微小重力環境における予備的実験 (パラボリックフライトによる) 2003
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実験結果
1. については、JEM内にできる限りコンパクトに収納でき、また使用の際にはすみやかな復元が可能な素材の一例として、目の粗いスポンジ状のウレタンフォームを使い、実用のための実験を試みた。重力のある条件では短時間で元の楕円体に復元するが、微小重力下では収納時に折り畳んだ形のひずみが残り、完全な復元には多少時間を必要とした。パラボリックフライトの実験時間(20秒間)は復元には不充分に思われるが、実際の JEM 等の宇宙空間では少し時間が経てば完全復元も充分可能と思われる。

2. 3. 4. については、「干菓子」の花や葉、また和紙等の軽い物体は、手で少し触れただけで力がすぐに物体に作用し、パラボリックの20秒間のμG状態ではスムーズな設定状態を保持することは困難だった。いっぽう、「Mind Garden」のように質量の大きい物体の場合、手で運動を与える操作も比較的スムーズに行えた。「Space Toy」では、7分裂するそれぞれのパーツの内部に鉄や石など、質量の異なる物質を入れて複雑な運動が起こることを期待したが、やはり微小重力の継続時間が20秒と短時間だったため、思わしい結果が得られたとは考えにくい。しかし、総合的に、物体の微小重力空間の動きについてはほぼ把握できたので、将来JEM 等での時間的制約のない状態であれば、今回得られた結果があらゆる面で充分活用できることがわかった。文化的側面の強い今回のパラボリックフライトでのデモンストレーションは、非常に有意義なものであった。
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