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第4回ライフサイエンス国際公募選定 フライト実験候補テーマ
破骨細胞分化因子(RANKL)遺伝子制御領域内の重力感受エレメントの同定
Identification of the gravity sensitive transcriptional element
within the reguratory sequence of the osteoclast differentiation
factor (RANKL) gene
代表研究者:高沖 宗夫(宇宙開発事業団 宇宙環境利用研究センター)
研究目的
骨組織の細胞の働きを遺伝子レベルで調べ、宇宙飛行中に骨からカルシウムが溶け出る現象を防止する方法の開発に役立てる。
研究方法・内容
私たちの骨は古くなった部分を溶かす破骨細胞と新しい骨を作る骨芽細胞の働きが常にうまく釣合って健康な状態に維持されている。体重を支えたり運動することよって骨に加わる力の大きさが、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスを保つために重要で、宇宙飛行や寝たきり状態などその力が減少すると骨を溶かす方に傾いてしまうと考えられている。骨芽細胞は自身が骨を作るだけでなく破骨細胞分化因子(RANKL)等の物質を作って破骨細胞の働きも調節しているらしいことが最近明らかにされた。骨に加わる力が減少したことを骨芽細胞がどのように感じ取ってRANKL遺伝子を発現させる(RANKLを作り出す)のかを探るために、RANKL遺伝子の発現を制御する領域にホタルの発光タンパクなど検出が容易な遺伝子を繋いだもの(レポーター遺伝子)を注入した培養骨芽細胞を宇宙ステーション上の無重量状態で培養して調べる。
期待される成果
この実験により、宇宙の無重量状態でRANKL遺伝子の発現が実際に高まっているのか否かが確認できる。さらに、遺伝子発現制御領域内で特に重要な働きをしている部分が明らかになる。これは、特に骨に加わる力をどのように感じ取って骨をバランス良く維持しているメカニズムを明らかにして、宇宙飛行士の健康だけでなく、骨粗しょう症等の予防や治療法の開発に役立つ情報になる。