3.応募から選定ならびに実施準備作業のプロセス
(1)各募集機関による予備審査
宇宙の平和利用の原則に反していないか、今回の公募の枠組みから外れていないか等、提案内容全体の枠組みに関してJAXAで確認します。

(2) 科学評価

1) 評価方法
各参加機関が推薦する評価委員から構成される国際科学評価パネルで審査されます。少なくとも2名以上の評価者が指定され、提案書が査読されます。査読結果をもとに、国際科学評価パネル会議において審査・評価されます。
2) 評価基準
応募された提案テーマは、以下に示す基準をもとに科学評価が行なわれ、100点満点法で採点され順位付けがなされます。この得点順位、宇宙実験実施期間(2004年半ば〜2006年後半)に実現可能と考えられる実験内容、件数等を勘案し科学評価通過テーマが選定されます。
重要性 ・重要な課題をとりあげているか。
・研究目的の達成が、科学的知見および技術の向上にいかに役立つか。
・当該研究分野の発展にどのような効果を与えるか。
研究手法 ・構想、研究計画、研究手段、解析方法は一貫性があり、提案する研究目的に合致しているか。
・提案する研究手法により十分な成果を獲得できそうか。
・提案者は起こり得る問題を認識し、代替案を考慮しているか。
独創性 ・提案は新規性のある概念、アプローチあるいは研究手法を含んでいるか。
・提案は既成概念に対するチャレンジあるいは、新しい方法や技術の確立を目指すものか。
研究遂行能力 ・提案者はこの研究にふさわしい知識と、研究遂行能力を有しているか。
・提案する研究に対し、代表研究者及び研究分担者の経験は十分か。
・研究者のこれまでの研究成果は十分なものであるか。
研究環境 ・成果を獲得するための研究環境が十分に整備されているか。
・提案する実験は、研究者を含む研究環境を十分に活用しているか、あるいは実効性のある共同研究体制のもとで行われるものであるか。
・所属機関等の支援は確実に得られるか。


(3) 技術評価

1)評価方法
  • 科学評価を通過した提案テーマのみが、各参加機関からの評価委員により構成される国際技術評価パネルで審査されます。
  • 宇宙実験の実施に関して障害となることが想定される項目一つ一つが減点対象となり、100点満点からの減点法によって採点されます。
2) 評価基準
大きな障害はそれだけ大きな減点につながります。提案テーマは得点により宇宙実験実施上の困難度を示す指標(Low Risk、Medium Risk、High Risk)でよって分類され、困難度が高いという判定を受けた提案はフライト実験候補に選定されないことが一般的です。
技術評価の要点(審査基準)
機能要求 ・既定の実験装置・実験形態は提案実験の要求を満たしているか。 ・独自の装置に関する要求があるか。
運用実現性 ・既定の実験操作手順からはずれる要求があるか。
・解析に必要な試料数量に対する過剰な要求があるか。
人体・環境への影響 ・提案されたテーマの実施にあたり、宇宙飛行士の安全性や環境への影響が十分配慮されているか。


(4) 日本の宇宙環境利用方針に基づく評価と優先順位付け

1) 評価方法
国際科学評価、技術評価を通過した提案はJAXAの委員会(宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学委員会、宇宙基幹本部・有人サポート委員会)で評価を受け、優先順位付けが行われます。(各参加機関においてもそれぞれの宇宙環境利用方針等に基づく評価と優先順位付けが実施されます。)
2) 評価基準
  • JAXAによる研究シナリオが示す方向性と大きくずれていないか。
  • 宇宙実験の準備、実施等に係る経費に対する予算措置の是非等。
「宇宙医学分野研究シナリオ」
http://iss.jaxa.jp/utiliz/jp_senario_med.html
「ライフサイエンス分野研究シナリオ」
http://iss.jaxa.jp/utiliz/jp_senario_life.html

(5) 候補選定
上記の結果を基に、利用可能なリソース等を勘案して国際会合において宇宙実験候補テーマとして最終的に選定されます。
候補テーマは、各国の関連テーマを集めたチームによる実験準備・実施となる場合があります。また再評価の段階で準備が充分でないテーマは宇宙実験候補から除外する場合があります。

(6)選定後の実施準備作業

【実験計画の詳細化】
候補選定されたテーマについて、提案された分析・解析が可能であるか等を確認し、実験計画書を設定します。また、この作業期間中を目処に、科学評価パネル、技術評価パネルからの指摘事項に回答を用意することが求められています。チーム編成がある場合には構成メンバーとの共同作業が含まれます。

(7) 再評価

【具体的な宇宙実験準備への着手可否評価・審査】
(6)における作業結果をもとに、飛行実験としての具体的準備に着手可能であるか否かがJAXAおよび搭載実験装置提供機関により評価・審査されます。実験計画がまとめられないなどの場合によっては、候補テーマからはずされること(deselection)があります。(この判定条件が FEIP 4.5 項に説明されています。)チーム編成がある場合にはJAXAと構成メンバーの属する関連機関との共同作業となります。

(8) 搭載準備

【宇宙実験の開発】
(7)を通過したテーマは飛行実験候補テーマとして、実験装置と試料との適合 性確認試験、運用面(宇宙実験時の実験操作手順の確立、安全性の確認等)についての検討作業等に着手いたします。
チーム編成がある場合には構成メンバーとの共同作業が含まれます。