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会場の様子 |
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2003年9月9日、10日の2日間、砂防会館シェーンバッハ・サボー(東京都千代田区)にて第25回宇宙ステーション利用計画ワークショップが開催されました。
2日間で延べ約640名の参加者が集まり、国際宇宙ステーション(ISS)と「きぼう」日本実験棟の利用をとりまく現状と展望について活発に意見交換が行われました。
開催案内
開催結果詳細
第1日目(敬称略)
開会挨拶
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宇宙環境利用研究委員会委員長
菅野 卓雄 |
文部科学省大臣官房審議官
木谷 雅人 |
プログラム1
(1) ISS組立再開に向けて
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NASA
Mr. Michael C. Kostelnik |
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NASAのMichael Kostelnik宇宙飛行局次長は、”Impact of Columbia on International
Space Station”と題し、コロンビア号事故が将来のISS計画に与える影響について紹介しました。
8月26日に、コロンビア号事故調査委員会(CAIB)が発表した最終報告書の詳細、およびNASAによる飛行再開プランについて語った同氏の講演に参加者は熱心に耳を傾けていました。講演の最後、同氏は、“Smooth
seas do not make skillful sailors.”という古いアフリカのことわざを引用し、苦難を乗り越え、ISSプログラムに挑んでいく意気込みを熱く語りました。
(2) 各極におけるISS利用計画の進捗状況と今後の展望
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NASA
Dr. Donald A. Thomas |
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元NASAの宇宙飛行士で、現在ISS Program ScientistのDonald Thomas氏は、ISSで行われた実験・研究や、国際間協力による実験の紹介などを中心に講演を行いました。最後に同氏は、今後のISSでの研究について触れるとともに、ISSから撮影した東京の風景写真や、9月中旬の東京からのISSの可視情報を紹介しました。
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ESA
Dr. Martin U. Zell |
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欧州宇宙機関(ESA)におけるISS利用部門の長であるZell氏は、ESAが開発を手がけたコロンバスモジュール、ATVなどの開発現状、実験装置の開発現状、ISSで実施した実験、また今後予定されている実験について紹介しました。
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CSA
Mr. John Marrone |
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カナダ宇宙庁(CSA) Space Science Implementation and Applications のDirector、Marrone氏は、ライフサイエンス、微小重力といった分野別に実験プログラムを紹介しました。また、ISSでの、これからの、そして今後の実験装置、実験計画を紹介しました。
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Rosaviakosmos
Mrs. Tatiana V. Vasilieva |
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ロシア航空宇宙局(Rosaviakosmos)からは、Vasilieva女史によるプレゼンテーションが行われました。「ザーリャ」(基本機能モジュール)、「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)など、既に打ち上げられているロシアモジュールの紹介、またそこでこれまでに行われてきた実験を紹介しました。2001年以降、すでにロシアの実験が32件行われているとともに、国際パートナーによる実験、あるいは商業ベースに基づく実験もすでに51件実施されている事例を紹介。そこには、日本が実施している微小粒子捕獲・材料曝露実験(MPAC&SEED)や、HDTVカメラによる実験も含まれています。また、同女史はISSから環境観測が行われている例として、2001年9月11日、同時多発テロ直後のニューヨークの写真を紹介しました。
(3) 「きぼう」の現状と日本における今後のISS利用計画の展望
宇宙開発事業団(NASDA)から、「きぼう」の現状と宇宙開発委員会・利用部会の中間報告に基づくISS利用の重点化、多様化、利用制度・体制の見直しの方向性等について報告しました。
また、(社)日本経済団体連合会 宇宙システムワーキンググループ主査の北原氏からISS計画に対する産業界の要望について、電気通信大学
高柳教授からこれまでの研究開発とは異なる教育等の新しい利用領域の可能性と宇宙機関への期待について、それぞれ講演が行われました。
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NASDA
山元 孝二
「全体概要と「きぼう」の現状」 |
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NASDA
吉冨 進
「利用の重点化と多様化・新たな利用制度の活用」 |
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(社)日本経済団体連合会
北原 正悟
「産業界から見たISS計画への期待」 |
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電気通信大学
高柳 雄一
「新たな利用に向けて」 |
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(4) 今後のISS利用計画にかかる国際協力の進め方と今後の展望
各極からの代表をパネリストに迎え、"国際協力と競争"、"ISSの成果を如何に伝えていくか"、"コストパフォーマンス"、"民間との協力"をテーマに活発な議論が展開され、各極とも、"国際協力"を重視していることを認識したディスカッションとなりました。
利用における国際協力と国際競争については、国際協力で推進するISSでは、最良の科学利用テーマを選ぶという点で競争はあるものの、実施に際しては国際協力の枠組みを作ることが効果的との意見が大勢でした。
国民一般や政策決定レベルへの成果のアピールについては、獲得されつつあるISSでの成果を各国が共有して活用すること、科学的な面だけでなく地上の様々な問題解決への橋渡しとなること、教育などへの貢献もアピールすべきとの意見が出されました。
費用対効果の算出については、雇用創出、経済効果などのマクロな指標を使うことはあるものの、各極においても数値化することの困難さを実感している旨の発言が見受けられました。
プログラム2
宇宙航空研究開発機構(JAXA)発足と今後の我が国のISS利用計画の推進体制
宇宙3機関統合の経緯とJAXA組織の概要説明およびJAXAにおけるISS利用計画推進の考え方・体制についての紹介が行われました。
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NASDA
稲田 伊彦
「JAXA設立の経緯、JAXA業務の紹介等」 |
NASDA
清水 順一郎
「今後の我が国のISS利用計画推進体制」 |
第2日目
ISS利用に関する5つの分科会( (1)物質科学分科会、(2)宇宙生命科学分科会、(3)科学観測/先端技術開発分科会、(4)基礎科学分科会、(5)一般利用分科会)が開催されました。
各分科会では、分野における重点化の方向性、利用多様化に向けた方策、これまでの研究成果等についての報告とともに、JAXAにおける今後の研究・利用の進め方等について、参加者の意見も交えつつ、討論が行われた。参加者(コミュニティー)からの主な意見(概要)は次のとおりでした。
- 科学としての体系的研究の推進を行うべき
- 短時間微小実験手段等を活用しつつ、早期かつ効率的な成果の創出を目指すべき
- 基礎から応用化(産業界との連携)を目指した取り組みも重要
- 研究コーディネーション機能を強化すべき
- 新機関設立を契機として、大学との連携をより推進すべき
- ISS利用に関する国際協力の仕組みの構築、具体的方策を提示すべき
- フレキシブルな資金が獲得できるような体系作りが必要
- 民間利用促進のため、宇宙機関としてできること、できないことを早急に明確にすべき
- 利用者参加型プログラムを効果的に推進すべき
- ISSは、科学研究・技術開発のみならず、教育、文化、人文社会、民間利用等、幅広い利用が可能であり、この方向の利用も積極的に推進すべき
会場の様子
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会場にはISSを利用した研究成果のパネルや研究紹介ビデオが展示され、成果報告書やパンフレットなどが配布されました |
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JAXA紹介パネル |
入り口の案内板 |
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