C/X-SAR主要緒元
項 目 SIR-C
Spaceborne Imaging Radar-C
X-SAR
X-band Synthetic Aperture Radar
サイズ メインアンテナ 12.0m×3.5m 12.0m×0.5m
船外アンテナ 8.1m×0.9m 6m×0.4m
観測周波数 5.3GHz (Cバンド) 9.6GHz (Xバンド)
波長 5.8cm 3.1cm
解像度 水平方向 30m 30m
垂直方向 16m 16m
観測高度 233km 233km
観測幅 225km *2 50km
偏波 *1 HH,HV,VH,VV VV
オフナディア角 23〜63゜ *2 52゜
*1 HH (Horizontal transmit,Horizontal receive);水平偏波にて送受信
HV (Horizontal transmit,Vertical receive);水平偏波にて送信、垂直偏波にて受信
VH (Vertical transmit,Horizontal receive);垂直偏波にて送信、水平偏波にて受信
VV (Vertical transmit,Vertical receive);垂直偏波にて送受信
*2 SIR-CはスキャンSARで運用し、オフナディア角は電子的に操作する。


最終更新日:1999年 8月 27日

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