このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
 
JAXAトップページへ
 JAXAトップページへ宇宙ステーション・きぼう広報・情報センターサイトマップ
 

ミッション結果の要約


実施状況および結果
飛行概要
不具合など

実施状況および結果
P1トラスの取り付け
STS-113クルー(赤いシャツ)
第5次長期滞在クルー(右)
第6次長期滞在クルー(左)

STS-113ミッションでは、STS-110ミッション(8A)で国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けられたS0(エスゼロ)トラスの左舷側にP1トラスを取り付け、さらに3回のEVA(船外活動)により、P1トラスを構造的にまた機能的にしっかりとISSに接続しました。これにより、P3/P4トラスが取り付け可能となりました。

また、このミッションでは、2002年6月からISSに滞在していた第5次長期滞在クルーと第6次長期滞在クルーの交代が行われました。

3回のEVAでは、P1トラス各部のロンチロックの解除やS0トラスとの配線の接続が行われたほか、アンモニア流体配管接続部の潜在的な問題点を解決するための機能改修用の器具(Spool Positioning Device:SPD)計43個の設置、ワイヤレスビデオ送信機 (Wireless video system External Transceiver Assembly:WETA)の設置、UHFアンテナの展開、P1トラスに固定されて打ち上げられたCETA(Crew and Equipment Translation Aid)カートの移動・連結などが行われ、CETAカートを初めて実用目的で使用した作業も行われました。CETAカートは、トラスに設置されているレールの上を人力で移動する台車であり、EVAクルーやEVA工具、軌道上交換ユニット(ORU)などを運搬したり、作業台の役割を果たします。

ミッション終了後のISS

その他、ISSの補給品の搬入、不要品や実験関連物品の搬出を行い、その結果ISSの重量は約14,400kg増加しました。

エンデバー号がISSから分離した後、MEPSI(MEMS-based PICOSAT Inspector)衛星がエンデバー号のペイロードベイ(貨物室)から放出されました。

 

飛行概要

飛行の概要は以下のとおりです。明示のない時間は米国中部標準時間です。詳細はステータスレポートをご覧下さい。

 

打上げと帰還日時 STS-113ステータスレポート#01, #28

 

打上げ日時 2002年11月23日午後 7時49分(米国東部標準時間)
2002年11月24日午前 9時49分(日本時間)
帰還日時 2002年12月 7日午後 2時38分(米国東部標準時間)
2002年12月 8日午前 4時38分(日本時間)
ミッション期間* 13日18時間48分
*:打上げ/帰還時刻の秒時の処理により、フライト期間が両者の差と異なる場合があります。
エンデバー号の着陸

当初11月11日に予定されていた打上げは、エンデバー号の船室内へ酸素を送る配管に見つかった酸素漏れの修理作業、その修理作業時に誤って作業台をロボットアームに接触させて損傷させてしまった部分の検査および修理作業、また11月22日にはスペインの2ヶ所の緊急着陸地がともに天候不良であったことから、計12日間延期されました。

また、12月4日に予定されていた着陸は、KSCの悪天候のため、3日間延期されました。帰還を3日連続で断念したのは、スペースシャトル史上初めてのことでした。

 

ISSとの結合および分離日時 STS-113ステータスレポート#05, #19
 
結合日時 2002年11月25日午後 3時59分(日本時間2002年11月26日午前 6時59分)
分離日時 2002年12月 2日午後 2時 5分(日本時間2002年12月 3日午前 5時 5分)
結合期間 6日 22時間 6分

 

EVA(船外活動)
 
EVAを行うジョン・ヘリントン宇宙飛行士

今回のミッションでは計3回のEVAが行われました。ISS組み立てとしては、ISSから実施したものも含め、通算49回、計305時間20分のEVAを実施したことになります。
参照:ISS建設のための船外活動

今回のEVAは順調に行われ、予定していた作業は全て完了しました。また、余裕があったため、第6次長期滞在クルーが行う予定のEVA作業の一部を前倒しで行うことができました。

 

第1回EVA(飛行4日目)
開始時刻 2002年11月26日午後 1時49分(日本時間2002年11月27日午前 4時49分)
終了時刻 2002年11月26日午後 8時35分(日本時間2002年11月27日午前11時35分)
作業時間 6時間45分
作業者 マイケル・ロペズ-アレグリア、ジョン・ヘリントン
主要作業内容
  • S0トラスとP1トラス間の電力・通信ケーブルの接続
  • CETAカートのロンチロック(打上げ時の固定器具)の解除
  • P1 FHRC(Flex Hose Rotary Coupler)とP1放熱ラジエータ回転関節部(Thermal Radiator Rotary Joint:TRRJ)へのSPD6個の設置
  • P1 TRRJ 駆動ロック機構(Drive Lock Assembly:DLA)のロンチロックの解除
  • P1トラスのドラッグリンク(打上げ時にP1トラスを支えていた支柱)2本の取り外し
  • 「ユニティ」(結合モジュール1)外壁へのWETAの設置
 
第2回EVA(飛行6日目)
開始時刻 2002年11月28日午後 0時36分(日本時間2002年11月29日午前 3時36分)
終了時刻 2002年11月28日午後 6時47分(日本時間2002年11月29日午前 9時47分)
作業時間 6時間10分
作業者 マイケル・ロペズ-アレグリア、ジョン・ヘリントン
主要作業内容
  • S0トラスとP1トラス間の流体配管の接続とSPDの設置
  • P1トラスのキールピン2個の取り外し
  • P1トラス左舷上部へのWETAの設置
  • P1トラスとP3トラス間の配管の留め具の取り外し(P3トラス設置に備えた作業)
  • P1トラスのトラス結合機構(SSAS)のRTL(ready to latch)動作確認
    (P3トラス設置に備えた作業)
  • P1ラジエータ・ビームのロンチロック18個のうちの7個の解除
    (時間的余裕ができたため追加された作業。第6次長期滞在クルーが行う予定のEVAで実施される予定だった作業の一部。)
  • CETAカートのP1トラスからS1トラスへの移動
  • CETAカート2台の連結
  • S0スイングアームとユニティ間のWETAの配線の接続(追加作業)
 
第3回EVA(飛行8日目)
開始時刻 2002年11月30日午後 1時25分(日本時間2002年12月 1日午前 4時25分)
終了時刻 2002年11月30日午後 8時25分(日本時間2002年12月 1日午前11時25分)
作業時間 7時間0分
作業者 マイケル・ロペズ-アレグリア、ジョン・ヘリントン
主要作業内容

EVAの作業に備えて、初めてモービルトランスポータ(台車:MT)を長距離移動させましたが、途中で停止してしまいました。このため、第3回EVAは作業予定を変更して開始されました。詳細は不具合などをご覧ください。

  • CETAカート2台のMTからの切り離し(MTが停止した原因を確認するため)
  • MTの目視点検(MTが停止した原因を確認するため)
  • P6トラスとZ1トラス間へのSPDの設置
  • Z1トラスと「デスティニー」(米国実験棟)間への2個のSPDの設置
  • デスティニーの熱交換器へのSPDの設置
  • UHFアンテナの展開
    (後で行う予定の作業でしたが、MTの停止原因となったために実施)
  • P1トラスのRBVM(Radiator Beam Valve Module)6個へのSPD計18個の取り付け
  • P1ポンプモジュールへのSPDの取り付け
  • メインバス切り替えユニット(Main Bus Switching Unit:MBSU)の電力配線の再構築
  • 直流変圧器(DDCU)への断熱カバーの取り付け
  • S1 FHRCへのSPDの取り付け
  • アンモニアタンク(ATA)と窒素タンク(NTA)の配線ラインのQD接続
  • P1 ラジエータビームのロンチロック1個の取り外しと解除状況の再確認
  • SFU(Squib Firing Unit:ラジエータパネルを解放するための火工品)配線の再構築

 

船内活動
 

EVAとともに以下の船内活動も行われました。

  • 第5次長期滞在クルーと第6次長期滞在クルーの交代
  • 「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)を用いたP1トラスの取り付け
  • カナダアーム2によるEVAの支援、記録のためのカメラ撮影
  • 二酸化炭素除去装置(Carbon Dioxide Removal Assembly:CDRA)のバルブの交換および修理作業
  • 微小重力研究グローブボックス(Microgravity Science Glovebox:MSG)のトラブルシュート
  • ISSの自転車エルゴメータ(Cycle Ergometer with Vibration Isolation System:CEVIS)のトラブルシュート
  • ISSへの約972kgの機材や補給品、実験装置、約300リットルの飲料水の搬入
  • 実験装置や実験試料、ISSで不要となった物品(約1012kg)のエンデバー号への搬入
  • 二酸化炭素を吸収する水酸化リチウム(LiOH)缶6個のISSへの搬入(ISSのLiOH缶は合計30個)
  • TV局、通信社とのインタビューなどの広報活動

 

リブースト
 

リブーストとは軌道高度を上昇させるための軌道制御のことです。ISSは、空気抵抗で高度が徐々に下がります。そこで、その次の便が到着するまでの高度低下を見込んで、スペースシャトルをISSから分離する前に、スペースシャトルのスラスタによりリブーストを実施しています。

STS-113ではリブーストを3回実施し、軌道高度を合計約10.5km上昇させました。

実施日 飛行日数 実施宇宙機 上昇高度
2002年11月27日 5日目 エンデバー号 4.4 km
2002年11月29日 7日目 エンデバー号 1.3 km
2002年12月 1日 9日目 エンデバー号 4.8 km

 

不具合など

STS-113ミッション期間中、次のような不具合が発生しました。

エンデバー号の打上げ
  • 打上げ後、エンデバー号の右側の軌道制御システム(Orbital Maneuvering System:OMS)のバルブが96%開いたままの状態で閉まっていないことが確認されました。このため、その後のOMS噴射は左側のエンジンのみを使用することになり、打上げ約38分後に開始したOMS-2噴射は左側のエンジン1基のみを使用して問題なく実施されました。

    その後、この問題はテレメトリ表示上の問題と考えられ、軌道離脱噴射には2台のOMSが使用され、問題なく動作しました。

  • 第3回EVAの作業に備えて、MTを長距離移動させましたが、停止位置の約3m手前で停止してしまいました。 EVAを行うクルーによる目視点検の結果、収納状態にあったUHFアンテナにMTのIUA(Interface Umbilical Assembly)が接触したためであることが分かりました。急きょ、UHFアンテナの展開作業が追加され、展開後MTは正常に移動しました。なお、UHFアンテナには0.6mmの引っかき傷ができていましたが、今後への影響はありません。
    [STS-113ステータスレポート#15]

  • エンデバー号の打上げ直前に故障した、微小重力研究グローブボックス(MSG)の電力分配・変換器(Power Distribution Controller:PDC)のトラブルシュートが行われました。しかし、故障箇所の特定までは出来なかったため、PDCはエンデバー号により地上に持ち帰られました。MSGは停止状態のままとされ、交換部品は2003年2月に打上げ予定のプログレス補給船(10P)でISSに運ばれる予定です。
    [STS-113ステータスレポート#17]

 

最終更新日:2002年12月12日

JAXAトップページへサイトポリシー