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宇宙環境に関わる化学研究は、微小重力場において顕著となる化学過程にとどまらず、
地球の低軌道に多量に存在する原子状酸素による反応、極低温、真空紫外下における反応、宇宙塵上での反応など、
宇宙空間ならではの環境における化学現象も興味深い対象となります。また微小重力環境を利用した化学としては、
物理研究と同様の視点を持って非平衡系を支配する普遍的な自然現象に注目し、
原子、分子が興味深い高次の構造を形成するような化学過程の特性を探求します。
このように、基礎化学では、微小重力場で顕著となる化学過程に関する研究、
および微小重力とは関係のない特異な宇宙環境が引き起こす
化学反応を探究する研究の二つの領域に区分されます。
以下に宇宙空間における基礎化学研究の方向性を示します。
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宇宙空間に見出される極低温、宇宙塵表面など、特殊な環境における化学反応 |
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宇宙の生成と進化、生命の起源に関わる宇宙空間での化学反応 |
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宇宙ステーション近傍の大気環境を利用する化学反応 |
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微小重力下で顕在化する分子階層化及び高次構造化に関する化学研究 |
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ナノサイエンスの基礎となる高次構造ダイナミクスに関する研究 |
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生体機能分子の自己集合に関する研究 |
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宇宙ステーションにおける新しい実験手段の開発 |
(*1):化学研究では、微小重力環境において顕著となる化学過程だけではなく、 国際宇宙ステーションが位置する宇宙環境において観測できる化学過程も対象としています。



上で述べたような方向性から、基礎化学研究について次の2つの研究領域を設定しました。



・宇宙空間の特異な環境で生じる化学反応を探究する。
・「宇宙の生成と生命進化に関わる化学過程」および「ISS近傍の化学反応と大気化学過程の観測」など。


・分子階層化による高次構造発現の仕組み(分子階層発展化学)を探究する。
・「分子や粒子を配列化するための界面化学・自己集積過程」、「生体機能分子の自己集合」および「無容器実験」など。
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