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主な研究の紹介
先導的共通基礎的研究として宇宙環境利用システムが自主的に行う地上研究です

1) 化合物半導体結晶成長研究
研究チームリーダ:木下恭一
(NTT基礎研究所主幹研究員)
ふわっと’92宇宙実験で得られた
Pb1-xSnxTe結晶

InxGa1-xAs三元混晶は、光通信分野を中心とした利用に大きな期待があります。本研究では、微小重力を利用することにより、未だ均質組成単結晶が得られていない、波長1.3μm帯の基板結晶として期待されているIn0.3Ga0.7As近傍組成の単結晶の作製を通して微小重力利用の有効性を示します。

この実験の宇宙実験としての特徴は、無重力といえどもわずかに残存する微小重力による擾乱を排除した結晶育成です。即ち、微小重力の下で起こる対流の影響をも考えて濃度勾配を補充する試料から結晶成長を行う点です。


2) 拡散現象モデル化研究
研究チームリーダ:伊丹俊夫
(北海道大学助教授)

融体中には化学的秩序の存在が推定され、このため液体拡散挙動は、これらの影響を強く受けうると考えられます。特に金属合金・半導体の融体は、原子のランダムな集合体ではなく、構造を有するいわゆる複雑液体として、最近活発に研究が行われるようになっています。

微小重力下における最近の拡散実験の成果をふまえ、微小重力を利用した高精度測定を通して、液体構造の解明を目指します。
気体
液体
固体
物質の状態と拡散プロセスの模式図
原子が高密度かつランダムに凝集した液体状態の拡散メカニズムを明らかにする。


3) マランゴニ対流現象モデル化研究
研究チームリーダ:依田真一
(JAXA主任開発部員)
リード・サイエンティスト:鴨谷康弘

微小重力における流れの主因は、マランゴニ対流です。このためマランゴニ対流の実験は、流体分野内で比較的多く行われ、定常流、振動流が観察されています。これまでに、定常流状態のマランゴニ対流の理解は進んだといえます。しかし、定常流から振動流の遷移および振動流のメカニズム等は未だ不明な点が多いのが現状です。

本研究では、従来取り入れられていなかった自由表面の変形に着目し、振動流への遷移メカニズムのモデル構築を行います。さらに実験、数値解析、理論解析によりモデルの妥当性を検証し、マランゴニ対流現象を解明します。

※マランゴニ対流とは、温度勾配あるいは濃度勾配により生じる界面(液体-液体、あるいは液体-気体)張力の差により生じる流れです。地上では、熱対流の影響が大きいために観察しずらいですが、微小重力下では流れの主因となります。


4) 骨芽細胞における細胞内シグナル伝達・遺伝子発現に及ぼす重力の影響
研究チームリーダ:佐藤温重
(東京医科歯科大学名誉教授)
(宇宙環境利用研究システムアドバイザ)
培養細胞
マウス骨芽細胞 MC3T3-E1

微小重力によって骨の形成が抑制されることが知られていますが、その細胞レベルあるいは分子レベルの機序については不明な点が多くあります。本研究は骨を形成する役割を持つ細胞である骨芽細胞を用い模擬微小重力、高重力を作用させ重力信号に対応して細胞内に起こる二次信号さらに遺伝子の発現を分子生物学的手法で調べます。この成果は骨生物学に寄与するばかりでなく宇宙飛行士、地上の高齢者に多発する骨粗鬆症の治療・予防に役立つものです。


最終更新日:2003年 10月 1日

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